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『トロイラスとクレシダ』
“Troilus and Cressida”



《ざっくりしたみどころ(あらすじのあらすじ?)》

・ トロイ戦争中盤戦。名誉と大儀の入り混じる戦争の中、引き裂かれる二人の男女。しかし女は他の男に心を委ね、それを見た男は悔しさに歯噛みする。そしてそのエネルギーを次の戦闘にむける。勝敗やいかに。


《あらすじ》

 舞台は、トロイ戦争。
 スパルタ王妃ヘレンをトロイの王子が奪い取ったために始まったトロイ戦争。トロイの城門の外で戦闘は繰り返されるがこう着状態になり、すでに戦争も始まってから7年が経過している。
 トロイの王子トロイラスは、神官カルカスの娘クレシダに恋をして胸がふさいでいる。クレシダもトロイラスに心を寄せているが、その気持ちにまっすぐになれない。そのクレシダの気持ちを何とかトロイラスに向けようと、叔父のパンダラスはあの手この手。
 一方、ギリシア軍内では軋轢が生じている。ユリシーズはこの悪しき状態は、アキリーズ(アキレス)の慢心による軍秩序の堕落と主張。このとき、ギリシア軍総司令官アガメムノンのもとに、トロイからの使者が到着する。その内容は、トロイ軍の実質の総指揮官、トロイ王長子ヘクターからの一騎打ちの申し出だ。この挑戦に名誉をもって応じるには、ギリシア軍一の勇者であるアキリーズが応じるべきだが、もしこれにアキリーズが挑戦し、勝利した場合は、ますますアキリーズが増長することは必至。この事態を危惧したユリシーズは、アキリーズではなく愚か者扱いしているエージャックスに挑戦を受けるようにしむける。これなら、勝っても増長の心配がないし、ギリシア軍一番の勇士であるアキリーズが挑戦して負けた場合の面目丸つぶれのリスクも回避できる。
 同じ頃トロイ軍も、ギリシア軍から届いた、ヘレンを引き渡せば軍を引き上げるという終戦調停案をめぐって大議論。へスターは一人の女のためにこれ以上トロイの血を流すべきではないと、ヘレン返還を主張。トロイ王の娘であり預言者でもあるカサンドラは、ヘレンがトロイに滅亡を招くことを予言する。しかし、パリスとトロイラスがヘレンを守り通すことで大義と名誉を立てることを主張し、この意見がとられる。
 そしてトロイラスは、パンダラスの取り持ちのもと、クレシダとベッドを共にする。そしてトロイラスは恋の真実の証として、これからの人は恋の真実について「まことなることトロイラスのごとし」というだろう、とのろける。それをうけてクレシダも、自分もこの恋の真実を微塵でも裏切るようなことがあれば、「不実なることクレシダのごとく」となじればいいわ、をかえす。
 翌日、トロイを裏切ってギリシア方についているクレシダの父の依頼を受け、トロイの捕虜交換の条件にギリシアはクレシダを要求し、トロイ軍はそれをのむ。すぐさまはなればなれになる、トロイラスとクレシダ。
 さて、ヘクターとエージャックスとの一騎打ちが始まる。しかし、エージャックスは半分トロイ王家の血を引いており、血縁同士で血を流すことは不毛と、一騎打ちは中止される。この見事な振る舞いにギリシア軍は感動。一時休戦、ヘクターたちを陣営に呼び込み、盛大な宴が催される。そこに出席したトロイラスはクレシダを探すが、そこでみたものはギリシアの将軍ダイオミディーズと愛の駆け引きと睦言を交わす小悪魔のようなクレシダのしどけない姿だった。そして別れの際に渡された愛の証、トロイラスの片袖も、ダイオミディーズに渡してしまう。
 休戦が終了し戦闘が再開すると、トロイラスは怒り狂い、ダイオミディーズを血眼になって戦場に探し繰り返し戦闘を行う。ヘクターも獅子奮迅の大奮闘でギリシア軍を圧倒するが、慢心から戦意を取り戻したアキリーズに卑劣な手段で惨殺される。それを知ったトロイラスは呆然とし、軍をトロイに引き上げる。


《感想》

 なかなか、カテゴリーにおさめるのが難しいのが、問題劇です。どうも中途半端感がぬぐえません。盛りだくさんといえば盛りだくさんなのですが。
 ストーリーの展開としては、終盤までぐいぐい骨太に進んでいきます。そして最後の大戦闘シーンも、様々な将が入り交ざりの大混戦で、手に汗握ります。ただ、最後の最後で、妙になります。
 ヘクターはギリシア軍の甲冑の美しい兵士を見つけ、それを奪おうと追いかけて殺します。「おまえは見事な甲冑のせいで命を落としたのだ」なんてセリフをはきますが、トロイ王の長男、軍の誉れ高い勇士が、敵の甲冑奪うために殺すなんて惨めなことしなさんなよ、と思います。少し前に、立派な一騎打ちを行って、ギリシア軍総大将を感動させて宴を開いてねぎらわれたほどだというのに。
 アキリーズのセリフで「ヘクターめ、年端のいかぬ子供ばかり殺しおって」というのがあります。このセリフを額面どおりとれば、ヘクターはもともとまともなことしてないようですが……。ま、このセリフの仔細は、ほかに説明がないのでまったくわかりません。私としてはこれは、自分の部下を次々に殺されたアキリーズの怒りのことばで、ヘクターの卑怯を示すものではないと思いますが。
 そしてヘクターは殺した兵士の甲冑に着替えようと武装をといているときに、アキリーズに発見されます。そしてヘクターはアキリーズに、今は武装を解いているので戦闘準備が整うまで待て、というも耳を貸さず、一騎打ちでもなんでもなく、兵士に囲ませて一斉に飛びかかり名誉も何もないむごい仕方で惨殺する。そしてそればかりではなく、馬につないで戦場を引きずり回したというのだからアキリーズもあくどい。
 これだけの大仕掛けもあるにもかかわらず、ヘクターの死を知ってから幕切れまでが、あっけない。トロイラスは唖然として、退却。そして取り持ち役のパンダラスに八つ当たりをし、パンダラスは客に向かって自分の立場を苦々しく独白して、幕。そんな終わりって!!!
 終幕の仕方以外は、なかなか面白いと思うんですけどね。なんで、あんな終わり方にしたんでしょう。
 一騎打ちのシーンもかっこいいし、それに感動してそれをたたえる酒宴になるあたりも、なかなか美学があっていいです。ユリシーズの狡猾さも、アキリーズの傲慢も、なかなかよい。一夜でおわかれするトロイラスとクレシダの悲しみもいいし、ギリシアに渡ったとたんに、文字通り「不実なることクレシダのごとく」自由に男に色目を使うクレシダの奔放さも、いい。そしてその奔放さを影で見ながら歯噛みするトロイラスの無念も、なかなか心に迫るものがあります。
 それなのに、それなのに。もっといい終わりかた、なかったんだろうか?
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