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菜月の警鐘ーー多様性の勝利 08月03日 (金)
ハット気づけば葉月である。
などとシャレている場合ではない。
朝一番、午前5時にカレンダーをめくったとたん、
すでに暑さでぼーっとしている頭を
がつんと一発やられてすっかり覚醒した。
day
グリム童話に題材をもとめたラボ・ライブラリー
A Tale of Six Talented Men『きてれつ六勇士』に
インスバイアされた作品だ。
描いてくれたのは
村田陽平くん(小2/埼玉県・三枝明日香P)。
がつんとやられた点はいくつかあるが、
項目を列記すると
・不思議な躍動感と浮遊感
・色彩の魅力(抜けかたと配色)
・構成のバランス
・しつこく描いてもスッキリ
というところだ。
めずらしく順番に書いていく
・不思議な躍動感と浮遊感
これはだれしもが観た瞬間に感じることだろう。
とまっているが、動いている。
どっしりとしているが浮いている。
人物の輪郭は細いのだが、緩やかで迷いがなく、
またフオルムにとらわれずにすっと描いている。
それらがかもし出すふしぎな感覚だ。
『きてれつ六勇士』を題材にした子どもたちの絵は
何枚も観てきたが、
こんな感覚ははじめてだ。
彩色のところでも触れるが
上から三分の一くらいのところを
大胆に横切る赤い帯も
普通なら世界を分断するところなのに
この感覚に一役買っている。
・色彩の魅力(抜けかたと配色)
原画を観ていないから正確ではないのだが、
彩色は非凡だ。
21世紀に生きる子どもの色の感覚は
ぼくが小2のころとは比較できないくらい
広くて深くて多彩だ。
先日、青について書いたが、
陽平くんの青も魅力的だ。
じっくりながめていると、
なんともたくさんの種類の青が
歌っているのが響いてくる。
その複雑さ多様さは見るほどに広がっていく。
最低でも5分は見つめたい。
それと対比をなすような赤も美しい。
大きくは3種類なのだが、
右上、中央の大胆な帯、
そしてメインキャラ
(六勇士の能力をデフォルメして
一人に凝縮したキャラ)のシューズと
だんだんと赤が濃くなっていて、
奥行と安定感を出している。
そしてなにより、赤も青も
そして人物のスキンカラーも、
色がスカッと抜けていて気持ちがいい。
これはぼくの好みなのかもしれないが……。
全体に面積の多い青系、赤系、肌色に
どうしても目がいくが、
わずかに見えるイエローやバイオレットも
この絵をより深く感じさせている。
これがあるとないでは大ちがいだ。
・構成のバランス
人物の配置、中央の赤帯、背景の描きこみなどによる
この絵の奥行は、もうひとつの大きな魅力だ。
メインキャラを中央から少しずらしているのもニクい。
そり分のスペースに描きこんで
イエローやバイオレットをもってきているのは驚き。
・しつこく描いてもスッキリ
さっき書いたように色が抜けているから
これだけしつこく描きこんでも重さがない。
かといって、トンと揺すれば剥げ落ちてしまうような
脆弱さもない。
何がそうさせているのか。
これは想像でしたかないが、
陽平くんのこの物語との関わり、
というか睦み合いの結果なのだろう。
パーティでどう取り組んだのだろうか。
断言してもいいが、
陽平くんは、単にこの物語が好き
なだけではないと思う。
そこが知りたい。
きっとなにかある。
差し支えなければ三枝テューター
教えてください。
cw
社会からは異端とみなされる
特殊な能力をもった者たちが
その力をそれぞれに活かして
権力者を打倒したり懲らしめる物語は、
世界中にあり、
(『不死身の九人きょうだい』!)
また、映画にもいろいろな作品がある。
普遍的に世界の人が好きな物語の
パターンのひとつといってもいいだろう。
世界が多様性、diversityに向かっているとき、
その一方で反作用のように
異質なものを排除しようとする動きが
世界でも日本でも暗闇の魍魎のように
蠢いている。
多様性の否定は効率主義、
国家主義と手を繋ぎやすく、
また優生保護、そしてファシズムへの道だ。
それらを見過ごすと恐ろしいのは、
凄惨な事件として発現したり、
さらにはいつの間にか「いつか来た道」に行くことだ。
戦前、戦後と均一な兵士、
均一な労働者を生み出してきたこの国は
今、警鐘をならすべきときに来ている。
陽平くんの絵は、
静かに、けして声高ではないが、
多様性こそが、
異質なものを認め合う精神こそが
この地球という閉じた系のなかで
ぼくたちや生き物たちが
持続してゆく数少ない道だということを
訴えているように思う。
元になった絵本は赤瀬川原平先生。
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あの破壊力のある絵に、
刊行当時は、みんなノックアウトされた。
この物語が収録されているSK13は
高松次郎先生(『グリーシュ』)、
中西夏之先生(『ながぐつをはいたねこ』)も
収録されている。
高赤中からとったハイレッドセンターという
前衛アートグープも懐かしい。
みなさん故人となられてしまった。
赤瀬川原平先生は尾辻克彦名で
純文学の作家手もあり芥川賞も取られている。
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兄上の故赤瀬川隼氏は、
長くラボ教育センター本部の職員だったが、
退職後は作家となり直木賞を受賞された。
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