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ラボ・カレンダー12月をめくる ブレーメンはどこだ! 11月30日 (金)
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いよいよ師走である。
明け方は放射冷却でグッと冷え込む
ようになってきた。
今朝もベッドから出るのに
勇気が必要だったが、
フライイングでカレンダーをめくったら、
寒さがふっとんでしまった。
(フトンは吹っ飛ばなかった)

2018年のラスト月を飾るのは
ラボ・ライブラリーSK3収録の
グリム童話を再話した
The Bremen Town-Musicians
『ブレーメンの音楽隊』にインスパイアされた作品だ。
描いてくれたのは
山根慶丸くん(小2/岡山県・西原美千子P)である。

まさに力作!
絵全体から、印刷であるにも関わらず
とんでもないパワーが溢れてくる。
原画はもっとすごいだろう。
描いたとき、昨年の夏が
小学二年生という年齢を考えると
とんでもなく力強い。

慶丸くん(女子だったらごめん。ただ、
直感ではもしかしたら女子という気持ちが
まだ残ってる。うーん、気になる)と
同年代の子どもで、
これくらいのデッサン力や構成力、
いわゆる描画力(あまり使いたくないが)を
持っている子どもはたくさんいる。

しかし、これだけの力感が溢れる
作品を描くには
とてつもないメンタルパワーがいる。
単に絵が好き、物語が好きだけでは
ここまでの力は溢れてこないと思う。

多少意地悪かなと思ったが、
日本・海外で刊行された
『ブレーメンの音楽隊』の絵本やイラスト、
果てはアニメまで
何かヒントになったものは
ないかと調べてみた。
しかし、そんなもはなかった。
すごいオリジナリティである。

もちろん、動物たちの眼球のデフォルメや
顔大きめの体型は、
現代のアニメシーションやコミック、
ケームなどの
影響を無意識に受けていると思うが、
バワーにおいても
おしゃれさやかっこよさにおいても
慶丸くんのほうがはるかにすはらしい。
比較するまでもない。

話はとぶが、アニメやゲームやコミックなどを
サブカルチャーとはぼくはいわない。
もう立派なカルチャーである。
それが将来古典として残るかは別だが、
文化とは常にその時代とともにあるわけで
芸術の域まで行けるかどうかは
ジャンルを問わず
その作品の質にかかっている。
漫画やアニメ映画ですでに
その高みに達している作品はある。
(しかし、いい加減に「タイムスリップと女子高生」
というパターンは卒業してほしい)

話を戻す。
このパワーの源を考えてみたが、
慶丸くんの精神の力という説明だけでは
あまりにオカルティックだ。
そこでもう少し眺めてみた。

なんといっても
画面いっぱいに描かれた
動物たちの躍動感がすばらしい。
その躍動感の源のひとつは構成のすごさ。
ロバの鼻先は左の断ち切りギリギリで、
おんどりや猫の尾部は大胆に断ち切っている。
そしてイヌは空中で跳ねて
要するに画面を目一杯使って
動物たを見事に配置した。
4ひきの動物たちをこれだけの
密度で画面に収めるのは
そう簡単なことではない。

しかもこの物語のイラストでし
よくある
「いざゆけブレーメン」的な
一列の行進でもなく、
泥棒どものアジトに突入するときの
縦積み重なりでもない。

ロバの鼻先を画面の縦位置の半分より
やや上に置き、
そこからイヌ、おんどりへと
緩やかにカーブするラインと
ロバの腹部、尻尾からネコへと
下っていくラインの
二つの流れが、
動物たちが決してフリーズせず
生き生きと動く力になっている。

さらに、当たり前のことだが
動物たちのサイズも描きほけているが、
それを白のクレパスの輪郭線を
迷わずにすっと描いて決めているのは
びっくりである。
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いつも書くことだが
フォルムにこだわって
輪郭を取ってから彩色すると
「塗り絵的」になってしまい、
平面的になるだけでなく
世界が分断されてしまいがちだが、
慶丸くんの輪郭は背景の黒に対して
白であるがゆえに
逆に動物たちを浮き上がらせる
効果になっている。
しかも、力強く
一気に書かれているので
動物たちの一部になっている。

