ふみだそう 次の一歩_ペリクリーズ（ロ）

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シェイクスピア　全作品紹介『ペリクリーズ』 “Pericles” 《ざっくりしたみどころ（あらすじのあらすじ？）》・襲いかかる悪や不正義の中で正義を貫き通す、タイアの領主ペリクリーズ。・その不運や悪は、ペリクリーズの夫人や幼い娘にも降りかかる。三人はお互いがみな死に別れたと思い不遇の日々をすごすが、堕落せず、正しく生きる。・そして、14年の長い歳月を経て、親子夫婦は再会し大団円を迎える、壮大な冒険譚。《あらすじ》　アンタイオケの王の娘に求婚に向かったペリクリーズは、その席上、王と娘の近親相姦の看破。その結果、アンタイオケ王の暗殺者に追われることになったペリクリーズは、逃亡と受難の日々が始まる。　追っ手から逃れた先の海で船は難破、難破先の国（ペンタポリス）で王の信頼を獲得しその娘と結婚。　アンタイオケ王と娘の死の報告を受け、祖国タイアに戻る途中にまたもや船は難破。嵐の中でペリクリーズ夫人は、娘を出産し息絶える。　ペリクリーズの娘は恩義のある別の国（ターサス）の王家に預けられるが、その才色兼備ぶりに嫉妬したターサス王妃の陰謀で暗殺されかかる。が、暗殺の直前、海賊に襲われ海賊によって別の国で娼婦として売り飛ばされる。しかし売り飛ばされた娘は、からだを許さず、売春宿に娘を買いに来る男に説教をして改心させるという見事な働きにより、その地の領主（ライシマカス）に優遇される。　娘の死をターサス王から聞かされたペリクリーズは絶望し、国を臣下に任せ放浪の旅に出る。その先で、死したはずの娘と再会。娘とタイシマカスは結婚することになり、ダイアナ神殿に向かうと、死んで海に葬られたはずのペリクリーズ夫人が巫女として仕えており、14年ぶりにペリクリーズは再会し大団円。《感想》　これでもかという、壮絶な悲劇から始まり、長い年月を経てハッピーエンドを迎える。これぞまさに、ロマンス劇！　といった、作品でしょう！　まさに、壮大な冒険譚です。　ペリクリーズの受難は大変です。何せ、最初は隣国のほうの娘に求婚に行くのですが、その娘は父王と関係を持っている。その近親相姦がばれないように、王は娘の求婚者に謎をかけるのです。正解すれば結婚できるが、不正解だと死刑。しかしこの謎の正解が「王の近親相姦」なので、たとえ正解がわかったとしても、回答者はアンタイオケ王にそのまま答えが告げられない仕組みなのです。　ペリクリーズはアンタイオケ王に暗殺者をけしかけられ、追っ手を逃れるたびに海を渡っての大脱出。そして暗殺の危機が去ると海難で夫人を失い、預けた娘も暗殺されかかり逃げ出した先では娼婦として売り飛ばされる。もう、ひどい話です。　しかしこんな受難にも、ペリクリーズ、夫人、娘ともにまっすぐに正しく生きていく姿は、すがすがしいものがあります。しかも、ちっとも説教臭くない。　ただ、近親相姦など、モチーフとして悩ましいところもあります。また、娘が美しい心で場末の売春宿を聖なる場所に変えていくイメージも、真逆のイメージが同居する美しく清らかなシーンなのですが、悩ましいことは悩ましい。　しかし、そういったことを含めても、この壮大な叙事詩的大冒険譚はなかなかすごいものがあります。　まっすぐな正義。これは、ペリクリーズ親子だけでなく、たくさんのキャラクターが持っており、爽快感さえあります。　初めて読むと、これがシェイクスピア！？　という気持ちになるかもしれません。　物語としては、骨太で正統派ですよ！！