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0705
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★古歌にうたわれた妙ちきりんな花 09月09日 (木)
さてさて、こんな花をご覧になったこと、ありますか?
萬葉植物をさぐっているうちにたまたま出会った花。
いったい、これ、花? 
…ちょっと妙ちきりんな花だとは思いませんか。

   道の辺の尾花がしたの思ひ草
     今さらになど物か思はむ (萬葉集巻十、2270)

manyo-omoigusa.jpg

1250年以上も前のわたしたちの祖先に「思ひ草」と呼ばれ、
いまでは一般的に「ナンバンギセル」と呼ばれています。
学名: Aeginetia Indica
これを探そうと思ったら、たいへんですよ。
川ばたのススキの原を血だらけになって掻き分け掻き分け、
マムシの出現にも驚くことなく、野鳥たちの卵を踏みつけぬよう、
よほどていねいにその根元のあたりをさぐらなければなりません。
わたしですか? 
これはですね、わが家に近い大学の、その構内の一角につくられた
「萬葉の小径」の、ひとむらのススキのかげに
ひっそりとひそんでいたものを見つけました。
うす紫色の可憐な花。たおやかな女性が、何があったのか、がっくりと
首うなだれているといった風情。
萬葉びとはそんなふうにこの花を見たにちがいありません。ロマンですねえ。
また、もっとのちになって、西欧からの即物的な思考になれた人びとは、
これを「ナンバンギセル」と呼びました。
南蛮わたりのキセル(マドロスパイプか?)に似ていると見たのでしょうか。
(ある感度するどいテューター。みにくいあひるの子が母親から
「この子は生まれてこなければよかったのに」といわれたときのがっくりした表情を想った、と。
物語を大事にするひとの発想はあざやかですね。スゴイ!)
一方、中国では野菰(やこ)といったとか。野のコモ。
このネーミング、なかなかイメージゆたかではありませんか。
えっ、高さですか? そうね、10センチに満たないかも。小さいです。
ハマウツボ科の花で、1年草。夏から初秋のころにこんなふうに咲きます。
けっしてハデではありません。ひとの目をさけるように、
陽光の射さぬところに遠慮がちに、恥じらうように咲いています。
ところで、写真で見ていただくように、この花には葉というものがありません。
光合成して自分で生きようとする努力を怠るやつ。つまり、
ほかの植物にちゃっかり寄生して生きる「パラサイト植物」というわけ。
萬葉集に詠われたことのある古い植物ながら、どうですか、
これ、なかなか現代的じゃないですか! フリーター花ってところ?
「あっち行け!」と、寄生されて迷惑がっているのはイネ科の植物。
ススキだったり、サトウキビだったり、ときにはミョウガだったり。

みなさんにはあまりお役に立ちそうもないことを書きましたが、ついでです、
おまけにこの季節に添えてもうひとつ。

   萩の花 尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花
      女郎花(おみなへし)また藤袴朝顔の花――山上憶良
Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
サンサンさん (2004年09月20日 09時47分)

ほんとに不思議な形のお花。

ちょうど白鳥の頭のような形。

ひっそりと咲いているのですね。

その花は、なぜ、そんな色、形で咲いているのでしょうか。

それぞれに存在理由があるのでしょうね。
それは見た人が感じればいいのでしょうか。

それにしても、白鳥が頭をすっくともたげた形にそっくり。
Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
がのさん (2004年09月20日 11時45分)

サンサンさん
>ほんとに不思議な形のお花。ちょうど白鳥の頭のような形。白鳥が頭をすっ
くともたげた形にそっくり。
----------------------------
は~、なるほど、白鳥とご覧になりましたかぁ。それは、たぶん、わたしの写
真が上手だから(!)ではないでしょうか。首のあたりが初秋の斜光を浴びて
飴色に透けて光っていて、これ、なかなかきれいでしょ! いや、じつは、き
れいとは思いませんでしたが、めずらしいなあ、と。…ですが、この16日の
朝日新聞神奈川版の「花めぐり」にバッチリ紹介されているじゃありません
か! でも、エコ贔屓でしょうが、わたしの写真のほうが数段イイ、そう思っ
ていますが。そんなにめずらしいものじゃないんでしょうかねぇ。だって、わ
たしの「お気に入り一覧」のいちばん下、「浜っ子だより」の「歳時記―夏の
散歩路」でも浜っ子さんがまたまた紹介しているし…。こちらの画像はさすが
にきれいですよ。ぜひご覧になってください。
朝日新聞のその記事によりますと、撮ったのは横浜・舞岡公園の小谷戸の里と
ありました。背丈15cmで、「麦わら色に筒型の淡紅色の花がのんびり顔で群
れていた」とあり、わたしの見た印象とはだいぶ違います。これが異常発生す
るとオカボが全滅するほどの被害におよぶとも紹介されていました。
な~んだ、あまりめずらしくもないのか!
Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
dorothyさん (2005年08月25日 03時54分)

昨年9月9日の日記を拝見しました。
本当におもしろい花ですね。
色がとてもきれいだな、と思って
眺めました。この花が、ススキなどの
下に顔を出していたら、色目の少ない
ところに青紫の花で、なんともいえず、
風情があるでしょうね。
しかも、パラサイト花とは!

