幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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ラボからメジャーに 06月07日 (火)
 昨日は臨時全国ライブラリー委員会だったのだ。
いちばんの目的は40周年ライブラリーついての話し合いだが
まずは!
SK30ができたので、その報告をしたのだ。
 今期のライブラリー委員は皆、録音や選考会などのさまざまな現場に
立ち会ってきたので、制作スタッフ同然,というより「いっしょにつくっている仲間」という意識がつよい。ぼくらはプロで、委員のテューターの皆さんは制作スタッフという意味ではアマチュアだけど、そんな線引きは情熱とか信念のうえでは関係ないと思う。たいせつなのはガッツとセンスだ。
 ところで、一度書いたけどsenseには感覚 意識 判断力 意味
という4つの意がある。このことをぼくは中学高校の6年間,横井徳治という英語の教師に徹底的にたたきこまれた。横井師はもう故人になられたが、サブ・リーダーが担当であった。小柄でがっしりしているところから「ヨコトン」が愛称であったが、謹厳で中1のガキどもにはたいへんこわい先生であった。専門は英文学なので、ご本人もミスター・チップスのようなイギリス紳士としてのみだしなみとたしなみをキープされていたと記憶している。
 そのヨコトンの最初の授業がいきなりこのsenseの解説だった。その4つの意味をおぼえることにどんな意味があるのか、ぼくらにはほとんど不明だったが、漢字熟語を4つおぼえるだけならだれでもできるとも、たぶん全員がタカをくくった。
 ところが、このsenseということばは、けっこう英語の文章のなかにでてくる。するとそのたびにヨコトンは、「○○! SENSEの意味をいいたまえ」といきなりだれかひとりの生徒を指名するのだ。するとそいつはよろよろと立ち上がり「ええーっと感覚、意識、判断……」とこたえるのだ。ああ、しかし、なぜかこたえられない場合がけっこうあるのだ。すると、どうなるか。「バカモノ!」とまず一喝され、つづいて「よいかsenseの意味は……」という解説がはじまるのである。
 声にだしてみるとわかるが、感覚 意識 判断力 意味 という4つの熟語はこの順序で発語すると語呂がいいのでとなえやすい。では、記憶力もいいはずの中学生がなぜすっとでてこないのか。こたえはかんたんだったが、そのことに気づいたのは40歳になってからだ。
 つまり、日本語の感覚も意識も判断力も意味も、自分のことばとして身についていなかったのだ。だから、丸暗記だけではすぐでないのだった。これらのことばは、どれも抽象的概念であり、母語のなかでもつかいこなすにはかなりの経験と素養が必要ななのだ。だからこそ、ヨコトンは徹底的におしえこもうとしたのだ。
 ぼくらの学校はいわゆる中高一貫の6年生の私学で東京23区の西部、練馬区の江古田というところにあった。校則も生徒手帳も制服もなく、まったく自由であったが授業はきびしく、かつ本質的で、ときにはチンプンカンプンてあった。さらに信じ難いことに、英語や数学は分割授業なるものがあって、クラスを半分にして20人くらすの少人数でしごかれた。
 したがって、ヨコトンの時間もじつに高確率で指名される。しかも、ヨコトンは中2のとちゅうから、サマセット・モームをとりあげた。さいしょは
Summinig Up という小品。そしてCommon Sense(ひでぶ!)さらには
The Moon and Six Pense 月と六ペンスなどの高度な作品にうつっていった。こうなると、もうsense攻撃の嵐である。
 いまは大学生でもモームを読むなんて学生はそう多くない。でも、当時はなんてつまらないんだ(かなりの部分がわからないので)と思っていたが、
ヨコトンのおかげて、さまざまな英語の名文にふれることができたことは大きな意味があった。また、わかってもわからなくても、英語の原書をじりじりと読んでいくなんていうしんどい技も、そのころに経験していなければ身にはつなかっただろうなあ。
 というわけで、話はずいぶんぶっとんだが、senseがたいせつなのは以上のとおりだ。しかし、それよりも信念とかガッツはもっとたいせつだろう。

 これまで、いろいろな理由でラボをさっていた人びとがいる。それは本人なりの決断だし、それぞれの生き方だからぼくはあれこれいうつもりもない。ただラボから訣別して「ラボのようなこと」をしている方がたに負けるわけにはいかないと思う。というより、はなから勝負はついている。なぜなら、そういった人びとは「信念からの逃走者」だからだ。まもるべきものをまもるために、ふみとどまってたたかえないやつが、どこか新しい場所でなにかをできるはずがない。
 なんていきがることもないか。
 ともあれ、ともにたたかった今期および前期のライブラリー委員の皆様にはあらためてお礼をいいたい。
 この委員会でSK30の完成報告をしているとき、うれしいサプライズがあった。といっても、もちろんほぐが計画したものだが、『寿限無』の英語を担当した翻訳家の鈴木小百合さんに登場していただいたのだ。
 委員会は大もりあがり。
とくに講演会を開催した九州の委員は大興奮だった。
 
