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2011年12月10日(土)芦屋ラポルテホールにて
片岡 直樹氏(かたおか・なおき)川崎医科大学名誉大学教授・Kids 21子育て研究所所長
演題「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」
1942年生まれ、愛知県出身。 岡山大学医学部卒業。川崎医科大学名誉教授。
Kids21子育て研究所所長。
30年以上の臨床経験を通じて「こそdて環境の悪化」を痛感し、子どもがよりよく育つ本来の家庭環境を取り戻す活動に熱意を注ぎ続けている。 日本小児科学会評議員、日本小児保健保護学会評議委員、日本未熟新生児学会評議員、日本小児心身医学会評議員、こども生活環境改善委員会委員。
著書に『テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している』(メタモル出版)、『しゃべらない子どもたち笑わない子どもたち遊べないこどもたち―テレビ・ビデオ・ゲームづけの生活をやめれば子どもは変わる―』(山崎雅保・共著/同)、『テレビを消したら赤ちゃんがしゃべった!』(山崎雅保・共著/同)、『発達障害を予防する子どもの育て方』(澤口俊之・金子保・共著/同)。
*まず、講演の初めの方で発達傷がいは、後天的なものだと仰いました。世界中で先生だけだそうですが、自信を持ってそう言われました。と言っても、育児環境だけがそうさせると言うのではなく、まして両親の至らなさによるものだったり、責めたりするものでもけっしてないというこどですが、先生が現在の育児環境に警鐘を鳴らしておられることは充分に理解できました。
50年前は発達障害はなかったと言われます。今現在では自閉症は100人に一人、50人に一人と増えてきている数字に驚きは隠せません。 確かに、目を合わさない子が増えていますね。 でも私自身、40年ほど前はよく考えてみると小学生時代、中学生時代にちょっと変わっている子だったかなと言うぐらいの子はいましたし、集中出来ずに外ばかり見ていてしかられている子はいましたね。それらは今よりも問題視されず、周りの人間関係が拡散していたのかもしれません。 地域にも子育ての社会力はあったのだと思います。 上手く皆と遊べなくて、乱暴者扱いされたり、優しい子なのに理解されにくい程度のことはあったと思います。 テレビ・ゲーム機器が中心の遊びではないにしてもインベーダーゲームが大流行したのは30年ぐらい前でした。そろそろ、子どもの遊びの環境は外遊びから内へ移行しだしていきました。
・チンパンジーは生まれてくるとすぐにでも、教えなくても立派にチンパンジーらしく木に登ったり行動する。これを「すりこみ」と言う。これは親がついていなくてもである。 しかし、人間は異なる、赤ちゃんの側には常に母親がいないとだめである。誰か大人が付いていろいろの関わり方で育っていくものである。
お腹の中でお母さんの声を聞いている。人間は生まれてから2歳、2歳半が大切、「3つ児の魂100までも」という言い方がありますが、先生はこの時期が一番脳の働きがすごいのですと、記憶力は東大生の倍だそうです。模倣とスキンシップが赤ちゃんを育てる。テレビ、ビデオ、は前頭前野を腐らせると仰る。早期教育、数字や文字を早くから覚えさせようとするより、五感を育てるような昔ながらの遊びをする方が先であるということです。 赤ちゃんのサインを親がキャッチして、コミュ二ケーションすれば良いのです。 TVの音では「人間の魂」は育たない! 「心の理論」="Theory of Mind" IT
時代は進んできたが、子どもの心は貧しくなったという。 一日中TV漬けの子どもは目玉も動かすことなく、無表情で2歳になっても言葉が出てこない。こんなことが起こって来ているのです。
・スポック博士の育児は失敗だったと仰ったので、はい、そのようですねと言いたい。私がまだ、出産したてで新米ママの時に「スポック博士の育児書」という本を親戚の人が貸してくださったので、夜中に泣くので困った時、本を開いて読んでみたがどうしたらいいのか迷うばかりで首をかしげたのを思い出しました。 3時間おきにきちんと授乳して、泣いてもあげないようにするなどとかいてある、3時間たってもすやすや寝ている我が子を見て、大丈夫かしらと不安になったりして、わざわざ寝ている子におっぱいを飲まそうかと起こしたのを今では笑い話になっている。
以前、小児科医の内藤寿七郎先生の講演を聴いた事がありました。先生が言われた言葉の中で「よく生まれてきたね。と言いながら赤ちゃんの目を見ると、最近は栄養が良いのだろうね、ちゃんと目を合わしてくれますよ。」と仰ったのを感動して聴いたのを思い起こしました。 目をみてやさしく抱っこしてあげる至福の時を大切にしたいものですね。