メールアドレスは、メッセージ欄に
書きました。ぜひ、この「ナンバンギセル」の
レポートをお送りください。お待ちしています。

お弁当、最近の健康食ブームでいろいろ
取り上げられている素材を使っているな、
というのが最初の印象でした。つまり
当時の食事は地元でとれる素材をそのまま
丁寧に料理していったのでしょう。
赤米は我が家でもときどき炊きます。
我が家には電気炊飯器がなく、毎食毎回土鍋で炊いて
木の御櫃に移してご飯をいただくのですが、この赤米や
黒米は、御櫃に色がすぐ移り、とれないほどです。
玄米なので、そのプリっとした食感を家族で楽しみます。
Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
がのさん (2005年08月25日 12時16分)

ドロシーさん

赤米は我が家でもときどき炊きます。我が家には電気炊飯器がなく、毎
食毎回土鍋で炊いて木の御櫃に移してご飯をいただくのですが、そのプ
リっとした食感を家族で楽しみます。
----------------------------
ほ~、土鍋ですか。意外、意外! それでは山からたきぎをとってき
て、へっついで…!? 失礼、まさかね。
ほら、簡単レシピなんぞに夢中になっておられるご様子。あらあら、三
人の育ちざかりの子どもさんがおいでになるなら、手抜きせずに母の味
をこってり提供なさればいいのに、とはわたしのあさはかな弁。ま、土
鍋のごはんはさぞかしおいしいことでしょう。
そうですよ、平安朝文学に造詣深いドロシーさんのこと、そんなにバタ
バタせず、つつましくみやびなスローライフのほうがお似合いと思うの
ですが…、はい、また余計口でした。
Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
dorothyさん (2005年08月26日 08時45分)

がのさん

ほ~、土鍋ですか。
----------------------------
実際のところ、土鍋でご飯を炊くようになってからは、
外食した際など、炊飯器のニオイに敏感になってしまいました。
しかも、木のお櫃に移すと、水分調節をお櫃がしてくれるので、
多少の水加減の誤差なら、食べる頃には程よくしてくれます。

----------------------------

ほら、簡単レシピなんぞに夢中になっておられるご様子。あらあら、三
人の育ちざかりの子どもさんがおいでになるなら、手抜きせずに母の味
をこってり提供なさればいいのに。ま、土鍋のごはんはさぞかしおいし
いことでしょう。
----------------------------
お恥ずかしい限りです。実際のところ、土鍋に限らず、家にある
すべての鍋でご飯を炊けるのが、私の唯一と言ってよい、料理自慢
です。どんな鍋でも、高級炊飯器以上の味になります。しかも、
調理時間も調理コストも鍋のほうが少なくてすむのです。

----------------------------

そうですよ、平安朝文学に造詣深いドロシーさんのこと、そんなにバタ
バタせず、つつましくみやびなスローライフのほうがお似合いと思うの
ですが…。
----------------------------
あ、そんなことをおっしゃると、清少納言や紫式部があの世で
バクテンをしてしまうほどの騒ぎになります。ただ、こちらに
伺ったときには、お茶会での静寂で楚々とした雰囲気の中にも、
ゆとりやくつろぎを感じるのと同じ気持ちでおります。

お茶会といえば、先日の「かたかごの花」の歌は、随分以前、
お茶会で、私が亭主となってもてなしたときの掛け軸の歌で
した。お道具類が少ないので、師匠にお願いしたとき、私に
ゆかりのある軸として、貸して下さったのでした。
体をこわして、お茶からも離れていますが、そのうち、客として
どこかのお茶会にでも行きたいと、思っています。

追伸:メールの添付ファイルの文章、大変楽しく読みました。
もし、ほかのものをお持ちでしたら、ご面倒でなければ
もっと読みたいな、と思っております。
Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
がのさん (2005年08月26日 19時27分)

ドロシーさん

土鍋に限らず、家にあるすべての鍋でご飯を炊けるのが、私の唯一と言
ってよい、料理自慢です。どんな鍋でも、高級炊飯器以上の味になりま
す。しかも、調理時間も調理コストも鍋のほうが少なくてすむのです。
----------------------------
土鍋、お櫃…、なにやらなつかしい民話の世界にきたようで、うん、な
かなか気分いいです。やはり、はじめチョロチョロ中パッパ…、と昔か
らの伝えどおり炊くんですか。なんだか、あっ、忘れた! ということ
ですぐ失敗しそう。
わたしはお料理については、カラキシのばかなんです。何もつくれませ
ん。愚妻がつくってくれるものならなんでも、「ありがとうござんす」
と云って(あ、云わないか)、文句もいわずひたすら食べるのみ。そんな
愚妻(「愚妻」というと、ちこさんが怒るんですよ)に先立たれたら、ど
うするんだろうと、ちょっと心配になってきましたが。
------------------------------------------------------------
こちらに伺ったときには、お茶会での静寂で楚々とした雰囲気の中にも
ゆとりやくつろぎを感じるのと同じ気持ちでおります。
お茶会といえば、先日の「かたかごの花」の歌は、随分以前、お茶会
で、私が亭主となってもてなしたときの掛け軸の歌でした。
----------------------------
堅香子(かたかご)、すなわちカタクリ。すがすがしい歌ですね~、まわ
りの空気がきらきら輝いてくるような。で、わたしがぜったい的な自信
をもっている写真、ご存知ないでしょう。「ページ一覧」のほうの「今
月の花神」、このところずうーっとさぼっておりますが、ズズッと降り
ていって「Mayカタクリ」までたどっていってください。あったでしょ
う。美しいでしょう。なお、わたしはこのサイトのいろんなところで萬
葉の歌を書き散らしておりますが、中でもこの「今月の花神」の随所に
花にまつわる歌をご紹介しております。おヒマをみてのぞいてみてくだ
さい。
Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花(09月09日)
dorothyさん (2005年08月27日 06時38分)

