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夏越しの祓いもすぎて文月。あっち向いたりこっち向いたりして和が生まれる。 07月03日 ()
三澤制作所のラボ・カレンダーをめくる。
文月朔の透明な海
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夏越の祓いも過ぎて文月。
2019年も後半だ。
かつて日本人は大晦日と同じくらいの
新たなtensionでハーフタイムを意識したのだ。

『うみのがくたい』に題材を求めた作品。
描いてくれたのは成毛希海さん(5歳/調布市・木村P)。
なんという透明感、なんという躍動感、
なんというバランス、なんという奥行き、
なんという闊達さ、
なんという造形のたしかさ、
なんという静けさ、なんというリズム、
なんという祈り、なんという喜び、
なんというせつなさ、なんという深さ、
なんという命の輝き、
なんという鎮魂、
なんという詩情、なんというたくましさ!

もうこれだけ書けば十分かもしれない。
ぼくの軽薄な感想の垂れ流しなどむなしい。
そう思わせるほどショックを受けた。
この週末、
新幹線のなかでもずっと『うみのがくたい』のテーマ音楽が流れていた。

とはいえ、いいっぱなしでは
勝ち逃げみたいなので、
恥をしのんで書く。

上記のごとく、ほめどころが
多すぎるのだが、
まずは色味の透明感が好きだ。
「スカッと抜けた」感じの様々な
青、コバルト、水色がたまらない。
明度や彩度がそれぞれ微妙に異なるのだが、
どれも本当の海よりも深く澄んでいるのがたまらない。

そして、白と水色
のクレバスで引かれた潮の流れが、
クジラたちの不思議な躍動感、生命感を
際立たせているように見える。
たぶん、水色の線を先に後から白の線を引いたと思うが、
この二種類の線を引くことだけでもすごいのに
ほとんど迷いなく、軽やかに
まさに水のようにすっと引かれているのに
ただだ感嘆するばかりだ。
はっきりと意図をもって、
でもとらわれることなく引かれた線。
自由だが表現になっている!

クジラもまた単純な黒と白ではなく、
細かい濃淡をつけていて飽きさせない。
さらにクジラも大胆にフォルムにこだわらずに
描かれているから、
動きがあり、本当に音楽が聴こえてきそうだ。

この絵のもとになった絵本の作者である
丸木俊先生は、制作に2年間をかけられている。
なかでも、水のなかで楽器を演奏する魚たちの
動きのあるフォルムに大変なご苦労をされ、
近所に住む「お魚博士」のような
魚マニアの少年に助言を受けられたという。
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画面の大半は圧倒的に多種の青が占めるのだが、
わずかに覗く夕焼けの赤も、
じつにていねいになドットで、
しかも濃淡をつけてしっかりと色を置いているのにも
ただ驚くばかりだ。
またラッパのイエローや小さな魚たちのオレンドが
アクセントに成ってるのも見逃せない。

しかししかし、なんといっても
青の種類の多さだ、
この感覚と粘り強さはすごい。

希海さんの5歳という年齢に
驚いた人も多数いると思うが、
元絵があれば、このくらい描ききる
「絵のすきな5歳の子ども」はそれほど
めずらしいことではない。

しか、希海さんの場合は
総合的な描画力、
上記に紹介したディーテールのすばらしさも含めた
トータルな絵の力、
また、感覚の鋭敏さ、
さらにラボ・カレンダーの規定サイズの大きな紙を
完全につかいきり、しかも疲労感や濁りどころか
これだけ爽やかな作品にした力は、
まちがいなく飛び抜けていると思う。

いつもながら、希海さんとこの『うみのがくたい』トマ
関係を知りたいものだ。

さて、少し青の話をしよう。
名前の付いている青は、
世界でも多い。
マリン、スカイ、プルシャん、ターコイス、
ネイビー、コバルトなどなどいっぱいある。

日本でもいわゆ伝統色は
およそ428色あるが
そのなかで、名前の付いた青系は
少なくとも60色ある。
浅黄色、深藍、水縹(みはなだ)、瓶覗(かめのぞき)、
勝色、御納戸色などこれらは全部青系だ。

