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ライオンと魔女と大きなたんすについて思うこと(安藤先生講演会まとめ)
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『尺には尺を』
“Measure for Measure”
《ざっくりしたみどころ(あらすじのあらすじ?)》
・ 差し迫った欲求と権力に、ひとはどうかわるのか?
・ 権力者の壮大な人間人格実験?
《あらすじ》
権力は人をどう変えてしまうのか?
それをはかるために、ヴィエナ公爵は旅行による不在を装い、実直な部下アンジェロに公爵代理を命ずる。そして本人は、修道士に変装し様子をうかがう。
実直なアンジェロは代理に就任すると、ただちに正義のもと、古い法律を厳密に適用しようとする。それは古くからあるが長い間適用されず、制定以来まただれひとりその罰を受けたものもいなかった。その法律とは、婚前に女性を妊娠させた男性は死刑に処される、というもの。
そしてすぐに、クローディオという男が逮捕される。この男は、婚約者を結婚前に妊娠させたのだ。二人は愛し合っていたが、親がこれを認めなかったので、結婚ができないでいた。
クローディオの妹イザベラは兄の逮捕を聞き、公爵代理のアンジェロの元に行き、死刑にしないよう懇願する。しかしアンジェロは、法律の正義をたてにして、一切聞き入れない。絶対的な権力。
いままで女におぼれる男を見てあざ笑ってきたアンジェロだが、イザベラをみて、肉の欲望に取り付かれる。そして再び懇願に訪れたイザベラに、自分に処女をささげれば兄の命は助けてやる、と卑劣な提案をする。それを飲むことはできない。ましてやイザベラは、修道女見習いだ。このアンジェロの卑劣さを世間に訴えてやるとイザベラは言うが、自分の地位やこれまでの品格から誰もおまえの話など信じるものか、とアンジェロは居丈高。
イザベラは兄も大切だが、神に仕える身の操も大切と、兄に死の覚悟を促す。兄はもう恥も外聞もなく、イザベラにアンジェロと寝ろと懇願。イザベラは逃げ出す。
と、ここまで物陰で話を聞いていたヴィエナ公爵(修道士に変装)は姿を現し、イザベラにある作戦を伝える。それは、アンジェロが結婚寸前で捨てたマリアナという女があり、彼女をイザベラに成りすまさせようという作戦だ。マリアナはまだアンジェロを愛しているから大丈夫、と。
そして、暗がりの庭園で、アンジェロはイザベラにすりかわったマリアナを抱き、欲望をなしとげる。
これでクローディオは助かったかと思いきや、アンジェロは約束を反故にし、クローディオの処刑を急がせる。ここでも公爵はアンジェロの裏をかき、病死した囚人の首を届けさせる。
あたかも旅から帰ったように現れた公爵にイザベラが不正を訴えるが、公爵は狂人扱いして取り合わない。イザベラは、ここにあの修道士があてくれたらと、うなだれる。マリアナがアンジェロと関係をしたことを訴えるが、アンジェロはそうは思っていない。マリアナの件はアンジェロに任せ、公爵はいったん退去し、修道士の姿になり、またもどってくる。
そこで修道士姿の公爵は詰問され、女たちをたぶらかして公爵や公爵代理を中傷したと詰め寄られる。そして力ずくで投獄されようとするまさにその瞬間、修道士の変装をとき、公爵があらわれる。一同、唖然。
おののいたアンジェロは自らの罪深さを恥じ、公爵に自らの死刑を嘆願。そこで公爵は、まずマリアナの不名誉を正すためにアンジェロとマリアナの結婚を命じ、すぐに結婚がなされる。そのうえで、アンジェロに死刑を申し渡す。これにはマリアナは助命を申し出るが、公爵は聞かない。「クローディオにはアンジェロを、死には死を」と(クローディオは殺されていないが、替え玉の首が出され、ここに居るみなは公爵以外、クローディオは死刑になったと思っている)。
しかしここで、イザベラはアンジェロの助命を申し出る。
こうして、死んでいなかったクローディオはこの場につれてこられ、生きていることが確認される。そして公爵はイザベラに求婚し、めでたしめでたし。
《感想》
なんと申しましょうか、もってまわった芝居です。
実直で誠実な人間が、強大な権力の座につくと、一体どう変わってしまうのか。こういうテーマは面白いと思います。実際アンジェロは、女性におぼれる男を軽蔑するという自分の気分による正義感か、有名無実のほこりをかぶったような細かい法律を持ち出して、法の正義をたてに権力をまきちらす。まるで、自分の抑圧された心を、法の正義をたてにして吐き出しているようだ。
そして、修道女見習いの処女との性行為を兄の助命の取引材料に出してくるあたり、卑劣ですね。さらに、この不正をイザベラがみなに公表すると言っても、これまた権力の卑劣なことばで封殺する。
以下は、アンジェロのセリフ。
誰がそれを信じよう、イザベラ?
汚れのない私の名前、厳正な私の生活、
おまえにたいする私の証言、国家における私の地位、
これらをもってすればおまえの非難は崩され、
たちまちことばにつまり、中傷者の汚名がおまえに
着せられることになろう。
も~、いや~~な権力者、丸出しです。そしてこのセリフは、こう続きます。
いったんはじめたからには、
私は本能の手綱をゆるめたりはせぬぞ。いいな、
この熱い欲望に応ずる心の用意をしてくれ。
いや~~、破廉恥ですね~。権力って、すごいわ!!
さらに、ダメ押しします。
さもないと、兄上はただ死ぬだけではすまぬぞ、
おまえのつれなさのために長いあいだ苦しむような
死にかたをすることになるぞ。明日返事を聞こう、
返事がないと感情のおもむくままに兄上に対して
どんなむごい暴君にならぬともかぎらぬからな。
恫喝です、恫喝。イザベラ苦しいと思います。時に権力者とは、この手の弱者いじめをする、か?
そして捨てゼリフ。
どう吹聴してもおまえの真実は私の虚偽に勝てぬからな。
どうでしょう? これ。自分は虚偽であることをこんなに高らかに叫んだ勝利宣言! 悪者ですね。
まさに人は、大きな力には呑み込まれてしまうということでしょうか。
さて、私はこのストーリーが好きかというと、どっちかといえば、あまり好きではありません。というのも最大の理由は、すっきりしないからですね。
性の替え玉っていうやりかたも、シェイクスピアの作品の中にはたくさん出てきますが、これはあくどすぎる。なんというか、さっぱりしたところがまるでない。陰湿なじめじめしたものを感じます。
そして公爵も、なんというか初手から権力を握った人間がどう堕落するかを実験しているようなところがあって、なんだかさっぱりしないんですよね。いじけた感じ。
ストーリー自体はとても手が込んでいると思います。が、悪にしろ正義にしろ、ストーリー全体をおおいつくすじめじめした薄暗い陰湿なムードが、どうも私には肌に合いません。う~~ん、胸がわだかまる感じです。
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