内藤寿七郎-日本小児科医会長、愛育病院名誉院長他…著「育児の原理―赤ちゃんのために―」アップリカ育児研究所発行(1989年第2刷発行)
2011年10月29日(土)芦屋ラポルテホールにて
森 ゆり子氏(もり ゆりこ)
演題『絵本で子育て』(絵本講座実演)
1952年広島県生まれ。
関西大学英文科卒業。出版・販売大手「(株)ほるぷ」に入社(23年勤務)。
2000年3月、ほるぷフォーラム設立に参加。現在、ほるぷフォーラム大阪代表、『絵本フォーラム』副編集長、NPO法人「絵本で子育て」センター理事長。
保育園・幼稚園・育児サークル・子育て支援センター・小学校の保護者や保育士・教諭、高校生を対象に子どもの育ちの危機を訴える講演活動を関西地区で活発に展開している。また、講演活動を行うかたわら、子育て相談も増えて家庭の環境づくりや、母親の心のケアにも力を入れている。現在、NHK文化センターの講師も勤める。著書に『絵本を読んであげましょう』(NPO法人「絵本で子育て」センター)
29日は対照的なエンターテインメント的な浜島先生と家庭的な森先生のお二人の読み聞かせ実演を体験させていただきました。
びっくりするほどの違いがありました。演劇を見ている様な浜島先生、静かに語る森先生は「すみれ島」を読まれる時には目を閉じて聴いてくださいと仰る森先生でした。
・読み聞かせで絶対してはならないこと、
①感想を聞かない ②子どもに絵本を選ばさない ③質問をしない
この3つです。
子どもは絵を見て声を聞いている。実によく見ているので絵から沢山感じられている。
絵本は表表紙から裏表紙まで見せて下さい。
*『いないいないばあ』
昔、「おらんとおらんとばぁ」と言う地方もあったそうだ。
赤ちゃんは別離と再開を訓練している。 不安と安心を繰り返している。これで情緒も安定してくる。 見守ってもらえる存在なんだという信頼を育てていくものです。
*『三びきのこぶた』『おおかみと七ひきのこやぎ』
<おおかみ=怖さ>がなくなり安心する。
感情はどう育っていくのか。愛の中で育っていくのか。対になって育っていく。
子どもにどう接したらいいのか、どう声をかけたらいいのか分からない大人がいます。
子どもが反応しますから、それに答えていけば「大好きだよ、愛しているよ」と伝えるのです。
*『いいこって、どんな子?』シーン・モデシット作 もき かずこ訳
帰る所がある「そのままでいいんだよ」
愛を伝える方法
①ことば ②スキンシップ ③同じ時間を過ごす ④プレゼント ⑤今求めているものに応えてあげる
*『ももたろう』赤羽末吉 絵 松居 直 作
絵本にはおやつの絵本と主食の絵本があります。
「ももたろう」は主食の絵本です。
①見返し、奥(裏)見返しがある。
②自分から桃を割って出てくる。
③「ほぎゃ」とか細く泣いている。
④成長していく様子が描かれている。
⑤鬼は悪いことをしていることが分かる。
⑥お姫様をかえせと言う。
⑦荒れた海(人生)、なぎの海(平和)を表している。
20年読み継がれている。初版から30版
*『くだもの』
きれいな日本語「さあ、どうぞ」とすすめている。絵本から正しい日本語を身につける。 粗雑なことばは粗雑な人格しか生まない。「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言う言葉で注意は出来るのです。
・大人の解釈をつけない読み方で、演出はしなくてよい。
感動を共有する。今日感じたことを、明日心に残って、何かあった時に実体験とことばが一緒になって刻まれます。
*『はなをくんくん』ある女の子にこの絵本が自殺を思い留まらせた。
読んでもらったことが浮かんでくるから、、、お母さんの温かい心が思いだされたのです。
良質の絵、正義、友情、我慢すること、あったかいもの、支えになるもの、松居直氏の言葉から「10年間、こどもに絵本を読んでやるだけで、全てを伝えることができた。」
長男の友さん「絵本は愛の体験です。幼子におはなしは消えることはない。指し示してくれる。勇気づけてくれるのです。生きる力=親子で楽しい時間を過ごしてきた時、楽しい思い出です。」
*『おおきなかぶ』
ことばを獲得する。語彙数を持っている。深い思考が出来る。
「とてつもなく、おおきなかぶ」この‘とてつもなく’と言う言葉の意味、使い方がなんとなく分かるのです。
「大事だよ!」「大好きだよ」と子どもにことばで届ける。パターンのみでひたすら覚えただけのことば⇒絵本から伝わる感動と読み手の「読んであげたい」という感動。
お母さんの声で物語を語ってもらっていない子⇒カッとなってしまう、死ぬところを見たい、行動にすぐ移す=高学歴の人に多い。
・2歳までテレビを我慢させましょう。
2004年の記事―ママとの愛情が感じられない4歳の女の子
「耳を育てる」
不快なこと―お腹がすいた、おむつがぬれた、さむい、あつい、いたい!