青は、現代では
晴れた日の海や瑠璃のような色の総称だが、
古くは露草の花による摺染の後、
ほぼ藍染によって染め出された。

とにかく青の範囲を広く、また変遷している。
平安期には青と呼ばれる色は青白橡(あおしろつるばみ)の
くすんだ橙味のある黄色に近かったとといわれる。
現代ではシアン系(ちなみにラボマークのカラー指定色はC100)のほか、
空や海や水の澄んだ色、青葉や野菜の青物など
緑色系統の色も含む。
「おの尼君は、住ひかくかすかにおはすれど、
装束のあらまほしく、
にび色あをいろへど、いときよらにぞあるや」
『源氏物語』「宿木」紫式部。

希海さんは、これらの青を惜しむことなく
総動員した。
筆を何本使用したかはわからないが
そうたくさんではないはずだ。
だから、かなりしっかり筆洗し、
都度、筆全体をタオルなとでよく拭いていると思う。
そり繰り返しのエネルギーだけでもすごい。

いつも思うのだが、その力のは
「ものがたりの力」以外のなにものでもないということ。
ラボ・ライブラリーと向き合い
耳の心と身体で取り込んだ「ことばと心(物語の)」
が生み出したパワーが
もともと希海さんが持っていた描画力を
さらにスケールアップしたと信じたい。
だとすれば、いい話じゃないか。
このすばらしい青たちを
希海ブルーと呼びたい。

絵本『うみのがくたい』は
福音館書店「こどものとも」1964年2月号で配本された。
現在は「こどものとも」傑作集として単体でリリースされている
ロングセラー絵本だ。

そして、この本に題材を求めたラボ・ライブラリーも
ロングセラーである。

先日、藻谷浩介くんをはじめとする50歳代のOB・OGと
代々木上原で食事会をしたが、
そのとき、熱弁をふるっていた藻谷くん(池上彰氏をして
「私よりよくしゃべる人がいた」といわしめた)が、
なんの話題か忘れたが、
「まるで『うみのがくたい』のように・・」
という比喩を使い、全員が爆笑して同意したのは、
この物語が長く愛されてきた証だ。
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文は大塚雄三先生、絵は丸木俊先生。
大塚先生は1921年のお生まれだから
現在、95歳でいらっしゃる
いかがお過ごしだろうか。
瀬田貞二先生との出会いから
児童文学、翻訳の道に進まれ
リンドグレーンの作品はほとんどが大塚先生の訳だ。
『うみのがくたい』ついては、
これまで何回か書いたので今回は
このあたりで擱筆することにしたい。
ただ、この物語に触れるたびに思い出すのは
5歳のラボっ子の
「せんせい、この船はね
ほんとは沈んだんだ。だからこのお話ができんだ」
という有名な一言と。、
高島海の学校で
漁師のタカちゃんがいった
「海はこわいところだよ。
でも、命の生まれるところさ」
海には戦や冒険で帰らぬ命があまりにも
多く眠っている。
でも、海はいつも
ぼくたちを惹きつけてやまない。
だから、海へ!

◎鈴木大拙曰く「教育とは地味な仕事」
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先日、現在勤務している武蔵学園の記念室で
歩い資料を見ていたら、
「教育とは地味な仕事」という気になることばと出会った。

これは禅を世界に広めた近代日本を代表する
仏教学者である鈴木大拙(ステーィヴ・ジョブズも読んでいた)が、
親友の山本良吉(武蔵高等学校第3代校長)の急逝後、
インタヴューにこたえたときのことばだ。

大拙と山本良吉と哲学者の西田幾多郎は
石川県出身の親友どうしであった。

「同期の学生の多くは、
政治や実業の道を選んだが、
山本は教育に進んだ。
教育は地味だと
敬遠する者が多かったが、
この地味な仕事がたいせつだ。
しかもこの仕事は死んでいなくなってから、
その人の意味や大きさがわかる。
その点において
ぼくは山本を尊敬している。

山本はぼくなら丸くいうところも
ときに突き刺さるようなことばを用いた。
厳し過ぎたかもしれない。
しかし、山本が死したこの後、
生徒も教師も彼の意味と大きさを認識するだろう」

「新しいことをはじめようとするとき、
いいだした者が行動もすることが多い。
口舌だけで行動しない者も多いが、
山本はいいだして実行した。
新しいことをはじめると、
いやそうではないという者が
必ずあらわれる。
そこに発展がある。
違いを否定だけすればケンカになるが
話し合い認めあえばよりよいものになる」

「十七条憲法で和もて貴しとなす」とあるが
皆同じ方向を向いていたのでは和は生まれない。
あっちをむいたり、
こっちをむいたりしているのだから
出会い認めあってより豊かなものが生まれるのだ」