がのさん

やはり、はじめチョロチョロ中パッパ…、と昔からの伝えどおり炊くん
ですか。なんだか、あっ、忘れた! ということですぐ失敗しそう。
----------------------------
タイマーがあるので、火にかけて大体何分くらいで沸騰するか
経験的にわかるので(そのときの水温、室温、米の量など)、
タイマーが鳴るまで忘れていても大丈夫です。また、土鍋はそれ自体が
温まるまで時間がかかるので、沸騰するまで強火。鍋が熱くなったら
今度は火加減を弱くしても沸騰が続くので弱火。金属製の鍋は
その形・材質によってそれぞれ炊き方が違います。圧力鍋では、
圧がかかるまで強火。圧がかかったら最弱にして3分。圧が下がれば
出来上がり。簡単です。

--------------------------------------------------------

愚妻・・・
----------------------------
先日、我が子の話をするときに、「愚息」と表現しましたら、
意味がお分かりにならなかった方がいらっしゃいました。
内心では全然「愚息だ」と思っていないので、伝わらなかった
のだと思いました。「お利巧でかわいくて元気で良い子で
天才の私の宝物」と信じて疑わない私を表現するのにぴったりの
「親バカ」。

------------------------------------------------------------

次に続く
Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【1】
がのさん (2005年08月27日 22時18分)

ドロシーさん【1】

、「虞美人草」を拝見して、しばし手が止まりました。
高校時代に習った漢文の中で、「史記」に触れたときの感動を
思い出したのです。特に「四面楚歌」の段。
---------------------------------------------------------
なるほど。ポピーでもなく、ヒナゲシでもなく、コクリコでもなく、
あの花を「虞美人草」と呼ぶのがお気に召しますか。
「三国志」にあらわれた虞姫の心栄えをあらわすエピソードには
ぐっと胸をえぐるものがありますね。

ところで、地方都市にあってはなかなか能・狂言ほか、
伝統の古典芸能にふれる機会が得にくいとのこと。
たしかにそうかも知れませんね。
そんなときは、「あんた、ちょっとやかましいね」といわれるくらい、
地域のなかで声をあげていくといいですよ。
意外なところに同好の士がいたり、
思いがけない人がヴォランティアを申し出てくれたり、
おかねを出してくれたりして、
市民パワーで3年連続で薪能をやったことがあります。
企画から運営まで、それはそれはたいへんでしたけれど、
うれしかったですよ。入場券の奪い合いが起こるほどの盛況でしたし。
資金不足やその他の問題からいまは中断、というか
立ち消えの状態ですが、この流れは別な流れを生んで、
自然あふれる郊外デパートの屋上での薪能がおこなわれる
ようになっています。
第三回めとなるこの9月17日(土)の演目は、
「安達が原」の「白頭・急進之出」。
最近は、すっかり出無精になってはいますが、
今回ばかりはなんとか行ってみようかな、と予定にはしています。
ただ、例年、この時期は台風シーズンでして、
野外での薪能ですので中止やむなしということもあり、
天候が心配です。荒天ですと、これは完全にオジャンですので。
≪つづく≫
Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年08月27日 22時20分)

ドロシーさん【承前】

「安達が原」は、ご承知のように、女の業を生きる宿の女主人と
旅の山伏との凄絶なひとときを描くもの。女のなんとも哀しい孤独と
人間の二面性とを、彫り深くあらわす名曲で、その幽玄の世界は
生きることの悲しみとはかなさにあふれ、怖さとともに、
涙をさそうものがあります。
歌舞伎を観賞する機会は、これまでのところないですが、
こころやすく能・狂言、雅楽、落語、文楽といった古典芸能に
触れる機会には、ありがたいことに、年に二~三回ずつ、
恵まれています。
そういえば、ラボではこの夏から秋にかけては「笑い」を
テーマに追うところが多い模様。もしよかったら、「ページ一覧」
から「古典芸能」のうちの、
〔2〕狂言「節分」―笑いの生理、狂言のおかしさ―
を一度のぞいておいていただけましたら幸甚です。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
dorothyさん (2005年08月29日 06時13分)

がのさん

私の認識不足でした。少しまじめに調べたところ、
この地区でも、薪能など、頻繁ではないけれど、
ときどき開催されていました。狂言も、来ていました。
近くのホールのことしか思い至っていなかったので、
少し視野を広げると、思わぬところで行われていたのです。
勉強になりました!こんど、近隣で開催されるときには
ぜひ足を運びたいと思いました。

>「安達が原」は、ご承知のように、女の業を生きる宿の女主人と
旅の山伏との凄絶なひとときを描くもの。女のなんとも哀しい孤独と
人間の二面性とを、彫り深くあらわす名曲で、その幽玄の世界は
生きることの悲しみとはかなさにあふれ、怖さとともに、
涙をさそうものがあります。

「安達が原」は、福島県説が有名ですが、実は東京都足立区が
伝説の発祥である、との説もあるようです。また、レベルを
下げて申し訳ないけれど、手塚治虫の「ライオン・ブック」に
掲載された「安達が原」は、設定を未来においての話で、
この伝説を紹介しています。

>「ページ一覧」から「古典芸能」のうちの、
〔2〕狂言「節分」―笑いの生理、狂言のおかしさ―
を一度のぞいておいていただけましたら幸甚です。

早速拝見いたしました。また、「川柳で遊ぼ!」も。
父の蔵書から、「川柳大辞典」なるものを持ってきて、
江戸時代の川柳を眺めています。江戸時代の文化や
生活を知らないと理解しづらいものも多く、それなりの
楽しみをしています。
「大根も 器量よしから 先に売れ」
婚期を逃すのではないか、と心配した母が
思わず作った川柳でした。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年08月29日 17時45分)