快いこと ―きれいになったね、きもちがいいね!
①自然と人の話を聞くことが出来る。②静かな空間の中でないと、大人の声が耳に入ってこない。
テレビがつけっぱなしだけはないように! ビデオの弊害、ゲームも依存性がある。
*『さっちゃんのまほうの手』目を閉じて下さいの声がありました。
小学生の低学年頃に問題提起する時期、心が感じられる。
さっちゃんのくやしい気持ちが小さくても分かる。理解出来る心を育てたい。
心の基礎体力を育てるには、毎日心を揺さぶること、ハッとしたり、ハラハラしたり、昔は異年齢で遊んでいたが、今は本が教えてくれる、いろんなジャンルを読むことで、楽しい時間を共有することが出来ます。
2011年10月29日(土)芦屋ラポルテホールにて
浜島代志子氏(はましま よしこ)作家・劇団天童主宰
*プロフィール
1940年インドネシアで生まれる。
神戸大学文学部国文学科卒業。神戸市立中学校国語科教諭を経て、松戸市に住む。絵本の見せ語り、人形劇の脚本、演出、出演、運営を行う。23年間の活動後、(有)天童・劇団天童を設立。ミュージカル、語り芝居などのプロ活動に転じる。著書に『えほん育児学のすすめ』『マウイ、たいようをつかまえる』(翻訳)『ママ、おはなしもっとして』①~③等、多数。(有)天童・代表取締役・劇団天童・天童芸術学校代表、日本おはなし教育連合会長。
☆演題「読み語りの楽しさ(実演)」
素敵な衣装の様な出で立ちで来られました。上着は日本の着物柄のモチーフにお生まれのインドネシアを思わせるロングスカートのコーディネート履物は草履でした。 劇団を主宰しておられると分かりなるほどと思いました。 講演が始まると知らないうちにお話に引き込まれていました。
・初めに「絵本は基本の起」と仰る。(「き」=起=はじまりということだと理解します。)絵本が日本を救います。絵本が心、心情を育て、救います。絵本には「絵」と「ことば」があります。 地震後の今、東北の人々は心が不安定、荒れている。絵本で勇気づけに行きたいが、癒すのではなく、勇気づけに! 学校では今も給食がない状態です。 寄り添う心を持って、決して上から目線ではいけません。 絵本という心の食材でメッセージを入れていきたい。
ディ・サービスセンターでの事、絵本を選んで、『つるにょうぼう』を選んだそうです。 悲しすぎる結末の物語です。「帰ってきてくれ~、悪かった~、おらがわるかった~」という言葉で終わるところに、「織りかけの布は、ずっと置いておいてください」というシーンを加えたそうです。 会場の人々は泣いて、泣いて、涙ぐむ人々でいっぱいだったそうです。
福島の人々は怒りが増えてきている。今では支援も断られてとか。「信じられるものがない」と言う人々にこの物語が人の苦しみ、悲しみを乗り越えさせると、そんなお話を聴きました。
・国語が出来ることがまず、大切第一に考えて~
心情⇒情の世界
「生の声」「声の力」「目力」
絵本は、大人の物。幼児の物という事を取り払おう。
真実を伝える。「善」「美」「勇気」「希望」「夢」を持つこと!
