幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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<ラボ・パーティ機関誌 ことばの宇宙 2004,Feb.-Mar.より抜粋>







わたしを野球につれていって




東京外国語大学名誉教授 河野 一郎








 歌は,その歌をうんだ国や地域の風と光をあざやかにかたる。ときには,なんまいもの写真やなん時間もの映像よりも1曲のメロディが,ぼくたちを見知らぬ世界へはこぶ。 歌は,その歌をうたいついできた人びとの汗となみだとよろこびを,やさしくかたる。ときには,なんまいもの手紙や何分ものスピーチより,1曲のリズムがぼくたちの魂をゆさぶる。 歌は,その歌をいまうたう人びとのかべをとりはらい,心をつなぎあわせる。ときには,なんかいもの握手やハグよりも1曲の歌が,ぼくたちを永遠の友だちにする。
 
 この夏にリリースされるあらたしいラボ・ライブラリー「ひとつしかない地球」は歌とおどりだけでつくられる。そのなかには,アメリカ,オーストラリア,ニュージーランド,そして韓国の歌やおどりなどが30曲以上もおさめられ,さらにラボのオリジナル曲としてラボっ子の大せんぱいである宮沢和史(ミュージシャン・The Boom)さんが,ラボっ子と世界の子どもたちにおくる新曲をかきおろすことになっている。本誌ではこの新しい歌とおどりライブラリーの刊行によせて,そのなかにおさめられる予定の英語の曲から,なん曲かをえらんで東京外国語大学名誉教授の河野一郎先生に,その歌のうまれたようすや,その歌にまつわるエピソードを3回にわたって紹介していただくことになった。




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 「線路はつづくよどこまでも」という日本語歌詞でもよく知られているこの歌は,南北戦争のころにアメリカ南部でできた民謡です。だれが作詞をしだれが作曲したのか,はっきりしたことはなにもわかっていません。アメリカ大陸を横断する鉄道建設は,南北戦争をはさんでいったん中断されましたが,1880年にはすでに全長16万キロが完成していました。この壮大な鉄道工事にたずさわったなかで,いちばん多かったのはアイルランド系の人たちですが,黒人の数も多く,その黒人たちが働きながらうたったのがこの歌のはじまりだろうといわれています。1881年にはすでにアメリカ各地でうたわれており,数おおい鉄道歌のなかでももっとも有名なものになりました。 アメリカ各地で長いあいだうたわれているうちに,地方によって少しずつこまかな部分がかわってきたものもありますが,歌の流れとメロディはいずれも同じです。
  Dinah, won’t you blowのあと,おなじような歌詞が息をせききったようにつづくのは,汽車の汽笛のリズムをあらわしたものです。このダイナというのは,鉄道工事ではたらく作業員たちにかわいがられていた食堂車の女性の名前だという人がいるかと思うと,その食堂車を引っぱっていた機関車の愛称だという説もあります。 1883年にできたテキサス大学では,この歌のメロディをそっくりそのままつかった“The Eyes of Texas”(テキサスの瞳)という歌を,大学の校歌にしています。

I,ve been working on the railroad
Tune Traditional /American Work Song

I,ve been workin, on the railroad, All the livelong day;
I,ve been workin, on the railroad, Just to pass the time away.
Can,t you hear the whistle blowing,
Rise up so early in the morn ;
Can,t you hear the captain shouting, Dinah, blow your horn!

Dinah, won,t you blow,
Dinah, won,t you blow,
Dinah, won,t you blow your horn?
Dinah, won,t you blow,
Dinah, won,t you blow,
Dinah, won,t you blow your horn?
[大意]
おいらは線路ではたらいてきた
まるまる一日はたらきずめさ
汽笛の鳴るのがきこえるかい
機関士のどなってるのがきこえるかい
「ダイナ,鳴らしてくれないか,
ダイナ,汽笛を鳴らしてくれないか」




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イチロー,松井選手などの活躍で,本場アメリカの野球場シーンがテレビで見られるようになったため,この歌をきいた方も多いでしょう。7回の表と裏のあいだに,観客がたちあがってのびをするとき,オルガンにあわせて大合唱するのが今ではしきたりになっていますが,これは1976年にシカゴ・ホワイトソックスのアナウンサーがオルガンの演奏にあわせてうたったことから,アメリカじゅうにひろまったといわれます。
曲の詞をかいたのはジャック・ノーワース(Jack Norworth)ですが,おもしろいことにこの人はもともと野球に興味はなく,試合も見たことがなかったそうです。1908年のある日,たまたまニューヨークの地下鉄内で野球の広告ポスターを見かけ,よし,これを歌にしてやろうと,わずか15分で書きあげたといわれます。
それが今では,「アメリカ国歌」(The Star-Spangled Banner)や「ハッピーバースデイ」などと並んで,アメリカでもっともよく知られた歌になったのですから,皮肉な話です。なお,ノーワースさんはこの詞を書いてからも32年間,野球を見なかったといわれますから,よほどがんこな人だったのでしょう。曲はアルバート・ティルツァー(Albert Von Tilzer)という人がつけました。 曲のはじめのほうに,「ピーナツとクラッカージャック(cracker jack)を買ってちょうだい」という表現がありますが,クラッカージャックというのはポップコーンやピーナツをあめでかためたお菓子。最近ではあまり食べなくなりましたが,それでもアメリカの人たちは「クラッカージャック」ということばをきくと,すぐに野球をれんそうするようです。映画館にはいるときは,ポップコーンをもってはいる子どもたちが(おとなも)おおいようなものです。
 