ドロシーさん【1】

>私の認識不足でした。少しまじめに調べたところ、この地区でも、薪
能など、頻繁ではないけれど、ときどき開催されていました。狂言も、
来ていました。
――そうですね。それと意識していると意外なところから情報が飛び込
んできて機会を得られることがありますね。さまざまなことを抱えてお
られる皆さんにはそんなに容易なことではないでしょうが、たとえば少
し前、このネットで義経-知盛のことが話題になりましたけれど、そのへ
んのことはたくさんの能の曲になっています。安宅、敦盛、清経、大原
御行、実盛…などなど、それぞれすぐれています。「平知盛」をもう一
歩深いところで捉えようとするとき、ぜひ能で観ていただきたいと願っ
ています。
         -----------------------
「安達が原」は、福島県説が有名ですが、実は東京都足立区が
伝説の発祥である、との説もあるようです。
――すみません、わたしのミスでして、正しくは「安達原」という表記
になるそうです。「が」は不要でしたね。東京・足立区説については知
りませんでしたが、資料には奥州安達原とあったり陸奥安達原となって
いたりします。おっしゃるとおり、福島県の安達太良山の物語とするの
がもっとも適切ではないかとわたしも思っております。
「安達が原の鬼婆」として一般によく知られる説話をもとにした作品。
観世流では「安達原」ですが、他の流派が演じるときは同じものを「黒
塚」としており、わたしはこちらで観ています。
紀州の那智からはるばるやってきた山伏(ワキ)の一行が、山深いところ
で行き暮れる。そこにあった粗末な一軒家に一夜の宿を求める。許され
て泊めてもらうことになりますが、そこの老女(前シテ)が繰れども繰れ
ども尽きない糸の長さにあわせて、老いのわびしさ、苦しさを語りま
す。(下のcandyさんのところで書きましたが、昨日会ったたくさんの痴
呆症老人には、その侘しさ、苦しさの影はなく、皆さんアッケラカンと
して明るかったですが)。凍えるような寒い夜の語り。老女は話を途切
り、火にするたきぎを取りに外へ出ます、「ぜったいにむこうの閨(ね
や)は見ないように」と云いおいて。【つづく】
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年08月29日 17時48分)

ドロシーさん【2】

このへんは、ギリシア神話のオルフェウスの話であり、イザナミ・イザ
ナキの話、「みるなの花ざしき」の展開に似ていますね。禁を破るのは
山伏の従者(アイ)で、閨で見たのは累々たる死骸の山。さてはここがう
わさの鬼の住処かと、山伏一行はほうほうのていで逃げます。薪を背負
った女の鬼(後シテ)がそれを追う。
わたしは、これはただに恐ろしい鬼婆の話ではなく、もっと文学的なも
のと考えたいのですね。鬼は男どもをたぶらかして喰おうとしていたの
ではなく、はかなく命を長らえた老女が祐慶というすぐれた山伏に出会
って、ふと恋してしまったのではないか、と。その根拠ですか。この鬼
女は白頭であらわれますね。能では、黒頭の鬼は鬼本来の凶悪さをあら
わしますが、白頭のほうの鬼は劫を経た老いをあらわし、悲しみや孤独
や、あるいは何かの罪の果てに鬼に変身したと考えられるからです。で
すから、最後に山伏祐慶の法力で祈り伏せられる鬼が哀れで哀れでなら
ないんですね
           ----------------------
先回の書き込みで四面楚歌のことにふれていただきました。思い出せば
これについても能の名曲があるんですよ。ひとつは「項羽」。これでは
覇王項羽の最期の場面とともに、虞妃との哀しい別離、そして彼女の自
決が語られますが、死んだ項羽の化身(後シテ)が船頭のすがたであらわ
れ、船に乗った客から船賃として虞美人草を求めるという、ロマンに満
ちたすてきな話。また、こちらはわたしは観ていませんが、土岐善麿は
これに飽き足らないとして「四面楚歌」という曲を書き、虞美人のほう
にぐっと比重をおいたものになっているとか。
          ------------------------
早速拝見いたしました。「川柳で遊ぼ!」も。「大根も 器量よしから
 先に売れ」婚期を逃すのではないか、と心配した母が思わず作った川
柳でした。
――お恥ずかしい次第です。すっかり放り出したままです。どうでしょ
う、名句・迷句をひとつお寄せくださいませんか。
それにしてもお母さんの川柳、どんぴしゃに云いあてておられるのか、
まあ、ダーリンだ、ダーリンだ、と、こちらにはケッタクソ悪いという
か、羨ましいというか…。清い光をいっぱい受けた器量よしのダイコン
だったようで、めでたし、めでたし、ですね。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
dorothyさん (2005年08月30日 05時49分)

がのさん
>「安達原」
           ----------------------
なるほど。黒頭の鬼と白頭の鬼にはそういった意味があるのですか。
その辺りのお約束事も知っているのと知らないのとでは、古典芸能を
見ても楽しさが違いますね。勉強になりました。
福島県には「安達が原ふるさと村」という観光地を作り、
この「安達が原の鬼婆」を観光名所としています。随分以前、
この話の由来を調べる機会があったとき、この類の説話は
各地に残されていました。その中でも、「アダチ」という
地名が着いていた説話は、実は東京都足立区のものでした。