感性が動く=感動を伝える
講師は絵本で感動を伝える。物語は心に残るものだから。
地震は形あるものを壊す。壊れないものは「絵本」理論の上に立って「絵本の語り」をしますと仰いました。
「絵本育児学」という観点から絵本を実演
*ニュージーランド民話『タニファ』という物語
ロビン・カフキワ作絵、浜島代志子訳
参加型、心のコミュニケーション、ことばで心情を伝える。
テーマをちゃんと伝える。対話する。物語の中で語る。対等に話しかける。むしろ教えてもらう気持ちで、、
タニファは、目に見えない真実であり、タニファは血統、伝統を表している。絵本は人を信じることにつながっていく。
絵本に出てくる絵は
①緑の目は真実を見る ②羽は勇気をもらった! ③土は母の愛をもらった!
この3つを表す。
物語は、人々に力を与えるもの=物語は残る。
情を持ち、絵本の中に入って、個性で、こちんこちんはだめです。
*インディアンにつたわるおはなし『太陽へ飛ぶ矢』
ジェラルド マクダーモット作 神宮輝夫訳
絵を読み感じる。
先生は見開きページで、イントロメッセージを話して、文字のないところは想像しでナレーションを入れられた。 読み手は心を動かせること! 声を出させる。見えないものと闘う=自分、試練を暗示するもの、獅子(ライオン)、へび、ハチ、雷 と闘い乗り越えていく。
「今、ことばを持たない子が多い」と締めくくられました。
2011年8月20日(土)芦屋ラポルテホールにて
松居直(まつい・だだし)氏:講演「絵本のよろこび」より、講演内容をまとめました。
プロフィール:1926年京都府生まれ。 日本美術に親しむ幼少期、学生時代を経て、旧制中学在学中に敗戦を体験する。 戦後は同志社大学法学部で学び、卒業とともに1951年金沢の福音館書店に入社。 1956年に『こどものとも』を創刊、昭和期を支えた数々の才能を発掘、起用する。 現在、福音館書店相談役、NPOブックスタート理事、財団法人大阪国際児童文学館理事長など「子どもの本」の諸分野で活躍中。
20年も前にも氏のお話を聴いた事がありました。 びっくりするほどお変わりない容姿と健康的なお話しぶり、一言ひと言がストレートに心に飛びこんできました。 私がいうのもおこがましいのですが、今回も聴かせるお話をして下さいました。
*絵本は大人がまず自分の読書として読むことです。
「大人が絵本をよむこと!」何を希望し書いてあるのか、自分の中に定着した上で、子どもたちに読んでいくことを考えてみる。
もう一度大人が体験をして、自分の中の子供を体験を思い出す。自分が共感できる本を、3人の子供に10年間読んでやったので編集者になれた。 本の中に書いてある本をまた読み返すことになる。 自分の中に新しいものを取りこむことができる。「人生の中で3回出会う。」3回どころではないが、2~3才ぐらいまで読んでもらった。 6人兄弟の5番目、母は私に読んでくれる。母は躾のきびしい人だった。 寝る時に寝顔を覚えている。至福の時間だった。「こどものとも」「こどものくに」絵雑誌を読んでくれた。
・「童画」絵を見る楽しみ、絵を読むことができる。 今は絵を見せるものが多くなったが、「絵は読むもの」昔は読めるものが多かった。 物語の世界がある。絵が語れるのだ。 赤羽末吉、堀内誠一などです。
赤羽氏の「かさじぞう」は360度の世界を子供たちに見せたいんだということ。 話しているうちに第6感で何かを想像していくことが出来た。 鋭く本物の本質をつかむ心の動き、心を豊かにしないと第6感は働かない。
人の話をどれほど聴けるかが大切=聴く力、今の子供は機械の言葉で、人間の言葉ではない。 TVはめ見ているのではなく見せられているのです。
・先生は「子供たちが聴くことが出来る話ができるか」?!
