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『終りよければすべてよし』
“All's Well That Ends Well”



《ざっくりしたみどころ(あらすじのあらすじ?)》

・ 自分の夫は、実力で手に入れる? 好きな男を夫にするために、あの手この手で大奮闘。魅入られた男の運命や、いかに!?


《あらすじ》

 主人公へレナは高名な医師の娘だが、両親を亡くし、ロシリオン伯爵夫人に世話になっている。ロシリオン伯爵夫人にはバートラムという息子がおり、父を亡くしたため若くして伯爵の爵位を受け継いでいる。そしてヘレナは、このバートラムに恋をしている。
 バートラムがフランス王に仕えるためにパリに向かうと、ヘレナの恋心は募るばかり。そこに、フランス王が不治の病にかかっているという話がとどく。そこでヘレナは、父親の残した最高の処方箋をたずさえ、バートラムに会いたい一心でパリに向かう。
 王はあらゆる治療を拒否するも、もしも治癒しなければヘレナは死刑、治癒したら自分が望む人を王の力で夫にする、という約束で治療にこぎつける。
 結果、王の病は癒され、約束どおりへレナは王の力で自らの夫を自らが選ぶこととなる。もちろんヘレナが指名したのは、バートラム。
 仰天したのは、バートラム。何せ、ヘレナのことを好きでもなんでもないし、だいいち伯爵と貧乏医師の娘とでは、身分が違いすぎる。バートラムは必死に拒絶します。
 これに王は激怒。この結婚は王の約束の遂行でもあるので、これを拒絶すること自体が、王の名誉に対する侮辱になるのです。そのため仕方なく、バートラムは結婚を承諾、その場で結婚式が執り行われる。
 が、釈然としないバートラム、まだまだ遊びたいバートラム、自分の妻は自分で選びたいバートラムは、ヘレナから逃れるために、即日戦場にその身を投じます。ヘレナと結婚生活するくらいなら、命をさらしてもヘレナから離れて戦場にいる方がまし、というわけ。そしてヘレナには、次のような手紙を届けます。
「おまえが私の手から決して抜けるはずのない指輪(先祖伝来のもの)を手に入れ、おまえの胎から私を父親とする子供を生んでみせる時がくれば、私を夫と呼ぶがいい。だがそのような時は、決して来ない」
 しかしヘレナはめげません。ヘレナはバートラムの後を追います。
 バートラムは戦地で、ダイアナという女性を口説いている。そのダイアナの家にヘレナはたどり着くと、事情を話し、協力を取り付ける。
 そこで、ダイアナはバートラムの愛を確かめるという名目で、バートラムの指輪を受け取る。そしてバートラムがダイアナのベッドを訪れる夜に、ダイアナと入れ替わり、ヘレナはバートラムと一夜を過ごす。そしてその際にヘレナは、王からもらった指輪を、バートラムの指にはめる。
 さて、戦争がおわり、またヘレナが巡礼の旅に出て命を落としたという話を聞くと、バートラムは喜んでパリに戻る。しかし王の不況を買ってはいるので、幼少の頃に王が提案した貴族ラヒューの娘との結婚を申し出る。
 そこで指輪を渡そうとすると、王がそれに気をとめる。その指輪は、王がヘレナに与えたものだったからだ。そしてダイアナもやってきて、自らの貞操を奪われたとして、結婚不履行に対して告訴がかかる。バートラムは戦場出入りの娼婦のたわごとと退けようとするが、ダイアナがバートラムの指輪を持っていることから、バートラムはどんどん不利になる。
 バートラムは今度は、ダイアナの色仕掛けにはまったなどとダイアナを陥れる言い訳を続けるため、ダイアナはこの指輪は返すから自分の渡した指輪を返してほしいという。その自分の指輪とは、王がヘレナに渡した指輪のこと。そしてダイアナは、自分は処女であることを明かし、バートラムは罪を犯し、罪を犯さなかった、などと謎めいたことを言う。
 そこに、死んだはずのヘレナ登場。妊娠している。そして、バートラムからの手紙どおり、指輪と子供を手にしていることをつげ、結婚を願う。バートラムはそのヘレナの強い思いに心を打たれ、結婚を承諾する。
 めでたし、めでたし?


《感想》

 なんというか、まあ、ものすごいストーリーですよ。これ見方によっては、正反対の物語ですね。
 ひとつは、行動力のあるヘレナがしっかりと自分の力を発揮し、与えられた難題も知恵と行動力で乗り越える強い愛の物語。
 もうひとつは、自分の好きな男を夫にするために策略をめぐらせ、逃げていく男にも食らいつき最後には手に入れる、なかばストーカー的情熱を持った女性の物語。本当にそれで、幸せかい?
 私は男なせいか、どっちかというと後者のように物語を感じてしまいます。
「終わりよければすべてよし」いやいや、そうですか?
「こんな終わりでいいのですか? 本当にすべてよいんですか?」なんて気分になります。
 みなさんも、自分のこととして考えてみましょう。年齢はおそらく、十代後半。家を離れ、花の都パリにやってきているのです。楽しいことは、まわりにいっぱい転がっていて、羽根を伸ばして青春を謳歌している。
 そんなときに、好きでもないなんとも思っていない女性(読まれている方が女性の場合は、男性と置き換えてください)と、王などという最高権力者の名誉をかけた命令で結婚しなくてはならないことになる。問答無用で。こりゃ、つらい現実ですよ。
 逆に自分の好きな異性で相手は自分のことなんとも思っていないというのに、こんなやり方で結婚して幸せな結婚生活を送れると思ったんでしょうかね、ヘレナは。
 愛の一方通行。しかも、権力を味方にした愛の強制。あんまりですよ。確かに行動力があるといえば行動力があるのですが、こんなやり方はあんまりです。そりゃ、逃げたくもなろうというものです。
 そして逃げた先でちょっと夜遊びしてしまうバートラムもおバカさんといえばおバカさんですが、そのすべてがヘレナの仕組んだことだとわかったとき、バートラムはどんな気持ちだったんでしょうね? 指輪を奪うくらいならいざ知らず、バートラムがベッドを共にした女性までもが、実は入れ替わったヘレナだったなんて……。
 この芝居では、バートラムはヘレナの深い愛にうたれ、永遠の愛を誓います。でもねえ、この自分がバートラムの立場だったらと想像すると、うすら寒いものを感じます。
 考えてもみてください。自分との結婚を暴力的に迫ってきた異性。そこから逃げたというのに、その先での出来事はすべてその異性によって仕組まれたことであり、目的を達成するためには手段を選んでいない。そんな状態になってしまったら、私なら深い愛は考えられないな……。むしろ、おそろしいですよ。火曜サスペンス劇場と、紙一重。自分なら、その異性に愛どころか、恐怖を感じてしまう気がします。みなさんなら、どうですか?
 う~ん、「終わりよければすべてよし」か。本当にこんな終わりですべてよしになるんだろうか??? いや、普通は「これでよし」にはならんわな。そんなむちゃくちゃな感じだが、芝居の中ではハッピーエンドの設定で終われて良かったねヘレナちゃん、ってことなのか??
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