           ----------------------

「四面楚歌」
          ------------------------
「項羽」の、船賃として虞美人草を求める、とても感動しました。
全く能を見たことがないので、本気で見る機会を探します。
「黒塚」だけでなく、こういった中国の有名な場面を能に仕上げて
いることも全く知りませんでした。どのような演目でも、能を
見る日が来るのがとても楽しみになりました。

           ----------------------

川柳
それにしてもお母さんの川柳、どんぴしゃに云いあてておられるのか、
まあ、ダーリンだ、ダーリンだ、と、こちらにはケッタクソ悪いという
か、羨ましいというか…。清い光をいっぱい受けた器量よしのダイコン
だったようで、めでたし、めでたし、ですね。
           ----------------------
器量は問わないこととして、母が今でも大根を買うときに思わず
口にしてしまう、といっているほどの傑作だったことは確かです。

  けんか腰 「大好きだよ」で 仲直り
即興で作りました。よろしければ、添削をおねがいします。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年08月30日 21時34分)

ドロシーさん
>「安達原」
福島県には「安達が原ふるさと村」という観光地を作り、
この「安達が原の鬼婆」を観光名所としています。

⇒「安達が原ふるさと村」が福島のどこにあるのかな~、と検索してみ
ました。ありました、ありました。やはり安達太良山に由縁がありそう
ですね。高村智恵子さんの生家があることで知られる二本松。東北本線
の二本松駅と安達駅の中間あたりに鬼婆の墓といわれる黒塚があった
り、鬼婆の住処だったとされる岩屋とか出刃洗いの沼もあるとか。ふ~
ん、こういうところが観光名所になりますかね~。ドロシーさんの家か
らもそんなに遠くないのではありませんか。秋の夜更けなど、出刃包丁
をもった鬼婆があらわれるかもしれませんよ。
お能のほうとはいろいろな点で違うようですが、こちらの伝説では、も
ともとは「岩手」という名の女で、京都のある公卿屋敷に乳母として雇
われていたひと。大事に大事に育てていた姫が重い病気にかかります。
たいへん忠実なめのとだったのでしょうか、幼い姫の病気を治したい一
心から陰陽師にみてもらいます。その陰陽師がいうには、妊婦の生き肝
を取って飲ませれば快癒するとのこと。そのことばを信じて陸奥へ旅だ
ち、たどりついたのが安達ケ原だった、となっています。

           ----------------------
川柳
器量は問わないこととして、傑作だったことは確かです。
  けんか腰 「大好きだよ」で 仲直り

⇒ドロシーさんところのご夫婦の風景ですか。こってりとしたヤキモチ
でやけどしそうですが、「川柳で遊ぼ!」に入れさせていただきまし
た。久しぶりのこのコーナーへの書き込みとなりました。添削はいたし
ません。批評しあうこともいっさいいたしません(茶化しあうことはしま
すが)。その場でアハハと笑っておしまいです。もともと川柳のうまい・
へたなんて、わかりませんもの。またお寄せください。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
dorothyさん (2005年08月31日 03時05分)

がのさん
「安達が原ふるさと村」
           ----------------------
ひゃぁ~、結構私はこわがりなのです。ですから、確かに
うちから近いのですが、行った事はありません。
智恵子の生家も近いです。安達太良山と阿武隈川は、いつも
目にする、生活圏内です。

           ----------------------

能「黒塚」
妊婦の生き肝を取って飲ませれば快癒するとのこと。そのことばを信じ
て陸奥へ旅だち、たどりついたのが安達ケ原だった、となっています。
           ----------------------
なるほど。何も知りませんでした。ものすごく、心を動かされました。
今まで聞き知っていた「安達が原の鬼婆」とは趣が全然違いますね。

           ----------------------

川柳
「川柳で遊ぼ!」に入れさせていただきました。久しぶりのこのコーナ
ーへの書き込みとなりました。
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お恥ずかしい限りです。が、大変うれしく思います。
また何か思いつきましたら、書いてみます。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年08月31日 15時32分)

ドロシーさん

>「安達が原ふるさと村」
なるほど。何も知りませんでした。ものすごく、心を動かされました。
今まで聞き知っていた「安達が原の鬼婆」とは趣が全然違いますね。

そうですよ、岩手という乳母(めのと)じゃないですが、相手がだれであ
れ、愛がすぎると女は狂うようですよ。大丈夫ですか、ドロシーさん。
いま、candyさんに応えながら「采女」の悲恋を思い出していたところ。
ダーリンだ、ダーリンだ、といっていて異様な妖怪に化けても知りませ
んよ。そういえば、きのうの朝、ちょっとだけでしたが、「妖怪大戦
争」の水木しげるさんをNHKで見ましたよ。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
dorothyさん (2005年09月01日 05時20分)

がのさん

>いま、candyさんに応えながら「采女」の悲恋を思い出していたとこ
ろ。

奈良と郡山市はこの「采女」伝説が縁で姉妹都市となりました。
采女の出身が当地であったと。毎年夏には、「うねめ祭り」が
催されています。同じ踊りが郡山と奈良とにあるので、一度、
一緒に踊ろう、と企画されましたが、踊りや音楽のテンポが
全くあわず、とても苦労した、という話を聞いたことがあります。

近鉄奈良駅から、猿沢の池のほとりを通って興福寺へ。
そのまま東大寺、春日大社へ足をのばす。
私の好きな道です。途中、三月堂で仏様と向かい合って座り、
少しお昼寝。ひんやりと心地よく、まるでお母さんのお腹に
戻ったような安らぎを感じるひと時です。

若いころは、戒壇院の上まで登れて、四天王を間近に
見られたのですが、いつの頃からか、下から仰ぐように
なりました。東大寺戒壇院は、大仏殿の近くながら
あまり訪れる人もないようで、庫裏に行って、わざわざ
お堂を開けていただいた記憶があります。