さらにさらに、
慶丸くんは、動物たちのキャラクターも
かにり深く捉えて描こうとしている。
ロバはリーダー感満載だが、
長年の酷使の悲哀がわずかに漂うし、
イヌはやはりしかめっつらなのだが、
その本質である忠誠心がにじみ出る。
おんどりは今も歌っていて、
世界中の寝坊助、
世界に対して努力しない者たちを
たたきやこそうとしている。
そして「ひげ御前」ことネコは
こ機嫌に見えるが、
その感覚鋭いヒゲが何かを感じて
いたずらっほく目を動かしている。
そして、それぞれの楽器も
自由にに配置されているが、
動物たちとともに躍動している。

やっばりこの作品は
力強くて綺麗なイラストでは
おさまらない作品だ。
この年の瀬にふさわしいといえる。

そして、慶丸くんとこの物語の
関係、どのように睦んだのか知りたい。゜

忘れてならないのは
眼球のデフォルメだ。
血走っているようにも見え
意志がみなぎっているようでもある。
ただ、みんな前を見ているのがいい。
唐物たちのフォルムも
みごとに簡潔にデォルメされているのも
とってもおしゃれだ。
動物のフォルムにとらわれず
全く自由闊達なのだが
個々にも全体にも
造形の確かさがある。

おしゃれといえば
彩色らも触れねばなるまい。
動物たちは漆黒の夜を行くのだが、
大胆な黒のバックも動物たちが
大きく描かれていめので。
面積が少なく、
なおかつ色とりどりの星が
輝いているから
全く暗くなく、
むしろ鮮やかだ。

慶丸くんのセンスが光るのは
普通茶色にするロバを
グレーにしたこと。
さらにその鼻先を
ピンクにしたことだ。
このグレーとピンクは
堀内誠一先生の
「ぐるんぱ」りほっぺの
ピンクと同様のおしゃれ配色だ。
ぼくはファッションについて
語る資格がない野暮天だが
こまったときは
濃いグレーのスーツに
薄めグレーのシャツにビンクのタイを
することにしている。
もちろん、
ネコの黄色もかっこいい。

ともあれ、
これだけ仕上げるのは
気力、体力ともに相当消費する。
熱を出さなかっただろうか。

慶丸くんは、絵が少なことは確かだろう。
かなり幼いときから
色々と描いていたとは思う。
この自由さと力強さを
そのまま大切にしてほしい。
「うまい絵を」描こうとせず
「描きたいように描いて」ほしいな。

何か今日は新しい原石を
見つけた気がしてうれしい。

ブレーメンの街は12世紀ぐらいかせ
ハンザ同盟、ハンザ自由都市として栄えた。
だから、ストリートミュージシャンでも
糊口をしのぐことが可能な賑わいだった。

四匹の動物多縁は長年酷使され、
リストラされかかった
高齢者たちだ。
産業革命以前から
役に立たなくなった者を
「使い捨てる」感覚はあったのだなあ。

ぼくね65歳なので
笑い事ではない。
彼らは自らの意志で
束縛を身をよじって振りほどき
ブレーメンを目指した。
それは最終的な目標ではなく
生き残るための暫定的な者だった。

結局、どろぼうたちを追い出した
彼らはブレーメンにはいかない。
十分な食べ物がある家で
の完備りと余生を過ごした。

若者だったらそうはいかないが、
彼らの人生の残り時間からいえば
実にいい選択だろう。

社会の超高齢化がますます加速する今、
福祉と労働人口、
働きかたと生きがいと過重労働、
正規雇用と非正規雇用など
double bindのような
課題が山積している。

ぼくたちのブレーメンはどっちだ?
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