たしかに江戸時代は各藩に藩校や塾があり、
大学レヴェルのアカデミズムがあった。
そして各藩それぞれに
藩の伝統の倫理や論理を教えたから、
全国、各藩それぞれに個性ある学風ができた。
明治維新を担った才能はそうした
多様な学風から生まれた。

旧制高校、帝大という細い1本のレールが
唯一日本の力学に直接触れることができる
道になったことは
かつてはみずみずしくあった
地域の教育システムを
競争のシステムに変節させることになった。

和とは多様性の融合だと
天才、厩戸皇子は明文化していたのだ。

学校はみなちがっていい。
教科書もひとつの価値でなくていい。
教師もそれぞれがいい。
それぞれが認め合うのがいい。
もちろん、ラボ・パーティも
花の色も星の光もそれぞれでいい。
迷ったときは、
物語という共通の水脈に根をおろせばいい。

最後に50周年記念のシォイクスピア作品が
刊行されて誠におめでたい、
関係者のご努力に敬意を表したい。
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先日、その河合祥一郎氏から
9月の公演『まちがいの喜劇』の
ぼくのいる記念室に
フライヤーがドーンと届いた。
前売り4000円、当日4500円、
豊島区民割引き3500円
なによりうれしいのは
25歳以下は前売り2000円!
当日2500円。
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これはら中高生でも観にいける。
えらい!
10月にはベケットの『ゴドーを待ちながら』を
やはり河合祥一郎新訳で
しかもぼくの好きな原田大二郎でやる。
これも観にいかねばならぬ。

河合祥一郎氏は武蔵53期の卒業生で
ぼくの8期後輩である。

先輩を名乗るのもおこがましいが
とにかく同窓生と現役生にも
宣伝はするのだ。
そうそうラボ関係者は
もちろん観にいきましょうね。

しかし53期は
紫綬褒章の柳沢正史氏
(この人は筑波の大学院時代にendothelinという
血管収縮をさせるペプチドを発見して一躍話題になった。
その後、テキサス大学で研究を続け、
帰国後は東大医学部の教授に最年少で選ばれたが
審査の過程に疑問を持ち、結局辞退して注目された。
現在も筑波で最先端医療のフォワードとして活躍している)や、
「はやぶさ」のイオンエンジン開発者の國中均教授とか、
超個性的研究者がいっぱいいる。
恐るべし53期!
Re:夏越しの祓いもすぎて文月。あっち向いたりこっち向いたりして和が生まれる。(07月03日)
ぽちこさん (2016年07月06日 07時35分)

調布の木村です。

「うみのがくたい」に「なんという~~~」をたくさんいただき
のんちゃんに変わって、お礼を申し上げたいです。

のんちゃんが、筆を動かしていた傍に、まるでいらしたかのコメントで
恐れ入りました。
おっしゃる通り「ものがたりの力」なのでしょう。
彼女は、昨年の夏休み、このライブラリーに出逢い、
好きで好きで大好きになりました。
最初は、釣り好きだった・・・ことがきっかけかもしれませんが
不思議な音楽も合わせて、「物語まるごと」を好きになっていったようです。
お絵かきラボの日に、持参した「おはなしにっき」には
うみのがくたいから、何ページにもわたり、彼女の素描で埋め尽くされていました。
くじらも海も、パレットの上で、こだわって色を作っていました。
希海ブルー・・・・・、SENCHOさんの文章を読んでいて
彼女の名前にも「海」が使われていることにあらためて感動しています。
最後のドットは、
おっしゃるとおり、好きじゃなきゃできないだろ~~と、いうくらいの根気。

大好きなおかあさんの声で読み聞かせをしてもらっているときも
自分で字が読めるようになり、夢中で物語を読み進めているときも
想像の翼で、うつくしい画像が自由に動いているのだろうと思います。

それが
ラボのライブラリーとなると、物語も音楽もまるごとすべて頭のなかで躍動している
のだと思いますね。
ことしも子どもたちが、どんな物語と出逢うのか楽しみでなりません。
ありがとうございます。
Re:Re:夏越しの祓いもすぎて文月。あっち向いたりこっち向いたりして和が生まれる。(07月03日)
ぽちこさん (2016年07月06日 09時16分)

すみませ~~~ん。またまた木村です。
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