>そういえば、きのうの朝、ちょっとだけでしたが、「妖怪大戦
争」の水木しげるさんをNHKで見ましたよ。

映画の中の発起人のみなさんは、とても楽しそうでした。
まるで子供のように・・・。その番組は見ませんでした、
というよりも、実際ほとんどテレビ番組を見ません。
テレビを使うのは、好きな映画をDVDなどで見るとき
くらいです。ニュースも天気予報も、最近はインターネットを
使います。

川柳、拝見しました。思わずニヤっとしました。
どの句かは、あえて申し上げませんが。
ダーリン妖怪にならないよう、気をつけます。
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Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年09月01日 11時08分)

ドロシーさん【1】

>奈良と郡山市はこの「采女」伝説が縁で姉妹都市となりました。采女
の出身が当地であったと。毎年夏には「うねめ祭り」が催されます。

☆… 采女の袖吹き返す飛鳥風
      都を遠みいたずらに吹く  ――志貴皇子(萬葉集)

ほ~、奈良と郡山が姉妹都市。いつもながらドロシーさんには意外なこ
とを教えなれ、びっくりいたします。このところでは、(ダーリン)妖怪
のこと、安達ケ原の鬼婆のこと、そして采女の亡霊のこと。怖いのには
弱いとおっしゃりながら、なんとまあ、あちらの世界のことばかり。ま
だ夏だからでしょうかね~。
お能「采女」についてはいろいろな思い出があります。ある時期、能楽
鑑賞会に入るなどして集中的にお能を観たんですね。その契機は東京支
部のFテューターでして、「宝生閑が出るのよ、一度観ておかなくちゃ
だめよ」という弁。そして入会後最初に観たのが「采女」。なんの予備
知識も心構えもなく飛び込んではみたものの、これがさっぱりわからな
い。2時間にわたって旅の僧(ワキ、宝生閑)は能舞台にあがってはいる
のですが、ほとんど動かない。ことばはのろのろとしてちっとも進まな
い。序の舞にきてようやく少しばかり動くという舞台。観能はこれが始
めてというわけではありませんでしたが、ま~、能ってこんなに退屈な
ものだったのかと、われながらあきれたものでした。しかし、モーレツ
社員をやっていた時期でもあり、なんだかその空白の時間がこれまでど
こでも経験したことのない自由で解放された時間なんですね。自分のな
かを空っぽにすることがえもいわれぬ心地よさなんですね。仕事のあと
の疲れを抱えての観能。ほとんど居眠りばかりなのですが、それがなん
とも心地よい、ぜいたくな眠りなんです。昭和55年のこと。以来4~5
年、月1回ずつ(3分の1は仕事の都合で行けませんでしたが)公演にふ
れさまざまな曲を観てきました。
世阿弥の曲とされるこの「采女」。評価は大変高いのですが、いいもの
なのか、つまらないものなのか、ほんとうのところはわたしにはわかり
ません。で、采女(うねめ)という存在ですが、これは地方の豪族が朝廷
への服属のしるしとして、きれいなダイコン、じゃなかった、容色すぐ
れた娘を人身御供として大和朝廷に差し出したものだそうですね。
≪つづく≫
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
がのさん (2005年09月01日 11時11分)

ドロシーさん【2】

天皇のそばにいて食事の世話から夜のなぐさみまでいろいろな雑用をし
てやる立場の美しい女性。その美女が天皇の寵愛のうすくなったのを怨
んで猿沢の池に入水するという話。
    吾妹子が寝ぐされ髪を猿沢の  
        池の玉藻と見るぞかなしき
なんて謡も語られますが、ドロシーさんでしたら、ジョーダンじゃない
わよ、男なら掃いてすてるほど…! というところでしょうか。
あっと、お伝えしようと思ったのはそういうことではありませんでし
た。その哀しい運命を生きた采女さんの出身地ですが、曲のなかにこん
なことばがあります、「葛城のおほきみ、勅に従ひ陸奥の、しのぶもぢ
ずり誰も皆、こともおろそかなりとて、設けなどしたりけれど、…(略)
…されば安積山(あさかやま)、影さへ見ゆる山の井の、浅くは人の思ふ
かの、こころの花開け…」云々。お近くに安積山というのはあります
か。猪苗代湖から水を取って郡山市を貫いている安積疎水については聞
きますが、山のことは知りませんでした。その山があるとすればどうや
らそのへんがふたつの市を結ぶ根拠になっているような気がしますが。
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近鉄奈良駅から、猿沢の池のほとりを通って興福寺へ。そのまま東大
寺、春日大社へ足をのばす。
若いころは、戒壇院の上まで登れて、四天王を間近に見られたのです
が、いつの頃からか、下から仰ぐようになりました。東大寺戒壇院は、
大仏殿の近くながらあまり訪れる人もないようで、庫裏に行って、わざ
わざお堂を開けていただいた記憶があります。
☆…奈良にお詳しいのですね。う~ん、行きたい! わたしの奈良は高
校の修学旅行だけなのですが、それが、すでにcandyさんのところで恥を
晒しましたように、なんの記憶もないんですね。バスにひどく酔って、
宿にひとり取り残され、ふとんにひっくりかえってすごしただけの奈
良。ほんと、情けなくって泣いてしまいましたよ。
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川柳、拝見しました。思わずニヤっとしました。どの句かは、あえて申
し上げませんが。
⇒わかりますよ、すぐに。
ダーリン妖怪にならないよう、気をつけます。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【2】
dorothyさん (2005年09月02日 06時14分)

