幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
■■■ 運営事務局より ■■■
ひろば@LABOは,ラボ教育センターが展開する
「ラボ・パーティ」に関わる皆さんのコミュニティ・ネットワークです。
「ラボ・パーティ」については 公式サイト  をご覧ください。
ラボ公式HPTOP新着一覧趣味・ゲームランダム新規登録戻る 0548780
  
Home
Diary
Profile
BBS
Bookmarks
Schedule
メール
・メッセージを送る
・友達に教える
ページ一覧
・ 創作短編童話1
・ 青少年育成
・ アート回廊=1
 アート回廊=2
・ 勘違い語塾
・ 旅の落し文
 HAWAII
・ ものはづけ①
 ことばあそび
 読めますか
・ 萬葉植物
・ 小夜 & GANOトーク=1
 S&Gトーク=2
 S&Gトーク=3
 S&Gトーク=4
 S&Gトーク=5
 S&Gトーク=6
 S&Gトーク=7
 S&Gトーク=8
・ 古典芸能〔1〕
 伝統的技芸
 古典芸能(2)
・ 物語寸景(1)
 物語寸景2-1
 物語寸景・3
 物語寸景・4
 物語寸景2-2
 物語寸景・5
 物語寸景2-3
 物語寸景2-4
 物語寸景・6
 物語寸景2-5
 物語寸景・7
・ つれづれ塾《1》
 その《2》ラボ
 その《3》映画1
 その《4》植物
 その《5》古典1
 その《6》詩歌
 その《5》古典2
 その《3》映画2
・ 今月の花神=1
 今月の花神=2
・ 本、譲ります
・ ウの眼
 タカの眼
 イワシの眼
・ 狂歌で遊ぼ!
 川柳で遊ぼ!
 変漢ひろば
 狂歌-〔2〕
・ 小径を行けば…
・ ことばの旅路①
 その《2》
 その《3》
0705
[一覧] << 前の日記 | 次の日記 >>
★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび 08月01日 ()
「これは芙蓉の花の形をしているという湖のそのひとつの花びらのなかにある住む人もない小島である。この山国の湖には夏がすぎてからはほとんど日として嵐の吹かぬことがない。そうしてすこしの遮るものもない島はそのうえに鬱蒼と生い茂った大木、それらの根に培うべく湖のなかに蟠(わだかま)ったこの島さえがよくも根こぎにされないと思うほど無惨に風にもまれる。ただ思うさま吹きつくした南風が北にかわる境めに崖を駈けおりて水を汲んでくるほどのあいだそれまでの騒がしさにひきかえて落葉松のしんを噛む蠧(きくいむし)の音もきこえるばかり静かな無風の状態がつづく」

芙蓉の花の形をした湖、野尻湖のことである。住む人もない小島、これが弁天島である。この夏も多くのラボのなかまが遊覧船で野尻湖の湖水の青さを目にし、涼しい風に髪をくしけずられ、弁天島に降りてひとときをすごしたことだろう。うえにかかげた文章は中勘助の随筆「島守」の冒頭部分。野尻湖をこれほど美しく描写した文章をわたしはほかに知らない。中勘助といえば『銀の匙』を知らない人はいないだろう。28歳のときに書いた作品だが、この作品を書く前後2回にわたって人間ぎらいのこの作家は野尻湖の弁天島にこもって独りだけで暮らす。27~28歳のときということになろうか。あの名作はここで生まれたといっていい。「島守」は最初に島ごもりした、夏の終わりから秋にかけての約1か月にわたる日記のスタイルになっている。もちろん、いまのような観光船もモーターボートもない時代のことである。善良朴直な「本陣」とあだ名される男が時折り食べ物などを運んできてくれるだけという孤独な日々。苦しい自罰のニュアンスもたしかにあり、このストイックな生活の背景には許されぬ恋があったと指摘する人もいる。ロマンですねぇ。

「後ろの森の杉の枯葉をひろう。ひとつずつ拾って左手にためる。涙がでる。かけすぐらいの鳥がゲーゲーと争っている」

「きょうは曇。飯綱にも黒姫にも炭焼の煙がたつ。煙が裾曳くのは山颪(やまおろし)であろう」

「朝。散りしいた木の葉にまじって翅(はね)の生えたいたやの種子が落ちていた。山やまがありったけの風を吹きつくしたかのように今朝は静かである。樫鳥や、木つつきや、島じゅうを木づたい鳴きかわす鳥のなかでひよどりの声がことによく谺(こだま)にひびく。なに鳥か大杉の梢で玉の梭(ひ)を投げるように鳴く。湖水にうつる雲の影はしずかに動き、雑魚の群れは吹きかわった新鮮の気を吸うように滑らかな水面に泡をたてる」

