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羊羹 |
04月01日 (月) |
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これから中国外務省の人と会うの。そういうとラボっ子たちは驚きの声をあげたが、
事情を知っている大学生がくすっと笑った。
そう、私の中国の息子に会うのだ。
2005年ー06年の冬に我が家にホームステイしたハオくんは、メールリストにも携帯にも
「家族」の欄にアドレスを載せている。私が日本の母だ。
その彼が、中国外務省に入ったのは昨年のこと。
日中の状況が難しいなか、苦労しているのではないかと、心配していた。
メールも、彼の不利益にならないよう、気を配ってきた。
彼も、微妙な立場を理解しており、このような状況では民間の力に頼るしかないと思うと言っていた。
そのハオくんと久しぶりにあった。
また大きくなったんじゃない? そんなことないよ~。
頼んでおいた国家博物館は予約を入れておいてくれた。あとはハオ君のお任せコース。
歩きながら、メールでは話せなかったいろいろなことを話す。
あるいは、ただ黙って同じ時間を共有しているだけで、心地よかった。
夕食が味が濃かったので、デザートがほしいと頼んでもらったら、
「お楽しみ」といって、出てきたのが「豌豆黄」(ワンドゥホワン)
西大后の好物だったというえんどう豆のようかんだ。
ちょうど、舟和の芋ようかんのあっさりしたような感じ。
「羊羹? え?これ羊羹じゃないよ。」そういって、説明しだす。
あら、ハオくんは、知らないんだね。
日本の羊羹と、中国の羊羹がべつものだってこと。
同じ言葉でも意味が違う。
手紙(日本は書簡)と手紙(中国はトイレットペーパー)みたいなもんよ。
羊羹とは、文字通り、ひつじのあつもの、つまり羊肉のスープだ。
(羹(あつもの)に懲りてなますを吹くの羹)
それがどうして日本でおかしになったのか、さっそく調べだすハオくん。
「うーん・・・」
日本で羊を食べないので豆で代用するうちお菓子になったという説と、字の間違いという説。
どちらも中国から入ってきたものが日本流にかわったのだね。
昔、コピーは日本側で大流行りだったわけで、しかも、似ても似つかぬものにしていったわけよね。
同じ言葉でもこんなに意味が違う。
日本通のハオくんでさえ、知らないことがある。
双方で別のことを思って通訳できたと誤解する可能性がある。
アメリカ人なら、ゼロから説明必要なところを、
同じ漢字を使っているから同じ理解だと思うと大間違いなのだ。
中国から入ってきた言葉なのに、日本では意味やニュアンスが異なることはたくさんある。
だから、にわか漢語使いはもっと危ない。
漢字も漢詩も、故事成語も、学校で習ったくらいではない深い意味合いもあるので、
かえって浅薄さをさらけ出すことになる。気を遣う。
ハオくんとは、親子なので、誤解から生じる笑い話にも興じた。
ねえねえ、名前の面白い話、ない?
(前日、ラボっ子たちとおもしろ名前の話題で盛り上がったので、それをまず披露)
日本語がわかるだけに笑いこけている。
「中国なら・・・何 赫赫さん。ピン音だと違うんだけど、英語で書くと
My name is Hehe He.」
ぜひ、羊のスープを、飲んでみたいね。
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