がのさん

安積山

 実際、郡山市内北部にある、「安積山公園」がその地である、
といわれています。
☆… 采女の袖吹き返す飛鳥風
      都を遠みいたずらに吹く  ――志貴皇子(萬葉集)
この歌も、とても好きな歌です。「都を遠み」の「み」が
「~なので」という和歌表現である、というのも、この歌を
聞いて、実感・納得しました。「瀬を早み」の「み」も、
「川の流れが速いので」と訳しますから。けれども、そういう
文法的理解ではなく、つい数年前まで、人の往来の激しかった
都が遷都され、風のそよぎさえもわびしく感じられる、その
風景を思い描けました。高校時代から好きだったこの歌の
「采女」が、ここ郡山では、夏祭りや通りの名称に普通に
使われているのを、不思議な縁だな、と思っています。

能装束展が市内美術館で開催される、というお知らせを
目にしました。今までは、装束展なるものがあったとしても
全く気にもせずにおりました。が、ぜひ見に行きたいな、と
思っています。能舞台も、見に行きたいです。「采女」や
安達が原の演目だったら、と思うのは欲張りすぎですね。

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奈良
バスにひどく酔って、宿にひとり取り残され、ふとんにひっくりかえっ
てすごしただけの奈良。ほんと、情けなくって泣いてしまいましたよ。

それは、かわいそうながの少年。近鉄奈良駅近くの
「おしゃべりなかめ」という喫茶店やびっくりうどんなど、
風景が克明に思い出せます。近鉄奈良駅からJR奈良駅まで
の道も、墨を売るお店などあって、楽しめますのに。
・・・時間ができたら、奈良に行きたくなりましたか?
情けない思い出を払拭するためにも、そうです、ぜひ
奈良に行って、三月堂の中で母の胎内を体験してみてください。
癒されます。

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川柳
ダーリン妖怪にならないよう、気をつけます。

耳なしほういちのように、何か魔除けを考えねば・・・。
川柳のページも他のページも、とても楽しいです。
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Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【采女】
がのさん (2005年09月03日 00時22分)

ドロシーさん《1》

>安積山――実際、郡山市内北部にある「安積山公園」がその地である、
といわれています。「采女」が、ここ郡山では、夏祭りや通りの名称に
普通に使われているのを、不思議な縁だな、と思っています。

思えば、ナンバンギセルにはじまって、ポピー(虞美人草)へ、そしてど
ういうハズミか、能「采女」へ、陸奥の「うねめ祭り」へ、安積山
へ…。ほんの通りがかりのつもりの“采女”でしたが、これ、どんどん
深みに落ちていきそうですね。
采女の由縁をとどめる安積山――わたしはこれまで「アズミ」ヤマと読
んできましたが、間違いでしょうか。そちらではどう呼んでいますか、
「アサカ」ヤマですか――、萬葉集ではこんなふうにも詠まれていま
す。
     安積山 影さへ見ゆる山の井の
          浅き心を 我が思はなくに
で、ポイントは郡山市片平というところにあるこの安積山の“山の井”
清水でして、この小さい池のほとりに采女塚が立てられているとか。ド
ロシーさん、ひまをみて、いつかこのあたりを探検してみてもらえませ
んか。ここに伝わる説話は、これまでわたしの知る采女の物語とはだい
ぶ趣きが違うんですね。前半の部分は民話の「絵姿女房」にそっくり。
この地に、だれもが認める相思相愛の仲の男女がいました。永遠の愛を
誓い合って婚約、男は美しいフィアンセ (春姫という)の絵姿を田の畦の
立木に飾って、ほんとうにそこに娘がいるかのようにいちいちやさしく
声をかけながら農作業をするのが常でした。あるとき、風のいたずら
で、その絵が飛んで高く舞い上がり、たまたま大和朝廷から赴任して来
ていた葛城王〔のちの橘諸兄(たちばなもろえ)〕の手に渡り、その美し
さが目にとまって、どうしてもと、むりやり都へ連れていかれる。恋し
いものを失った男は嘆きのあまりあたまが狂い、山の井の清水に身を投
げて果てる。《つづく》
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【采女】
がのさん (2005年09月03日 00時36分)

ドロシーさん《2》

一方、春姫は奈良の都へ連れていかれたが、二世を誓った男のことが忘
れられず、決死の思いで逃げ出す。猿沢の池に身を投げたように装っ
て、じつは恋しい男の待つ安積山の故郷にまっすぐ帰って来る。帰って
みれば求めた男は死んでいる(あ~、このへんは「ロミオとジュリエッ
ト」だ~)。春姫もこの世のはかなさに思いあまって、その山の井の清水
に身を沈めて果てた、…そういう悲恋物語。娘が入水したときに脱いだ
采女衣を掛けたとされる桜の古木が今も残っているとか。
安積山のふもとには采女神社があり、8月に采女供養祭がおこなわれて
いるそうです。また奈良の采女神社のほうでも9月の中秋の名月の夜に
うねめ祭りのにぎやかな管弦祭が催されるそうですが、ここに郡山(安積
山)からの采女すがたの女性が派遣されるのだとか。きっとこのおはなし
には、もっともっとヴァリエーションがあって、土地土地でその物語を
しのんでいるものと思われます。ドロシーさんはまた別のお話をご存知
かも知れませんね。

>奈良・・・時間ができたら、奈良に行きたくなりましたか?
情けない思い出を払拭するためにも、そうです、ぜひ奈良に行って、三
月堂の中で母の胎内を体験してみてください。癒されます。
⇒この年こいて母の胎内ですか。こっ恥ずかしいようですが、それもい
いでしょうかね。