引用したい個所はきりがない。野尻湖、弁天島を知るひとなら、たいがいびっくりなさることだろう。ほんとうはもっと早くご紹介するとよかったのかも知れませんが、いろいろこちらの事情がありまして…。この随筆を読んでみたいという方は、全集本のほか、岩波文庫の『犬 他一篇』(中勘助作)が手ごろでしょうか。短いものです。一読をお薦めいたします。
Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
Hiromi~さん (2004年08月01日 15時47分)

 今日ラボッ子達は黒姫に向けて発ちました。
今年はなぜか、小学生が一人も行かないのです。何度も誘っても、一回行った
とか、家族旅行だからとか、他のキャンプ・・・・。色んな理由です。また親
御さんも心配で!というケースも多く、こんなんじゃなかったな~~と。ユー
スも行くし、一緒に行こうよと、何ていってもだめなんです。聞くと、何処も
小学生が行きたがらないとか。
 かわって、大学生が3人とユース、ホスト、中学生とで参加です。私は高坂
サーヴィスエリアまで見送って、帰ってきました。
 なんだかむなしさを感じていたところです。直前にキャンセルしました。

野尻湖にこんな話があったんですね。初めて知りました。今はラボの定番コー
ス。観光スポットですが。
 何も知らずに弁天島でお弁当を食べたりしました。ラボでもこういう歴史が
(話があったんだよ!!)とシニアが話せるくらいだといいのにと、がのさん
の日記を拝見して思いました。
Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
Play with meさん (2004年08月02日 03時00分)

そうですか。出発前はゆっくりとHPを散策しなくて残念でした。
くろひめ2班に行ってきました。野外活動は全くテューター自主コースで、ロ
ッジのTたちと斑尾まであしをのばし、ゴンドラに乗って、手作りで素朴さの
ある展望台へ。正面には妙高がそびえ、雲が頂上を行ったりきたり。眼下には
野尻湖が見え、うぐいすの声の中で絵のような景色を堪能しました。
芙蓉湖の事をしっていたら・・・とチョッピリ残念に思って、読ませて頂きま
した。
Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
サンサンさん (2004年08月02日 13時05分)

黒姫に行って来ました。
嵐のように過ぎ去った3泊4日でした。
キャンプのエネルギーをいっぱいもらって、またラボ頑張ろうかなとい
う気持ちになりました。

がのさんのとこも写真が変わりましたねぇ。

とても涼しげですてきです。

私もそのうち、野尻湖コースに行きたいです。
もう、ずいぶん行ってません。
Re:Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
がのさん (2004年08月02日 21時55分)

Hiromi~さん
そうですか、小学生世代があまりキャンプに行きたがりませんか。たしかにわ
たしたちの時代と違って彼らにはいくらでも楽しみがありますし、このごろで
は家族や親しいもの同士で簡便なオートキャンプを楽しむのが流行のようです
からね。ラボのキャンプは特別なのだといっても、キャンプというとき、そう
いう管理的空気を嫌うことが多い、それに、ラボのキャンプの参加費がけっし
て安くない、といった声を耳にすることもあります。どうすればいいのでしょ
うかね。
野尻湖とそのまわりの自然がこんなにも美しいものかとハッと思わせてくれる
作品『島守』。次の機会までにぜひお読みくださいませんか。1924(大正
13)年初出の作品だそうですから、もちろんわたしたちが知る野尻湖、弁天
島とは大きく違っています。しかし、自然のサイクルとその原質はそんなに変
わっておらず、樹々がカサリと枯れ枝を落とす音、実を落とす音、さまざまな
鳥たちの啼き交わす声、岸辺にひた寄る小波の音、それらのほかには何もな
く、耳の底までシーンとするような静謐さとそこはかとない美しさに満ちた自
然の世界。ラボっ子たちとともに湖の風を受けて白鳥丸に乗るのに、こういう
世界も知って乗るのと知らないまま乗るのとでは、ずいぶんその風光も変わっ
て見えようというもの。ただの幼児向けコースではなくなると思いますよ。
Re:Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
がのさん (2004年08月03日 09時41分)

Play with meさん
>そうですか。出発前はゆっくりとHPを散策しなくて残念でした。
下界はまさに鉄板のうえにいるような灼熱の暑さ。それにひきかえ黒姫はたい
そう涼しかったそうですね。またたくさんの新鮮な鋭気を得て帰ってこられた
ことでしょう。
野尻湖(芙蓉湖と呼ぶほうが気に入っていますが)。何も知らなければ、「わ
ぁ、きれい」「わぁ、大きい」「わぁ、風が心地よい」といったところでしょ
うが(それでいいのかも知れませんけれど)、すばらしい文章にふれたあとで
見る野尻湖は、ひと味もふた味も違ったこころの風光のなかに描きだされると
いう楽しみがあります。こういうことはよくありますよね。かつてイギリス・
ダービシャーへ引率スタッフとして行くという者にジェーン・オースティンの
『高慢と偏見』を読んでから行ったらどうか、と薦めたことがあります。その
地のことが女流作家の目できれいに表現されているんですよね。結局、行く前
には読めず、帰ってきてから読むということになりましたが、「読んでおけば
よかったぁ」と悔やみを云っておりました(今もラボとダービシャーとの交流
は続いていますか)。
別な話ですが、このホームページの「ページ一覧」のうち「小径を行けば…」
で今回帰省して久しぶりに見た広瀬川について書いてみました。小さいころか
らよく知る川ですが、萩原朔太郎の詩とこの詩人のことをよく知ってから見る
広瀬川は、すっかり違うんですよね。それがことばの力というものなのでしょ
うか。
野尻湖についてもぜひもう一度見直してやってくださいますことを…。
Re:Re:Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
Play with meさん (2004年08月04日 13時19分)

