幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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 【’05ラボサマーキャンプ(in湯坪)】
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《1》遊びの世界から科学の絵本へ 


絵本作家として加古里子さんは天才的な人だと思います。なんびとも加古さんの
まねはできません。子どもの生活感覚とあそびに対する鋭い観察力と分析力に加え
て、紙芝居など日本の子どもの文化のすぐれた研究者であり、かつ実践家です。伝
承のあそびや笑いを、絵本をとおして今につなげる語り手としても稀有の人です。
その代表作が『だるまちゃんとてんぐちゃん』と、その後につづく「だるまちゃ
ん」シリーズです。


 第2作目の『だるまちゃんとかみなりちゃん』では、過去の伝承文化の世界から
未来都市へと読者の想像力の翼を広げ、その上、未来都市の細部を科学と技術の専
門家として、実にゆきとどいた構想と表現で、奇想天外に描きこんでいます。その
一端を、作者自身の解説で語っていただきましょう。



 --「だるまちゃん」を現在の日本の子どもの代表とし、「かみなりちゃん」に
遠い国、すなわち未来性と外国のイメージをもたせ、古くから伝わった雷の姿の未
来形で表現しようとしてできたのがこの絵本です。その中に出てくる未知な未来都
市にお迷いになるといけませんから、ちょっと観光をかねてご案内することといた
します。

 第10場面におこしください。正面中央遠くにみえるのが指向性をもった放電塔で
す。ここからすべての動力源がかみなりの国すみずみに供給されています。それを
受けて、すべての建物や照明や時計器械などが作動するシステムをとっています。
そういえばラジオアンテナと見えた雲車(これをウンカーと命名いたしましょう)
の細い柱は、受電ポールであったことにお気づきでございましょうか?

 大きな放電のため、あたりはイオン化され、地上の色彩にくらべ、あたかもカ
ラーテレビの色のようにけいこうめいた色彩が、ここでは基本色となっています。
(中略)

 第9場面にみられるように、いつも裸でいることや、とら皮の衣類は昔のこと、
発達したいまのかみなりの国では、柄や色彩にその伝統がみうけられますが、合成
化学品の衣類が広くゆきわたっているようです。(「だるまちゃんとかみなりちゃ
ん」について 「こどものとも」1968年8月号折込付録より)



 さらに第5場面のにじが、テレビ画像の遠隔撮影光として第12場面に映出されて
いたり、小型の無線電話装置や配膳移送機などからも、電子工業、電動機械もなか
なかすぐれて発達している様子が描きこまれています。

 物語絵本にこのように現代の科学と技術の粋を語りこめることのできる作家は、
加古里子さんをおいてはありません。その秘密を解きあかしている本が『加古里子
絵本への道--遊びの世界から科学の絵本へ--』(福音館書店発行)で、子ども
の科学教育への絶好の手引き書です。



<作家インタビュー>『だるまちゃんとてんぐちゃん』が生まれた日  加古里子

2005年09月09日(福音館こどものとも50周年記念プログより)

 昭和24年頃から、僕は、会社に勤めてもらっていた給料のほとんど半分を使って、外国の子ども向けの雑誌をとっていたんです。そういう雑誌には、戦争の間、作品を発表できなかった作家たちの、書きためてあったものが、うわぁーっと載っていて、みずみずしい作品がたくさんありました。

 そんな中に『マトリョーシカちゃん』のお話もあったんですね。それを見てびっくりしました。子どもを出さずに子どもの本になっていて、おもちゃでありながら、出てくるキャラクターそれぞれに性格があって、ストーリーになっている。うまい。うまいというより小憎らしい(笑)。

 それで僕は、自分の国のおもちゃでも、おもしろいものを作ろうとして、いろいろ考えたんです。で、ぱっと目立つのがいいなあと思って、だるまにしました。赤いですしね。

 相方も、かっぱにしようか、きつねにしようか、と考えたあげく、てんぐにしました。ストーリーは、最初のうちわと最後の鼻は、すぐに浮かんだんですが、その途中ができなくて、七転八倒しました。ただ「ほしい、ほしい」っていうおねだりの本だと、編集部に怒られてしまうし(笑)。それで、だるまちゃんが自分で解決するために、お父さんには悪いけど、お父さんはとんちんかんで空振りに終わってばかり、ということになりました。




 僕自身の父は、子煩悩でありすぎたんですね。子どもの僕の願いとは、ちがうことばかりするんです。僕は小学生の時、模型飛行機が大好きだったんですが、そうすると、父は値段の高い三角胴の飛行機を買ってくれるんです。安いのは、角材の一本胴なんですが、そっちの方がよく飛ぶんですね。買ってもらった三角胴は、案の定飛ばない(笑)。

 そんなわけで、父には欲しい物を気取られないようにしてました。縁日の夜店でも、おもちゃをのぞきこんでいると「買ってやろうか」って言われてしまうのでね、欲しい物を横目でちらちら見て形を覚えては、まねして作っていました。失敗して手を切ったりしたことも、いい経験になりました。



 家族で北陸から東京に出てきて、長屋住まいをしていたんですが、そこの長屋のあんちゃんを、今でもよく思い出すんです。6歳ほど上の人だったんですが、よく手品を見せてくれて。紙をちょんちょんとやって広げてみると、「ほら、なくなっちゃった」とかね。とてもうまい。特別な道具なんか使わなくて、そこらへんの紙とか石とかでね。

 あんちゃんがまた、絵が上手で。武者修業のおさむらいのひとコマ漫画だったりするんですが、どこかまがぬけてて、刀がめったやたら長かったり、短筒を撃ってるんだけど玉がポトンと落ちてたり。いろんなところにユーモアがありました。そのあんちゃんが、僕に絵を教えてくれた最初の先生なんです。それで絵が好きになったんですが、父には怒られるんですね。絵描きになっても、とても生活できない、と。見つかると怒られるので、隠れて描いていました。長屋を出て、家で風呂に入るようになっていたので、風呂を焚きながら、焚き付けの雑誌や新聞にこちょこちょ描いては燃やす。証拠隠滅ですよ。(笑)



 学生の頃から、川崎で紙芝居を見せていました。「これをおもしろがらない子どもなんていない」と張り切って見せにいっても、目の前で子どもたちが、どっかいっちゃうんです。当時の川崎では、ザリガニ釣ったり、トンボをとったり、おもしろいことがたくさんありましたから。ザリガニよりもトンボよりもワクワクするもの、子どもたちにピタッとするものを作ろうと、懸命になりました。「子どもとぐらいは遊べるだろう」と、たかをくくっていたんですが、「相手はすごいぞ」と思い直しました。ぼくもてんぐになっていたんですね(笑)。



(「こどものとも年中向き」2000年6月号折込み付録掲載「絵本誕生の秘密 作家訪問インタビュー」より一部を抜粋し再録)




加古里子(かこ さとし)

1926年(大正15年)、福井県武生市に生まれる。東京大学工学部卒業後、民間企業の研究所に勤務しながら、セツルメント活動に従事。子供会で紙芝居、幻灯などの作品を作る。1959年『だむのおじさんたち』(「こどものとも」34号)を作り、絵本作家としての道に進む。1973年に勤務先を退社。作家活動に専念してから、横浜国立大学などいくつかの大学で講師をつとめる。「だるまちゃん」のシリーズのほか、『かわ』『ゆきのひ』『とこちゃんはどこ』『はははのはなし』(以上福音館書店)、『かこさとし かがくの本(全10巻)』(童心社)など、作品数は約500点になる。神奈川県在住。
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