Take Me Out to the Ball Game
Words by Jack Norworth
  Music by Albert Von Tilzer

“Take me out to the ball game,
Take me out with the crowd.
Buy me some peanuts and cracker jack,
I don’t care if I never get back,
Let me root, root, root for the home team,
If they don’t win it’s a shame.
For it’s one, two, three strikes, you’re out, At the old ball game.”
[大意] わたしを野球につれてって ピーナツとクラッカージャックを買って 大声あげてホームチームを応援させて 試合は勝たなきゃだめだもの ワン,ツー,スリー―ストライク3つで 野球はアウト


TAKE ME OUT TO THE BALL Words by Jack Norworth/Music by Albert Von Tilzer
○1908 FRANCIS DAY&HUNTER LTD./permission granted by EMI Music Publishing Japn Ltd./Authorized for sale only in Japan



 
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 “White Christmas”や“Silent Night”,“Santa Claus Is Coming to Town”などと並んで,クリスマス時にもっともよくうたわれる歌の一つです。作詞はディック・スミス(Dick Smith),作曲はフェリックス・バーナード(Felix Bernard)で,1934年にはガイ・ロンバード楽団,1946年にはペリー・コモのレコードがヒットしました。 2003年の12月,アメリカ著作権協会は21世紀になってからの3年間にもっともたびたび演奏されたホリデーソングのTop25曲を発表しましたが,第1位は“The Christmas Song”,第2位は“White Christmas”,第3位は“Santa Claus is Coming to Town”,そして第4位にこの“Winter Wonderland”が入りました。参考までに第5位は“Have Yourself a Merry Christmas”でした。 雪だるまで牧師さんをつくって,結婚式をあげてもらおう,という発想が,いかにもキリスト教文化圏の歌らしくてユニークです。 あまりにも有名な曲でうたいやすいため,これまでにもいろいろな替え歌が作られてきましたが,そのなかには,「小道の雪はキラキラ光ってきれいだな,ぼくの黄色いおしっこでとおったあとをつけてゆこう,ワンダーランド」などという『ワンちゃんのワンダーランド』というふざけたものもあります。
 
Winter Wonderland
Words by Dick Smith Music by Felix Bernard

 Sleigh bells ring, are you listening,
In the lane, snow is glistening;
A beautiful sight, We’re happy tonight, Walking in a winter wonderland.
Gone away is the bluebird,
In his place is a new bird;
He sings a love song,
As we go along, Walking in a winter wonderland.
In the meadow we can build a snowman,
Then pretend that he is Parson Brown;
He’ll say: Are you married?
We’ll say: No, man!
But you can do the job
When you’re in town. (以下略)
[大意]
そりの鈴が鳴っている,きこえるかい 小道では雪がキラキラ こんやは楽しいすてきな雪の夜 冬のワンダーランドをあるいてゆこう 牧場で雪だるまをつくってみよう 牧師のブラウンさんにしてみよう 牧師さんはいうだろう,「おふたりさん,結婚は?」 ぼくらはこたえる,「いいえまだです,牧師さん, 町まできたら式をあげてくださいな」 冬のワンダーランドをあるいてゆこう
 
WINTER WONDERLAND Words by Dick Smith/Music by Felix Bernard/○1934, 1953 by WB MUSIC CORP./All rights reserved. Used by permission./print rights for Japan assigned toYAMAHA MUSIC FOUNDATION




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Profile




河野 一郎(こうの・いちろう)




1930年大阪に生まれる。1954年東京外国語大学英米語学科卒業。1964年,70年,カリフォルニア州立サンディエゴ大学客員教授(比較文学担当)。現在,東京外国語大学名誉教授。著書に岩波ジュニア新書『英語の歌』,『翻訳上達法』,『翻訳教室』,訳書に岩波文庫『英米童謡集』,E・ブロンテ『嵐が丘』,『ロレンス短編集』,ゴールズワージー『りんごの木・人生の小春日和』のほか,『ねずたんとねこたん』,『どうぶつなぜなぜばなし』の創作童話がある。
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