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『リチャード三世』
“Richard III”



《ざっくりしたみどころ(あらすじのあらすじ?)》

・ リチャードは王位への野心から、親類や兄弟を含め権謀術数を駆使し、野望への邪魔になる人間を次々にロンドン塔への幽閉し暗殺。ついには、自らが王になる。
・ 疑心暗鬼のリチャード三世は、ついには腹心のバッキンガムとも決別。
・ リッチモンド伯(後のヘンリー七世)が挙兵すると、リチャードの周りには暗殺してきたものたちの亡霊が現れ、リチャードに呪いをリッチモンドに祝福を投げかける。
・ 決戦はリッチモンドが勝利し、ヘンリー七世として即位。薔薇戦争終結。


《あらすじ》

 エドワード四世の即位によって、薔薇戦争も平穏を取り戻していましたが、エドワード四世が病に倒れると、エドワードの弟リチャードは王位を簒奪しようと蠢動しはじめます。
 まずは、キングメイカー、ウォリック伯の娘でヘンリー六世の息子エドワードの妃だったアン・ネヴィルを口説く。アンの夫だったエドワードは、リチャードによって殺されているので、アンはリチャードを憎んでいるのだが、それもアンの美しさゆえとアンの憎しみをも利用して篭絡し、妻とする。
 そして機を同じくし、王が次兄のクラレンス公に疑いを持つように仕向け、ロンドン塔に幽閉させて暗殺。
 病床の王は、王妃と他の貴族の不仲を解消するために、和解の誓いを立てさせる。しかしそこに、クラレンス公処刑の報がリチャードによってもたらされ、エドワード王の興がそがれる。そしてこのことをきっかけに、リチャードは王妃の親族に因縁をつける。
 エドワード四世が死去すると、リチャードの陰謀はさらに激しさを増す。
 盟友、バッキンガムと協力し、王妃の家系の有力な貴族を投獄し処刑。エドワード五世として即位するためにロンドン入りしたエドワード四世の長子とその弟ヨーク公をロンドン塔へ幽閉。さらにエドワード五世に近い貴族ヘースティングスも、邪魔なる前にとらえられ処刑される。
 自らの敵になりそうな人物をすべて幽閉粛清してしまったリチャードは、次は自らが王になる番だが、強引に王位についたと思われたくないので、ロンドン市民から懇願されて王に就任するという筋書きを描く。そこでバッキンガムにロンドン市民を扇動させるがなかなか扇動に乗らず(乗るのはサクラばかり)、半ばしらけムード。しかしそれでも、民衆を引き連れリチャードを王にと懇願するバッキンガムと、それを荷が重いとかエドワード五世の位だなどと断るリチャード。さらに懇願するバッキンガム、さらに断るリチャード。こんな芝居を打ちながら、市民から懇願されてという形でリチャードは王冠をいただく。ここに、リチャード三世王誕生。
 王になったリチャードの不安は取れず、誰も人を信頼できない。幽閉中の幼いエドワード五世が生きていることが、王位の脅威としてうつる。そこでバッキンガムに幽閉中の先王エドワード四世の遺児二人の暗殺を命ずるが、さすがにそれはバッキンガムも即答を避けたためリチャードの不況を買う。これに自らの命の危険を感じたバッキンガムは、リチャードのもとを去る。
 リチャード三世はエドワード五世と弟のヨーク公を暗殺。そして王位安泰のため妃アンも暗殺し、兄エドワード四世の娘エリザベスと結婚を画策する。
 エリザベスとの結婚の画策についてリチャード三世は、母親から激しく叱責を受ける。その最中、ランカスター家のリッチモンド伯が挙兵したという知らせが入ってくる。そして挙兵を手伝ったバッキンガムはとらえられ、死刑となる。
 リッチモンド伯との決戦前夜、リチャード三世によって殺害された者たちが夢枕に現れ、リチャードに呪いを、リッチモンドに祝福を投げかける。そして決戦の末、リチャード三世は死亡。
 赤薔薇のリッチモンドはヘンリー七世として即位。そして王妃に白薔薇ヨークのエリザベス(エドワード四世の娘)を迎え、ここに薔薇戦争が終結する。


《感想》

 どすぐろいお芝居です。全編、どすぐろい陰謀に満ちています。
 主人公のリチャード三世は、シェイクスピア作品の中でも一二を争う人気キャラクターです。その徹底した狡猾さ、残忍さはすさまじいものがあります。
 その鬱屈した精神も、セムシとして生まれた身体的なハンディキャップのネガティブな噴出なのですから、すさまじい負のエネルギーです。
 そうで、物語全体を徹底しておおい尽くすこの負のエネルギー、鬱屈したエネルギーこそが、このお話の魅力かもしれません。そしてそのエネルギーを強烈に発散させているからこそ、ダーティ・ヒーローとしての根強い人気がリチャード三世にはあるのかもしれません。一説には、ハムレットに次ぐ人気キャラクターだというのですから、暗いとか重たいとかいうことばで片付けてしまうには、あなどりがたいものがあります。
 徹底した、悪。
 これこそが、リチャード三世の魅力でしょう。
「陰謀」「暗殺」「狡猾」「残忍」「屈折」「鬱屈」・・・・・・。なんとネガティブなことばの数々でしょう。しかし、こんなことばを混ぜて溶かしたようなムードで、絶え間なく読むものを見るものを包み込む、それがリチャード三世です。
 テンポよくストーリーは展開し、むしろリチャードの焦りを表しているかのような気持ちにさせます。
 そしてリチャード三世の巧みな話術も、魅惑的です。なんといえばいいのでしょうか、事物の直接的な言明は避け、影響を及ぼす言葉づかい。
 うまく表現できないのですが、たとえば、バッキンガムにロンドン塔のエドワード四世の遺児2人の殺害を持ちかけるときも、以下のようにほのめかすのです。

“Young Edward lives: think now what I would say.”
「王子エドワードは生きている。そのあとは察してくれ」

 クラレンス公がロンドン塔送りになった時も、自分が裏でそう仕向けたくせに、本人にその身を案じる言葉を投げかけたりするのです。
 こういうの、心がざわざわします。
 魅力的な「悪」。
 こういうのも、いいじゃないですか!
 上演当時から大人気で、今もなお人気を誇る「リチャード三世」の魅力は、こんなところにあるのかもしれません。
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