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ラボ・カレンダー11月 「雪ですのうーー厳しい環境下でも 個性を排除しないこと 10月31日 (水)
明日から霜月だ。
今朝、たまらずフライイングで
ラボ・カレンダーをめくってしまった。.
朝の自然光のなかでしばらく
立ったまま息を止めて眺め、
フーッと息をついてから
腰かけてゆっくりと味わった。
なんとなく心が溶けていった。
rever
ロシアを代表する絵本作家、エウゲニー・ラチョフの作品
ウクライナの昔話THE MITTEN 『てぶくろ』に
題材をもとめたラボ・ライブラリーに
インスパイアされた絵だ。

描いてくれたのは諸橋七望さん
(小3/東京都・木村文枝P)だ。
場面はすでにフルハウスの「てぶくろ」に
「のっそりぐま」が大トリの真打登場! 
とばかりにやってきたところ。

昔話の一つの特徴である「くり返し」は
ロシア系昔話にも数多く見られる。
聴き手は、しだいにでっかくなる訪問客に
「もうムリ〜じゃね!」と
ドキドキマックスになるところだ。

先ほど「心が溶けていく」と書いたのは
なんといっても背景の大部分を占める雪の
ふんわりとした質感と透明感と、
暖かさだ(雪なのに! 厳寒のはずのに!)
写真だと伝わりにくいが
この雪はほんとうにすばらしい。
淡いながらもそ濃淡のあるグレー、白、
わずかなイエロー。
そして控えめだが効果的な
ダークブラウンの木の枝。
(これがリアルさを増加)
単純な白や灰色ではないことが
雪の森の静謐さ、荘厳さ、深さ、
季節のきびしさと美しさ、
そして物語の暖かさを
奥行きともに伝えてくれる。

この広い範囲を
これだけ繊細に塗った七望さんと
この物語の関係を知りたい。
are
さらに彩色について続ければ
てぶくろほイエローオーカー
いわゆる黄土色にし。
さらに手袋の中の動物たちの
輪郭もイエローぉーかーで描いたことも
この絵をぐっとひきしめた。

イエローオーカーは顔料のなかでも
数少ない、土からとられたものだ。
いわゆるearth colorである。
だから輪郭につかっても
世界を切らず目立たない。
そして、グレイトと同じように
多くの色とマッチしやすい。
とくに左下の鮮やかな青は
補色的に役割ほしている。
これに加えて
中央のイエローがかったグリーンも
とつてもおしゃれだ。

こうした彩色と前述の雪の背景が
クマの茶色など暗め色が多いことを
カバーした余りある。
遠くから眺めければ
そのバランスがよりはっきりするはずだ。

そして一見、ざっくりと描いているようだが、
じつはとても細部に繊細な筆が入っている。
背景といいディテールといい。
相当な気力と体力を使ったはずだ。
描いたとき、七望さんは8歳か9歳のはず。
とんでもないことだ。
それは物語の力といってしまえば
簡単だが……。

森は深く、寒く、
雪はただふりつもる。
普通なら、「入れろー、グオーッ」
「あかんで、ムリや堪忍して」
「なんやとー、ガオーッ。いてまうど」
となるところだが、
迎える「はやあしウサギ」や
「きばもちいのしし」たちは
じつにのんびりと「はいれば」
的な雰囲気だ。

また、クマも、
ご近所のおじさん的気安さ
でこ声をかけている。
いるよね、子ども好きのこういうおじさん。
七望さんは
「はやあし」「きばもち」
「はいいろ」「のっそり」などの
動物たちの個性も
物語を聴いて意識しているのではないだろうか。

「個性を排除しない」
「可能なかぎり受け入れる」
って、今の地球でとっても大事なこと。
七望さんはのことを
「ことばではなく心で」感じとっている。
子どもほど時代の先端ほ生きていめのだから。
erfr
原作者のラチョフ自身もシベリア生まれである。
彼は1978年に、別のタッチで「てぶくろ」を描いていて、
それはまったく別人の作品のようだ。
だが、どちらも彼らしい動きのある動物たちが
愛情たっぷりに描かれている。
ラチョフというと強力な観察眼に
もとづく正確な動物のデッサンと
その見事な擬人化のテクニックが評価されるが、
なにより彼の魅力は作品にあふれる
生命への惜しみない愛情にある。

その心も七望さんは
ハッチり受け継いだ。
物語の命はこうして世界に受け継がれる。
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