 この委員会では、今回の「SK30制作記録」VTRの感想もきいた。おかげさまで評判がよいのだが、「だれもが知ってる有名人がてている」という感想があった。たしかにラボ・ライブラリーに関わってくださる方がたは各界のいわゆる一流メンバーだ。それは、毎回いっていることだが、常にその時代の最高のものをつくろうとすれば、いきおいそうなりやすい。
 でも、ラボ・ライブラリーが大きく巣立つ人もいることも忘れてはいけない。そういういわゆるメジャーではなくても、力をもった,
すなわちセンスとガッツをもった新しい作家や画家や俳優などを見つけだすこともたいせつなのだと思う。
 ニコル氏もそうだ。彼の自伝をよめばよくわかる。ラボは彼のホームタウンなのだ。江守徹氏も、ラボ・ライブラリーを語りはじめたころは、知名度といえばそれほどではなかった。むしろ実力があり、きっと世にでてくるだろうという俳優として登用されている。バルバース氏しかり。『わらじひろったきつね』のスズキ・コージ氏も売れっ子になつたのはそれ以後だし、村上康成氏もソングバードをの絵をお願いしたときは、まだまだ無名な絵本作家だった。永山裕子さんもそう(一部にコアなファンはいたけど)。
 村上さんのときも、70曲以上のイラストを説明的でなく、かつ国際的センスでかける人、しかも動物がかける人、なんてったって鳥がかける人というのが条件だった。何冊絵本を見ただろう。何回図書館にいっただろう。
 そのなかでやっとであったのが『かいじゅうのうろこ』(ブックローン)という絵本だ。これは、文は長谷川集平(M社のヒ素ミルク事件の後遺症をテーマにした『はせがわくんきらいや』で有名)氏、そして絵が村上氏であった。この絵本はいまもだいすきだが、この絵をみて「あっ!」とさけんだのを思い出す。
 結局80点以上におよぶイラストを2回にわけてうけとったが、最後の40枚を国立の喫茶店でいただいとき、村上氏は「終わった!」と子どもような大声をだされてばんざいをされた。ぼくと、デザイナーは「ぼくらは、これからなのに」とがっくしため息をついたのが好対照だった。
 いちどつきあったら、ていねいにつないで。どんなに有名になっても、「ラボの企画だったら、ぜひ手伝わせてよ」
 そういってくれる人と出会っていきたいし、出会ったアーティストがそういってくれるような仕事をしていきたい。

 





 
Re:ラボからメジャーに(06月07日)
サンサンさん (2005年06月07日 20時38分)

なんだか、感動。

ひろばのお陰でSENCHOさんの思いがいろいろ伝わってきて、とても嬉し
いです。

ライブラリー委員の方々のご苦労も情熱もよくわかります。

いつもほんとにいいsenseとガッツでいいライブラリーを創って下さって
いるのですね。
Re:ラボからメジャーに(06月07日)
まんぎょどんさん (2005年06月08日 18時58分)

すごい出会いがあるのですね。わたしたちは、いつも「ありがたちな~」と思
いながら、ただ、ライブラリーが届く日を楽しみにしているのですが、それが
出来上がるまでのすごいプロセスがあるのですね~。本当にありがとうござい
ます。

どうぞ、どうぞ、お体を大事にして、これからもライブラリーをつくっていっ
てくださいね。
Re:ラボからメジャーに(06月07日)
しげちゃんさん (2005年06月08日 22時05分)

新刊の“寿限無”ライブラリー制作に関する、SENCHOさんの日記
を時々見せていただき、影でエールを送っていましたが、忙しくてなか
なかメッセージが書けずにいました。

新刊ライブラリー紹介ビデオは、制作に携わってくださったみなさんの
生の声が聞けて、とても良かったです。二木てるみさんの想像力の話、
三輪えり花さんの物語との出会いの話、茶畑さんの心のゆとりの話等
が、印象深いです。お母さんたちに見せたら(2回の父母会で見せて、
来れなかった人には回覧)、声を録音するのに、声優さんたちが(日本
語も、英語のネイティブの方も)体ごと表現して語っているのを見て、
感動していました。

音楽も絵も演出も含めて、制作現場の温かさと、熱い思いが伝わってく
る、ステキなビデオでした。テューターがうまく語れないところを、あ
のビデオがずいぶんカバーしてくれたように思います。ありがとうござ
いました。
Re:ラボからメジャーに(06月07日)
ちこらんたんさん (2005年06月11日 15時41分)

こんにちは。
昨年ライブラリー委員をしていたので、このライブラリーにかける想い
は熱い!と自負しております。
だから、日記も熱~く読ませていただきました。

茶畑さんの絵、なんか見たことあるのよねぇ・・・と思っていたら、
テーブル上の、名古屋市の地下鉄ガイド(タウン誌)の表紙が目に入り
ました。
あっ、これっ!そうか~。(前々から目にしていたものでした、どうり
で。)
茶畑さんも、これからひっぱりだこになっていかれるんだろうなと思い
ます。
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