がのさん
>(今もラボとダービシャーとの交流は続いていますか)。
 何年前になりますか・・・イギリス交流は終りました。
そのころにはがのさんは離れておいででしたか?時は流れますね。

>「小径を行けば…」
 読ませて頂きました。全く知らないまち、爽やかに流れる文学の風にふかれ
て、とても気持いい時間を頂きました。
詩人、文学者としてしか知らない人たちが身近に息づいているなんて素敵です
ね。そんな故郷ががのさんの原点なのですね。
そして、若かりしころの当時のギャルたちの憧れの君だったのですね。
見向きをしないのも時代のすがすがしさなのでしょうか?
現代、女性の元気を言われますが、今に限らずだったのかもしれませんね。

尾瀬の素敵な画像をありがとうございました。気付くのが遅くて失礼しまし
た。ページが豊かになってゆき、ほっこりした気分になります。
Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび
円戸津 高志さん (2004年08月04日 22時19分)

「芙蓉」が仏画のハスでしか知らない頃、妙にあのピンクが気になったもので
した、奈良の猿沢の池で見たハスは花は見れなかったものの、願わくはもっと
綺麗な水の中で咲いて欲しいと思ったものでした。

しかし14才の私には未だ知らなかった、この世の混濁の中に咲く美しいもの
の例えを。時代は常に混濁か、そして人は何を学び、何を喜びとするのか。

中勘助、確かに弁天島の木の陰に碑がありました、今度もと小生のラボっ子達
といって話して聞かせましょう、黒姫駅前の書店の息子にも。

芙蓉のかんばせの女性に巡り合い、ストイックな恋、偲ぶ恋をヨン様で追う女
性と対を為すの面白いですね。

芙蓉峰とは富士山の雅称とか、美しさを愛でるためには、忙中閑有りが一番で
しょう、小人閑居すれば不全を為す、閑な人間ほど狂い7人もの人を殺めたり
したのでは。徒然思います。
Re:Re:★芙蓉湖(野尻湖)の風をしのび(08月01日)
がのさん (2004年08月05日 09時52分)

サンサンさん
>黒姫に行って来ました。嵐のように過ぎ去った3泊4日でした。私もそのう
ち、野尻湖コースに行きたいです。もう、ずいぶん行ってません。
----------------------------
さまざまな出会いで紡がれたキャンプ、十分楽しんでこられたことでしょう。
黒姫はラボに関わったすべての人びとには、こころ寄せられる第二のふるさ
と。目を瞑ればいろいろな情景が思い出されます。
行けばかならず何かいいことがありましたよね。
きっと今もそれは変わりがないことでしょう。
サンサンさんは、もう数えきれないほど黒姫通いをしておられるでしょうし、
野尻湖などは目を瞑っても行かれるほどでしょう。
引率者という意識もあり、その美しさを堪能するゆとりがなかなか持てないこ
とも加わって、ひょっとすると
野尻湖もそれほどには新鮮な思いをもって見ることが
少なくなっているころかも知れませんね。
そんなとき、中勘助の名文、胸にしみわたるその文章にふれると、
野尻湖をつつむ季節の色がパーッと新鮮に蘇ってくるかも知れませんよ。
ひとつの感動が見る対象をくるりと変える、そんな出会いは貴重です。
わたしもあの湖には10年以上行っていないことになりますが、
湖面いっぱいをおおって乳色に降りていた朝霧が、少しずつ、
少しずつ薄くなり、だんだん霽れてきて、むこうの山の緑がしっとりと
すがたを現わしてゆく光景を想像すると、満たされて十分に幸福で、
もう何も要らないという感じになります。
そんな思いを求めて、この夏、尾瀬の早朝を歩いてきました。
夏休みとはいっても、休養とはいかず、周囲は相変わらず弾け飛ぶ活力でアワ
だっている様子。猛暑でもあり、どうぞお体をたいせつに。
<< 前の日記 | 次の日記 >>
Copyright(C)2002 Labo Teaching Information Center.All rights reserved.