ロビンソークルーソー(副読本)をしぶたに先生は英語の先生だったが、脱線につぐ、脱線の話をしてくれた。 子供の感性を豊かにする話を! 絵本を読む、本当に語る。
遠野に(すずきさちさん)一人語りを200話出来る。
ある時リクエストで「かさじぞう」があがった。かなりの間をおいて語り始めた。 お父さんから聴いたものばかりで、囲炉裏端で聴いた。初めてのお話だったので間があったのだが、それは「自分の中で見えている世界を語っているだけです。」父の中に絵が見えている。それが語られているそしてそれが私にも見えるようになった。 思い描いて、子供に語る。読み手の気持ち、自分の思いが伝わって子供の感性がひろがっている。
・意味がわからなくても子供には感性で伝わるものだ。 それは子守唄のように無意識にでてきた。
子供っていうのは、日本語が素晴らしければ、意味がどうのこうのではなく、心、気持ちである。今、子守唄を歌える人は4%のみだとか。
俵万智さんは、「3びきのやぎのがらがらどん」2歳で毎晩何度となく読ませたそうだが、3才で全部語れた。
このお話を取りこんだ。このお話を食べた。 そうして3才で「ことばを表現する喜びを知った。」
・子供に本を読むも勝手、聴くのも勝手、広げれば空間で読んでいて子供はきいている。
がらがらどんの作者マーシャ・ブラウン氏からの疑問「どうして、日本の子たちはそんなにこの絵本が好きなんですか?ノルウエーのお話なのに…」と訊ねられたそうです。
どうしてか?―それは瀬田氏の日本語が良いからです!
「おおきなかぶ」まったくうそのお話だが、本当になるのが面白い、うその中に本物とうそがある。 ここに面白さがある。
・言葉は聴き覚えるもの。
生活の中のことばを身につけていないと、子供たちと一緒に自然の中で知っていないと実感出来ないと感じられたか。 例えば、雨の降り方、しとしと、びちょびちょ、バラバラなど。
「絹ごしの雨が降っているね。」見えるか見えないくらいの雨だった。
・「くまのぷーさん」翻訳が素晴らしい。 石井桃子さんの見事な記憶力、観察力、体験が豊かなものだ。 ぐりとぐらの中川さんも子供の言葉を聴く力がある人です。
「ことばは生きる力」考えるのではなく、一緒に体験する。
「言葉は見えない。命、心、愛、うそは本当は見えません。 でも…子供の本との付き合いで、私は見えるようになりました。」とはっきりと仰いました。 ドキリとした瞬間でした。 自信を持ってなさってきた結果のお言葉ですね。
2011年6月18日(土)芦屋ラポルテホールにて
とよだ かずひこ (豊田一彦)
1947年宮城県生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。
2人の娘の子育てを通して絵本創作をはじめる。 現在東京在住。
主な作品
・『でんしゃにのって』などのうららちゃんののりものえほんシリーズ
子育て中のお父さんが読み聞かせするのは最高です。
人間の「核」としえ変わらないもの、ひと時楽しい作品、軽やかに木をてらわず時間 をねせて時々だして編集者と話して作っている。
・『バルボンさんのおでかけ』ワニのバルボンシリーズ
主人公の名前は大切だ。阪急ブレーブスの野球選手バルボン氏が主人公で(キューバ出身の黒人選手、歯が白い)
お話の設計図=O型、33才、独身、マイホーム有り、動物園勤務、家は熱帯林、保育士の先生さくらさんと結婚
『ぎーこんぎーこん』などのしろくまパパとあそぼうシリーズ
・『どんどこももんちゃん』などのシリーズ
「ももんちゃん」赤ちゃん絵本、乳幼児がわかるかどうかは別に、読み手が楽しめるものとした。
『ももんちゃん、ぎゅ』
・『ももんちゃん、え~ん、え~ん』自立した赤ちゃんを想定したもの。作品は表表紙から作る。
『でっかいさんぽ』『いきものいっしょうけんめい』『りんごころころ』(文・松谷みよ子)紙芝居に『でんしゃがくるよ』『ごしごしごし』最新作は『りんごくんがね』
2011年6月18日(土)芦屋ラポルテホールにて
絵本講師・養成講座
飫肥 たすく氏(おび たすく) 批評家・エッセイスト
演題「子どもと絵本、そして「生きる」こと。」
1945年1月、戦時下の大連生まれ。 47年秋、父の郷里、宮崎県に引き上げ日南市に育つ。 早稲田大学卒。新聞・雑誌記者、月刊誌編集長を経て書籍編集者に。 歴史・文学・教育・児童書の企画編集に永く関わる。
小論に「各国歴史教科書記述の相対性といくつかの問題」、「伝承童謡:マザーグースと19世紀英語圏の児童文化」、「原爆文学の語るもの」。
