ストーリー自体は、確かな骨太さがあります。幕が上がれば物語の力が見るもの聞くものをストーリーの最後まで連れて行ってくれるでしょう。
さらに、多様な登場人物、はりめぐらされた複線、名ゼリフの数々、魅力的な登場人物、すばらしいと思います。個人的には、シェイクスピアの作品の中で一番好きです。というか、私が好きな戯曲ベスト3に入ります(ちなみに残りの2つは、「ファウスト」と「ゴドーを待ちながら」)。
子どもたちに言わせて見たいセリフも満載です。
例えば・・・・・・
「デンマークは牢獄だ」
「おれはたとえクルミの殻に閉じ込められようと、無限の宇宙を支配できる王者だと思い込める男だ」
そして有名すぎる「To be, or not to be, that is the question.」
特にこの「To be, or not to be, that is the question.」については、どうとらえるかは考えどころだと思います。ちなみに個人的には、このセリフの解釈としては、トム・ストッパードの「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ(映画版)」の解釈が一番しっくりきます。どんな感じかというと、ハムレットが霊廟にひざまずき、ほとんど音にならないような声で口が動く。
他にも、墓場のシーンで道化の頭蓋骨に話しかける「哀れなものだなヨリック! ・・・・・・」で始まるセリフもなかなか味があります。道化の表情も死ねば消えてしまう。世界を畏怖せしめたシーザーも、死ねば土にかえって壁土や酒樽の栓になりかねない、という無常観はたまりません。
そして、この有名なセリフ「A little more than kin, and less than kind!」も、ハムレットですね。