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ロシアの昔話4 『かぶ』その弐 12月08日 (水)
首都大学1 首都大学2 写真は八王子市南大沢の首都大学東京(2005年、東京都立大学・都立科学技術大学・都立保健科学大学・都立短期大学を統合して設置された)のキャンパス。撮影は11月はじめ。
 昨秋から、リバビリがてら母校のフットボールの試合を撮影している。今年も9月から週末は2週間ごとにあちこちのグラウンドにでかけた。この日もここで亜細亜大学との公式戦があったが惜敗。がっくりして悲しいほどに青い空や休日の校内を撮った感傷ショット。ちなみにわがティームの愛称は"Apostles"(12使徒)。対する亜細亜大学は"Angels"。ウーム、やはり勝てないか。
 ところで昨日、OECDによるPISA(国際学力テスト)で上海が三冠王になったことと、日本がわずかに順位をあげたことが話題になった。ラボ・ライブラリーをつくりながら、本当の知とはなにか、学びとはなにかをけっこうまじめに考えてきた身としては、「けっ! そんなテストがどうした」といってしまいたいところである。
 なぜなら、ラボ・ライブラリーとともにあるテーマ活動は、濃密な言語体験を積み重ねる全人的な学びであり、さらには物語という想像の森に、幼児であろうともそのときまでの人生を総動員してむきあう、まやかしではない知的な行為だからだ。
 しかし、しかし、このテストの対象が高1であることを考えると、「けっ」ではすませられない。16歳といえば、はっきしいっておとなである。どこの国でも地域でも、相応のマチュアリティ、社会性、教養、市民性などが要求される年齢だ。このテストで測定される読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーは単なるガリ勉や丸暗記ではポイントを獲得することは難しい。豊かな想像力、言語力、なかでも主体的に学ぼうという知的積極性がなければ、読解力はいうまでもなく、他の2部門も育たない。すなわち、このテストで計測されている「学力」は総合的な人間力とまったくイコールでないにしても、かなりリンクしているといえるだろう。
 さらに気になるのは、日本の大学の世界的評価もあまり高くないことだ。QS(国際高等教育機関)が毎年発表するランキング(規模、教員の評価、論文引用数、留学生数などの多項目でリサーチ)では、東京大学が24位、京都大学が25位だ。1位はハーバード、2位はケンブリッジ。PHD製造場とさえいわれるあのMITでも6位だから、まあしかたないか。
 大学に行くことは、青春の選択肢のひとつだから、こんなランキングはさっきのテスト以上にどうでもいい気がするが、今、ピンチにある人類と地球への貢献が可能な人材を耕す場として大学の役割はたいせつだ。研究できる人間を育てないとほんとにやばいぞ日本。その第一歩として、まずは幼いときからラボ。と、例によってひいきのひきたおし。でも、まじめな話、ラボは「自ら学ぶ」ことのよろこびを発見できるところであることはまちがいない。
 でも、ふしぎなのは、日本の高校は大学への入り方はいっしょうけんめい教えるけど(今はそうでもないか)、大学の役割とはなにか、なにをするところを考えさせることはほとんどない。まず、そこからだぜ。

 さて、ようやく『かぶ』の続き。この累積昔話(前回参照)の原題を直訳すると『かぶ』。「大きな」はついていない。したがってラボでも『かぶ』。と、ここまでは了解。英語のタイトルは"The Turnip"。A Turnipではない。野暮な解説だが、このtheはもちろん定冠詞。ただし、「誰にでも察しのつく、例の、その」のtheではなく、「バナナでも、リンゴでも、ミカンでもなく、まさにかぶ」という代表単数的な役目である。タイトルだからこそ成り立つ使い方といえる。
 日本語の名刺はやわらかいので、英語のように冠詞をつけて仕分けする必要がない。だから逆にいうと、英語において冠詞の役割は重要で、母語話者でないと自在に使いわけるのはいへん。ラボ・ライブラリーでも冠詞は重要で、その好例は、昔にも書いたが『かいじゅうたちのいるところ』。あの冒頭の英語はThe Nnight。ふつうならA nightとかOne nightとか、特定できない「ある晩」にすべきところだが、センダックはTheではじめた。つまり、マックスがあばれたのは、昼間になにか彼の身におこったことを想起させるのだ。友だちとけんかをしたのかもしれないし、おかあさんに怒られたのかもしれぬ。いずれにせよ、なにか夜に爆発する要因となる事件があった日の夜なのだ。
 しか、そのできごとがなにかをいちいち問わない(子どもはいわれたくないからね)センダックのいさぎよさが、子どもたちが彼の作品を圧倒的に支持する理由のひとつなのだとも思う。
 こんな重箱のスミ的なトリビアはテーマ活動には関係がないが、theひとつもおろそかにできない事情と考察が、ラボ・ライブラリーの背景にはある。
 
