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ライオンと魔女と大きなたんすについて思うこと(安藤先生講演会まとめ)
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シェイクスピア 全作品紹介
『ヘンリー六世 第二部』
“Henry VI part 2”
《ヘンリー六世 全体について》
ヘンリー六世の三部作は、シェイクスピアが一番初めに執筆した作品とされています。
シェイクスピアの劇作家としてのキャリアは、ここからスタートしました。
フランスとの百年戦争からイングランドの内戦である薔薇戦争の時代を描いた超大作であり、権謀術策うずまくどろどろの政治劇。重厚ですよ~。
一部ごと舞台として独立した作品として成立していますし、連続で上演してもひとつの作品としてみることができる、稀有な作品だと思います。
(注意:シェイクスピアの歴史劇では、舞台効果を高めるために、実際の史実どおりに事件が起こるとは限りません。注意が必要です)
《ざっくりしたみどころ(あらすじのあらすじ?)》
・百年戦争和睦後のイングランドでは、王権をめぐる権力闘争が激化。権謀術策を駆使しわなにはめ、失脚を促し、はてには暗殺まで。
・古い権力闘争の主人公たちが命を落とすと、今度は白薔薇ヨーク派と赤薔薇ランカスター派の確執が激化。
・ヨーク公リチャード・プランタジネットは、現王ヘンリー六世に自らの王位継承権を主張し対立。ここに、イングランド内戦である薔薇戦争勃発。
・薔薇戦争の緒戦はヨーク派が快勝し、ヘンリー六世は敗走。ヨーク公は追撃にうつる。
《あらすじ》
ヘンリー六世とマーガレットの結婚による百年戦争の和平は、イングランドにとっては悲惨な展開となる。というのも、この結婚による和議によって、イングランドが膨大な犠牲を払って手に入れたフランスでの土地のほとんどをフランスに返上してしまったからだ。
この事態に摂政のグロスター公は激怒。これに反発するのは、グロスターと反目するウィンチェスター枢機卿とサフォーク伯。ウィンチェスターは枢機卿として王と同等の権力をイングランドに及ぼそうとしているし、王妃マーガレットをヘンリー六世に差し出したサフォーク伯はマーガレットと姦通しており、王妃を通してヘンリー六世に影響を与えようとたくらんでいる。
そこで、利害が一致するウィンチェスター枢機卿とサフォーク伯は結託し、グロスター公の夫人を魔術にさそい、さそいにのったところで逮捕し追放。そしてグロスター公にも反逆罪の嫌疑をかけて逮捕してしまう。
一方ヨーク公リチャードはソールズベリー伯とウォリック伯に自らの王位継承の正当性を打ち明け、支持を受ける。また、サマセット公との確執も激化。フランス摂政として赴任したサマセットが、フランスの土地ほとんどすべてを失って帰国したことも、これに拍車をかける。
そこに、アイルランドで叛乱勃発の報が入り、ヨーク公が討伐の指揮官となる。そこでヨークは一計を案じ、元士官のジャック・ケイドに叛乱を起こさせ、その鎮圧を名目にアイルランド討伐のために集められた精鋭の軍隊を引き連れてロンドンにとって返し、王座を奪おうと計画する。
反逆の冤罪により逮捕されたグロスター公は、サフォークとウィンチェスター枢機卿の手による殺し屋によって暗殺される。しかし、後のこの暗殺の陰謀は発覚し、サフォークは追放(追放途中で、海賊により殺害される)。枢機卿は病に倒れ、神に仕える身分でありながら、神を呪う毒舌を撒き散らしながら息絶える。グロスター公の穏やかな死に顔と、枢機卿の悶絶した死に様が対照的。
ジャック・ケイドの反乱は、稚拙な論理を振りかざし略奪の限りを尽くす、もはや解放者なのか暴徒なのかわからないレベルではあるのだが、その規模は拡大してゆき大勢力大軍勢となり進軍。暴虐を尽くして、王が派遣する討伐軍も撃破、ロンドン市内に至る。そこで王は、ケイドに先導された暴徒に向け、このまま解散すれば無条件に赦免するむね伝達し、それをきっかけに暴徒は散会し叛乱は鎮圧される。
ジョン・ケイドの叛乱が鎮圧されてしまったため、引き返してきたヨーク公は自らの大軍勢の大義名分を、傲慢なサマセットを王のそばから排除するためと弁明。それに先立ち、ヨーク公の気をなだめるため王はサマセットを牢屋(ロンドン塔)に送り込むのだが、ヨークと王が会見している最中に、王妃に伴われてロンドン塔にいるはずのサマセットが登場。
ここにいたり、ヨーク公は激昂。ヨーク公は自らの王位継承権の正当性を主張しヘンリー六世と決別。そして赤薔薇ランカスター家(ヘンリー六世を含む血統)と白薔薇ヨーク家の全面対立、薔薇戦争勃発。
緒戦のセント・オールバンズの戦いでは、宿敵サマセットは戦死、王は敗走、戦いはヨーク家の勝利に終わる。そして勝ちに乗じて、ヨーク派はロンドンに向けて追撃にうつる。
《感想》
第1部の活劇的なムードから一転して、和平後のイングランドを舞台とした政治劇です。
このイングランド王宮と王冠をめぐる舞台に、登場人物が入れ替わり立ちかわり現れますが、実のところ、権謀術数の渦が網の目のように張り巡らされて、どろりどろりと回転していくように思われます。
前半戦の見所は、第1部で中心的な役割をあらわした、グロスター公、ウィンチェスター公、そして新興貴族であるサフォーク伯の陰謀と失脚。まさに、おごれるものは久しからず。
ここで面白いのは、善政を行ったグロスターが、聖職者であるはずの枢機卿(グロスターとは親類)にはめられて無実の罪を着せられ最後には暗殺されてしまうという、本質と結果の逆転現象です。イングランドの未来を真剣に考えるグロスターは無実の罪で投獄され暗殺。神に仕える枢機卿のどすぐろい陰謀。おまけに、反逆罪に問われたグロスターの安らかな死に顔と、神を呪いながら苦しんで死んだ枢機卿(=高位の聖職者)の死に顔という対比も面白いです。
後半は、ヨークが台頭し、最後には正当な王位継承権を王に向けて言い放つところまで、こちらも権謀術数を駆使して台頭する。第1部で登場したときは、王家の血は引くものの不遇の貴族でしかなかったのですから、この躍進はものすごいものがあります。そして最後には、イングランドを二分する大勢力の頭目になっているのですから。
そしてトリックスター的なジャック・ケイドも、なかなかいい味出しています。仲間との支離滅裂な会話も面白いし、貴族のすました物言いとの対比も面白い。何だか、くだらないことばの中に真理が隠れているし、その真理が見えたところをくだらない物言いで茶化してしまうといった会話ですかね。
ま、ともかく、やはりこのヘンリー六世のシリーズは、大河ドラマですよ。
ヘンリー六世とその王冠を中心にして、何層にもわたる陰謀の渦が、ぐる~~りぐる~~りとめぐっている、そんなどろっとした貴族の世界の陰謀を楽しめます。
と書くと、何だか重たそうですが、セリフなどは全般的に歯切れがよく、ストーリーもテンポよく進みますので飽きずに一気に読むことができます。
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