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私の勤めているホテルでは,お客さまと積極的にコミュニケイションをはかる姿勢が第一に必要,とつねづねいわれています。これは単にことばを交わすことだけをいわれているのではありません。その場そのときのお客さまのニーズに合ったコミュニケイションをはかる,ということです(たとえば従業員に会うたびに「どちらにいかれるのですか?」と聞かれたとしたら,どんなお客さまでも嫌気がさすでしょう)。だからことば以外にも,会釈をしたり,ジェスチャーを用いたり,表情と身体を使ったさまざまなコミュニケイション・ツールを使う必要があるのです。私の場合は,これらのツールを築き身につけさせてくれたのはラボでした。ここでいう表現と身体はテーマ活動を誰かに伝えようとするとき,自分たちの表現したいものをイメージ(「テーマ活動の友」にはその物や景色の写真が載っていませんから・・・)し,そのイメージをどう自分の表現や身体の表現に置き換えるかを試行錯誤して,納得のいくまで頭と身体をフル回転させてきました。
別の場面で,外国のお客さまと接しているとき,お客さまがいわれていることばがどうしてもわからなかったり,自分のことばがみつからないときがあります。そんなとき私は自信を持って辞書を取り出します。お客さまと相対しているときに辞書を用いることはあまりスマートなサービスではない,といわれることがあります。しかし私は辞書を,単にことばの意味調べるために使うのではありません。双方が共通のツールを利用することで,ことばへの理解を深めること以上に,そのニーズに対して親身になって対応する用意がこちらにあるという意思表示のために使います。たとえ,その場がかっこ悪くても,そこで確実にお客さまの意思を確認しさらなるコミュニケイションを図ることの方が,よりスマートなサービスに繋がると考えるからです。
高校生のときに行ったホームステイ先でもホストファミリィと辞書を囲んで話し込んだ記憶があります。ことばを調べているうちに,「この英語は日本語で何ていうのか」という話題になり,辞書が共通のツールとして用いられ,コミュニケイションを図るきっかけになりました。
私にとってラボは,ことばの持つ力を教えてくれたところであることはもちろんのこと,さまざまなコミュニケイション・ツールを身につけさせ,物事をイメージすることの重要性を発見させ,そのイメージを表現することの難しさと楽しさを教え,そして今の私の考えや姿勢を見出し,育ててくれた恩師です。そんなラボの世界に快く送り込んでくれた両親,やさしく迎え入れてくれたテューターそして空間と時間とイメージを共有し,ともに育ってきた当時の仲間のラボっ子たちに感謝!
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