 『かぶ』をロシアの昔話の構成にふくめることについては、幅広い年齢の子どもたちに出会ってほしい、楽しんでほしいという点からも、はやくからきまっていた。日本語再話も英語も音楽も最強のメンバーがリストアップされた。課題は絵である。彫刻家・画がの佐藤忠良氏(ラボの『大草原の小さな家』で日本語音声を担当している女優の佐藤オリエさんの父上)による『おおきなかぶ』の存在があまりにしてい有名だからだ。別に競争ではないから、独自の絵でいけばいいのだが、これだけ有名だとひきうける画家いるかは不安。 

 絵本もラボ・ライブラリーも民俗文化資料ではない。だが、その物語をうんだ人びとの知恵や情熱や涙がしみこんでいる昔話や伝承をとりあげるときには、絵はダイレクトに子どもの想像力にアタックするがゆえに、具象的表現の場合はとくに、できるかぎり事物は正しく描かれるべきだ、それがラボのスタンスだ。
 その場合、ほうほうはふたつ。ひとつは、『アリ・ババと40人の盗賊』『妖精のめうし』『鮭、はるかな旅の詩』『西遊記』『不死身の九人きょうだい』などのように、その血が流れているアーティストに依頼すること。もうひとつは、その国の文化に造詣が深い日本人アーティストにたのむことだ。
 なぜそんなことを書くかというと、佐藤氏の絵はロシア昔話というコンセプトからいうと、衣服や髪、かぶそのものの表現などが、前述したラボの考えとは異なるからだ。っていことわっておくが、『おおきなかぶ』を否定しているわけではない。あの絵本を宝物のようにしている子はたくさんいる。
 ぼくは「いい絵本、わるい絵本」といった区別は好きではない。神宮輝夫先生からも「わたしは、かつて絵本の善し悪しを書いていたことがありましたが、病気で入院したとき、近くの病室に長期入院の子どもいて、働いているためにたまにしか見舞いにこれない母親に絵本を読んでもらうのをなにより楽しみにしていました。しかし、その子がいとおしくだきかかえている絵本は、ぼくがそれまでわるい絵本と批判していた作品でした。それ以来、ぼくは『よい本、わるい本』ということわやめました。好きな絵本とはいいますが」と、いうお話をうかがったことがある。
 話をもどして、ラボとしての『かぶ』の絵は小野かおる先生が快諾して担当してくださった。先生の父上はロシア文学研究家・翻訳家にして詩人の中山省三郎氏である。中山氏は43歳という若さで世を去られたが、その薫陶をうけた小野先生の思いが『かぶ』にはあふれている。
 その絵については「資料集」を参照していただきたいが、それではさみしいので次回にふれたい(『かぶ』は次で終わりかなあ)。

 本日、12月8日はさまざまなことが起こった日だ。太平洋戦争開戦、ジョン・レノン射殺などなど。そして針供養、おこと納め。
 おこと納めは、事八日ともいい、妖怪(とくに一つ目小僧)が跳梁跋扈するときといわれる。祖父がいた30年以上前には、東京の実家でも一つ目小僧が苦手としている目籠(目がいっぱいあるので)を高く飾って魔除けにしていた。
 たしかに、そのころ季節があった。
Re:ロシアの昔話4 『かぶ』その弐(12月08日)
カトリーヌさん (2010年12月09日 00時29分)

私は、「かぶ」の読み聞かせをするとき、ラボっ子でない場合は特に、
表紙の裏の白いページを見せて、
「ロシアの国はさむいさむい。こんなに寒いときは、お日様がほしいね。
なのに、ロシアの冬は、おひさまがよわいの。
こんなときには、おひさまの力を食べ物からもらわなくちゃ。
ロシアのかぶは、お日様の力をため込んで、こんな色。
食べたら、お日様パワーがもらえます。」と言って始めます。
でないと、小学生などが
「これ、ちがう」「まちがってる」などとざわついたりすることがあるのです。
こういう始め方をしてもまだ「え~?」というような顔をしている親子にも
「ボルシチという真っ赤なシチューは、この赤いカブを使うんだよ。」といいますと、
まあ、聞いてやろうか、みたいなふうになってきます。
「ロシアには、ボルシチというおいしいかぶのお料理があるんだよ。

ラボテューターでも、「かぶ」を白くしてしまっていることがあり、あれま~・・・と思い
ますね。
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