共著に『家永三郎:日本の歴史』、訳書に写真絵本『おもいだしてください あのこどもたちを』、『写真記録:日本の24時間』(共訳)、『ゴルバチョフはどんな改革をめざしたか』など。 「絵本子育て」センター 㷀書第一弾として『たましいをゆさぶる絵本の世界』を刊行。 千葉県市原市在住。
・講座を聴いて…
演題「子どもと絵本、そして「生きる」こと。」
1.おもいだしてください あの子どもたちを
自然の猛威に人がもたらす大災禍に想う/三陸にあったコミュ二ティ/往きて還りし物語・日常の大切さ
C.B.アベルス『おもいだしてください あの子どもたちを』
D.ホール/B.クーニー『にぐるまをひいて』
・ユダヤ、ナチスあの時代写真集32ページの物語
・子どもへの思いがなかなか届かない。
・日本も3.11.東日本の400名ほどが両親を亡くし、また片親を亡くした子はもっとだ。 将来はどうなるのだろう。
・学校と地域社会⇒親と学校の関係は、今やしっくりいかない。
モンスター・ペアレンツ、また、親が子ど一緒になって金品を巻き上げる。
先生も辞めていく現状
3.11.を機に日本人が変わっていけるかもしれない。
高度成長期以来、おかしくなった日本から震災のおかげで被災地では、支援活動に携わる人々、学生がいる。
・大都会だったらどうなっていただろうか? 東北の人々は力を合わせて助け合っていた姿を見せてくれた。
・「普通に生きる」って何だろう?
B.クーニー『にぐるまをひいて』絵本が示唆してくれている普通の生活。
家庭の一人ひとりが役割を持っていて、歌かな暮らしをしている。お父さんはにぐるまをひいて、物を売りにゆき、また同じように帰って行く。繰り返し、ふりだしの生活、往きて還りし生き方。
2.子ども時代
たとえば、僕の子ども時代/かつて、子どもは「小さな大人」だった…子どもの時間と大人の時間は同じだろうか/子ども時代と「本」のこと。
J.J.ルソー『エミール』
イエラ・マリ『木のうた』
バーバラ・クーニー『ルピナスさん』
・子どもたちを中心に考えた方が良い。
子どもたちにパワーがあった時代
子どものことを一生懸命考える大人がいれば世の中は大丈夫だと、、、
子どもや年寄りが生きずらい世の中はおかしいのだ!
(子ども手当、後期高齢者年金)
・地下のもぐらの町ではバス代は1円、子どもと年寄りは無料だ。
・少子化は、子どもを守るために自分の側に置いておこうとして少子になったのかも、環境をつくる⇒のびのびと、泥遊び
ゆとり教育=コミュニケーション力を育てようとしたが、、仲間を作ることと同じ。東北の人々は苦しくてもつながろうとしたが、東京電力の人々は繋がっていなかった。
・絵本で学び、絵本で育てようとしている私たちは、、、
携帯電話はコミュニケーションではない、会ったこともない人との繋がりはないのだ。=利益や権利だけの社会、純な精神性で子どもと繋げる。
・「三つ子の魂」=母と子=父、おじいさん、互いが気持ちよくなれる折り合いを! おばあさんはふれあいを作っていく。 泣いたり、おやつをあげたりしてコニュ二ケーション
・自然の力の教育力は絶大だ。
海へ行って遊んだ経験、年上のお兄さん、お姉さんと一緒=危機回避能力、けんかの仕方が上手い。
・今の学校では、
子どもたちで委員会、クラブを先生が決める???⇒子どもたち同志で自然とたわむれさせる。
『木のうた』文字のない絵本、同じ場面が少しづつ変わっていく絵、季節が何かを訴えている(試されている大人、大人の絵本とも言える)
『ルピナスさん』ルピナスさんが子どもだった頃、名前はアリスだが、愛称がルピナスという素敵なおばあさん。
オービーという孫がルピナスさんの一生を語るスタイル
おじいさんとの3つの約束をする。
①遠い国に行く ②海のそばに住む ③世の中をもっと美しくするために何かする。
3.可愛く・愉快で・元気よく…、童心という宇宙、感じるこころ。
「母性」って何だろう。 コミュニケーションの初めの一歩は欲求。共感行動から
・ドノフリオ/マクリントック『ないしょのおともだち』
自然に遊べる環境、親、町、近所、正しくコミュニケーションを育てることで、豊かさを作っていくのだろう。 こんな隠しごとがある子どもなら素敵だと思う。
スティンスン/ルイス『あかがいちばん』
R.ボーンスタイン『ちびゴリラのちびちび』
4.おじいさんだって子どもと遊ぶ。 絵本に遊ぶ。
子どもと遊ぶ心がもたらす清新さ/大切なものは何かを問い、かつての希望や疑問を蘇らせる。
・J.バー二ングガム『ガンピーさんのふなあそび』
こんなおじさんがいればなぁと思う。
・D.マコーレイ『アンジェロ』
このおじいさんのしたたかさを称賛したい。
子どものこだわりがテーマ、本も良し、偏屈さも良し、どうせ死ぬのなら、命、生き、精一杯生きる。 何か一つ獲得物を!!
