幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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これは2004年に受講した連続児童文学講座の第1・2回の百々先生の講座をまとめたものです。先生は日本女子大学教授で英米圏児童文学の研究・翻訳に携わっておられます。第1回の「こどもの成長と読書」は、百々先生がドロシー・バトラー著「赤ちゃんの本棚」0歳から6歳まで(のら書店)を翻訳なさった経験に基づいてお話なさっているものだったと思います。第2回は「ナーサリー・ライム」。いうまでもありませんが、ラボライブラリーSK22メリーゴーランドに入っている「ナーサリー・ライム」を編集された方です。

児童文学講座第1回 「こどもの成長と読書」
                  2004年4月12日 ラボ教育センターにて
 今回は誕生直後から小学校入学までの本について、子供の年齢の発達状態とどういう本を選んだらよいか。
 0~1歳は視覚が未成熟であるので、明るい色・明確な輪郭・シンプルな良さを持つ本がよい。例えば、ブルーナ「ABCって何?」わらべ唄(ナーサリーライムズも含む)絵本、あそび唄、詩もよい。形(韻・リズム・繰り返し)の良い詩の快感がことばへの愛着を育む。
 1~2歳は、ブックコンタクトの開始時期である。本のある生育環境で潜在能力が引き出される。子供は自分の世界を動き回り、物を操作し要求や感情を知らせるようになる。自分で本を手にしたがる気持ちを満たす。(かじっても大丈夫な)厚紙の本、布の本・「ピーターラビット」のような小さな本。ストーリーを追うことが自動的にできるわけではないので頁完結型の本がよい。テーマの本、ネーミングの本(乗り物や動植物など)・遊びの本(フラップ付きでさがすもの)・詩集など。2歳までは音の楽しみのほうが重要。喜びとやすらぎをもたらす本と共に送るよい人生は、計り知れないほど豊かであると親子ともに確信を持つようになるこの時期を大切に。
 2~4歳は言語面での成長が著しく妥協の返事さえできる。ことばの意味の微妙な違いも理解する。「なぜ?」「それ、なあに?」と読み聞かせが中断されるのがこの時期。本を選ぶとき、複雑な言語パターンを避けない。3歳児は動物昔話を楽しむ。例えば、「3びきのクマ」「3びきのこぶた」「3びきのやぎのがらがらどん」物語の条件となる適切なテーマ・すっきりした筋立て・生き生きした登場人物・なめらかに進みクライマックスへ盛り上がるテンポのよい文章・一体感(共感)を持つ本がよい。たとえば、「ガンピーさんの舟あそび」。黒白の絵を楽しむ「百万びきのねこ」。詩は、耳だけの注意を求め、内なる目を作動させます。子供は生き生きした想像力をもっているのだと信じてもっと詩を読みましょう。子供の頭脳は知識の体系を構築して学ぶ。物語の文は、新しい素材と古いものを頭の中で結びつけ、物語の文章の型は、感受性とリズムの富む言語の用い方によって根付く。
 4~5、そして6歳は、自立心が増し、主導権を握りたがる。想像力がますます発達する。経験の積み重ねがある。新たな理解を日々得る。想像が先走る。長い物語を楽しむ時がきた。例えば「グリム童話」「アンデルセン童話」。リアリズム文学「ドジャー」「テイツチ」など。詩の読み聞かせは、絵のない本を読む準備となり、感覚を刺激し、想像力を活性化させる。感情の自己否定をする年頃では、自己抑制は孤独感につながる、人間は恐怖心をもつのが自然であることを子供は物語から感じる。物語が示すのは、人間は無力であり、目的のある行動は予想通りの結果を導き出す。難問は克服できる。いろいろな本と出逢うために図書館の利用カードを持とう。自宅に本棚を作ろう。本によって、有限な経験に依存する状態から救われ、多くの他者や今でない時間やここでない場所と出逢うことが可能であるとの認識が生まれる。児童文学は子供をゆっくり育てます。

第2回「ナーサリー・ライム」    2004年4月26日 ラボ教育センターにて
Ⅰ ナーサリー・ライム絵本について
チャップブックが絵本の先駆けとなった。チャップはcheapが語源で、17世紀ニューベリの教育書やアルファベットの本を買ってもらえるのは少数の恵まれた子供だった。庶民の家族が手にすることができたのはニューベリの絵本の半額で買えるチャップブックだった。最初は大人向けの通俗的な流通本であったが、17世紀半ばに印刷上の規制が緩和されて(紙が手にはいるようになって)18世紀頃から子供の読者を想定した本が作られるようになった。内容は、昔話・わらべ唄など。「コックロビンの死の埋葬」もある。
19世紀後半にはウオルター・クレインとランドルフ・コールデイコットの出現によって絵本の黄金期を迎える。クレインの絵本には「幼子の花束」「幼子のオペラ」「ハバードおばさん絵本」がある。コルデイコットは毎年クリスマス時に2冊ずつ8年間に16冊の絵本を出版し40代で他界した。センダックに「ページを開くたびにそこから音楽が聞こえてくる。人々は踊る。」と言わしめたほど、コルデイコットの絵がまた物語を独自に語っている。
 たくさんの貴重な絵をOHPで見せて下さいました。

Ⅱ 音揃えとくり返しの意味:子どもの言語獲得との関わりにおいて(論文より)
ラボで出版された「詩とナーサリーライム」3巻に収録された伝承童謡は英国の子供のいる場において存在感を示しつづけてきたものである。第1巻の51編のうち45ないし46編が脚韻を踏んでいるとみなすことができる。英語を母語とする幼い子ども達には、脚韻を踏む詩、節目節目で音を揃えるあるいは繰り返す詩が好まれる。ことばや表現の繰り返しは、音の繰り返しにほかならない。脚韻にみられるように音を揃えること、そして、ことばや表現を繰り返すことは、わらべ唄として認定される条件を満たす要素の最も重要なものが「音」であることを証明している。そして「繰り返し」という行為自体の様式化が英国伝承童謡の大きな特徴である。
 英国伝承童謡にはファンタジーの世界が展開されているというのが一般的な受け止め方である。ここではファンタジーと書いたが、常識の世界からはずれた、あるいは理論的にあり得なくて可笑しいという意味のノンセンスと言い替えてもよい。第一巻の50編に限って分けてみれば、24編がファンタジー、21編が眠らせ唄のように現実も感覚を持つリアリズムの世界の唄であり、残りの4編はどちらの要素も含んでいるという結果がでた。わらべ唄はバランスのとれた世界の呈示を乳幼児、児童におこなっていることになる。わらべ唄誕生のプロセスにおける一つの行動基準「音を揃える、繰り返す」を最重要視したことを考えれば、テクストのノンセンス性は二義的であったともいえる。
ことばが子どもにとって最も重要な遊び道具になり得るのは、その簡便性にある。保育室でことばの美を知る子供は幸せである。そういう子供達は何もない空間でことば遊びで感動や笑いや興奮を生み出すことができる。美と簡便さがこれほど容易に結びつく領域がほかにあるだろうか。日ごとに月ごとに、身体的にも精神的にも変化をとげて成長していく子が、生まれてすぐから伝承童謡の美を音の繰り返しを通じて体験し、のちに自らも音遊びを遊ぶなかで、ことばの無限の可能性を見いだし、言葉を操る琴への愛着をもつようになる。言い替えれば、英語圏伝承童謡は英語という言語の音声的美的な側面を認識させる役割をになっているのである。
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