*実際に声を出して読み聞かせて下さった。 バリトンほどの男声でしたので心ゆるやかに聴けました!
2011年4月23日(土)芦屋ラポルテホールにて
絵本講師・養成講座
中川正文氏(なかがわ・まさふみ) 作家・大阪国際児童文学館特別顧問
演題「絵本・わたしの旅立ち」
1921年生まれ。 龍谷大学卒。
戦前10代から創作をはじめる。 戦後1946年、児童文学者協会の創立会員。
1949年、京都女子大につとめ、1986年定年退職、現在名誉教授(児童文化学)。
伊藤整や遠藤周作と第1回A.A作家会議日本代表。 絵本『ごろはちだいみょうじん』など著書100冊を超える。 2006年絵本評論『絵本・わたしの旅立ち』(NPO法人「絵本で子育て」センター刊)、2009年『きつねやぶのまんけはん』をNPO法人「絵本で子育て」センター(企画・絵本講師の会)より出版。 京都府文化賞など受賞も多い。 現在、京都府宇治市在住。
講演を聴いて
始まりは90歳とは思えぬ言動に圧倒されぎみで講演がスタートしました。
・絵本の与え方、なぜ与えるのか? 与えるってどういうことですか?
そもそも「与える」という言葉は使わない。与えるとは、人に物を授けることだが、これはた高みに立っているし、思い上がったことだ。 また、絵本をおろすなんて言うのは、大人が高みに立っていて、子供に対して低く考えていると言うことだ。
結論から言うと―子供と大人が、教師ではない普通の人が共に楽しむのが基本的な原点だ。 つまり、大人やお母さんが子供と共有する。ともに成長する。 ちゃんと一冊の本を仲立ちにして共に成長する。 この世に生まれた限りは共に成長するのだ。 お母さんが感動するとはどういうことか。母が受け取って感動する。
文章のない絵本だってある。 絵本は中間文化、一冊の絵本が仲立ちして、子供につないでくれる。 大人は子供たちがどういう子供たちなのかを知って絵本を選ぶ。 深まった内容を子供は身につけるのだ。
・読み手は絵本を通して本当の関係をつくろう!
①本気になって選ぶ必要がある。 思想を持っていないとダメだ。片寄っていないか。 一人ひとりが好のみも違うから自分にとってもどうか、元に引き戻す。 子供にとっても生活空間、物質的、精神的に、世界を広げる内容かを考える。 問題解決、生きていく為の知恵、広い世界にすむような内容、情緒的に自分の行動を評価しながらするとより効果的である。
②子供が生きていく時点で、問題を解決できるものを読む。 災害に出会った時、子供に何を手渡すのか。
③おもしろいこと。
・ブックスタート(運動) なるべく早い時期に良い絵本に出会って。
生まれてからでは遅いじゃないか。お父さんも絵本を読む。声の記憶があるのだから、子宮の中で聴いている。 絵本にかいてなくてもいいやないか。 同じことを繰り返すものだ。 何べんも言うことによってお腹にまいた種をいつか思い出す。 母の言葉だってちゃんとした人間との関係性。 |
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