川柳――ダーリン妖怪にならないよう、気をつけます。耳なし芳一のよ
うに、何か魔除けを考えねば・・・。
⇒ですから、便乗句をつけてさしあげたじゃないですか。あれを魔除け
に書いて、からだじゅうくまなくベタベタと! 効果テキメンのはず。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【采女】
dorothyさん (2005年09月03日 07時24分)

がのさん【その1】

安積山

 「あさかやま」と読みます。「安積疎水」も「あさかそすい」です。

http://www.bashouan.com/ppAsakayama.htm

このサイトに、郡山市内にある、2箇所の采女伝説由来の地に
ついて、かなり詳しく記されています。
伝説は、私も2種類、聞いたことがあります。
陸奥では大変美人だ、と評判の娘が、雅な都に行くと
ただの田舎娘としてしか扱われず、望郷の思いと失恋の
痛手に猿沢の池に身を投げた、という話。
婚約者への思いを断ち切れずに、狂言自殺までして
やっとの思いで戻ってみると、愛する人は自分のために
自殺したあとだった、と言う話。

また、両方をミックスしたような話もあります。
つまり、夫ある身ながら都には行ったが、夫恋しさ
ではなく、一人ぼっちの寂しさに、身を投げた、とか
身投げした振りをして戻ってみたら、夫が死んでいた、
または、夫は他の人と結婚していて、自分には戻るところが
なくなった、など。

当地には、平泉まで逃げた義経を追ってきた静御前が、
訃報を聞いて、世を儚んで身を投げた、という伝説が
あり、実際に「静御前堂」なるものもあります。

がのさんの采女伝説を聞いて、少し探索してみたく
なりました。気候がよくなったら、行って見ますね。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【采女】
dorothyさん (2005年09月03日 07時25分)

がのさん 【その2】

奈良

⇒この年こいて母の胎内ですか。こっ恥ずかしいようですが、それもい
いでしょうかね。

三月堂の中を、そのように感じる人は少ないようですが、私は
行くたびに、仏様に対峙して座り、いつの間にかうつらうつら
します。わずかな時間ではありますが、気力・体力とも回復し
ます。ああ、奈良に行きたい。薬師寺、法隆寺、大和三山、
雷の丘、山之辺の道。思い出すとキリがないです。リタイアしたら、
3ヶ月ほど、奈良にいて、いろいろなところを見て歩きたいです。
リタイアしたら、パリにも3ヶ月ほど行って、ルーブル、オルセー、
オランジュリー、マルモッタン、ポンピドーセンターなど、
じっくり時間をかけて美術鑑賞もしたい。そのためには、老後への
貯蓄・・・。あ、かなり苦しい。宝くじに走るしかない。


川柳
⇒ですから、便乗句をつけてさしあげたじゃないですか。あれを魔除け
に書いて、からだじゅうくまなくベタベタと! 効果テキメンのはず。

あ、なるほど。だから、采女伝説の話(婚約者バージョン)の
ときにも、ダーリン妖怪がでなかったのか・・・。封じ込め作戦、
成功ですね。
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Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【采女】
がのさん (2005年09月03日 21時42分)

ドロシーさん

いろいろな面白い情報をありがとうございます。
ええ~!? 安積山(あさかやま)って、ふたつあるのですか?
山の井清水もふたつ!? どうなっているのでしょうか、こりゃ。
ご紹介くださったように、やはり諸説紛々のようですね。
まあ、説話というのはそういうものなのでしょうが、
地元では引っ張りっこで、たいへんなのでは…?
外野にあるわたしどもとしては、どっちでもよく、
自分の好みのイメージを拾い集めて受け止めればいい
ということなのでしょう。
そして、改めて能というもののプリミティブな姿を
見る思いがいたします。
入り組んだ煩雑な部分はそぎ落としてすっきりさせ、
極限的にシンプルにし様式化して見せるというスタイル。
表情の乏しいひとつの能面が、角度ひとつで、
あるときは悲しみを表わし、あるときは怒りを表わし…
といった具合いに。
さてさて、奈良の古刹での胎内体験も貴重ですが、どうやら
陸奥郡山の采女伝説探訪や、義経と静御前の古伝説めぐりも
なかなかロマンにあふれ、楽しそうじゃないですか。
あ~あ、行きたいところがいっぱい。おカネかあ~。
それを思うと、せつないの~。
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:★古歌にうたわれた妙ちきりんな花【采女】
dorothyさん (2005年09月05日 03時44分)

がのさん
>そして、改めて能というもののプリミティブな姿を
見る思いがいたします。
入り組んだ煩雑な部分はそぎ落としてすっきりさせ、
極限的にシンプルにし様式化して見せるというスタイル。
表情の乏しいひとつの能面が、角度ひとつで、
あるときは悲しみを表わし、あるときは怒りを表わし…
といった具合いに。

そうですね。ある芸能を鑑賞するときに、その表現に
対するルールを知っていると、また、随分楽しめると
思いました。歌舞伎にしてもバレエにしても、音や
手の動き、歌舞伎では隈取も、そこには「約束事」が
あり、それを知って見ていると、内容が非常にわかる
のです。能・狂言もそうなのだな、とこちらに伺って
知ることができました。余計なことをそぎ落として、
または逆に伝えたいことを膨らませて、作品として
完成し現在まで伝えられているのですね。

安積山、山ノ井など、こういった能の話を伺うまで
私自身、さほどに興味を持っておりませんでした。
うねめ伝説にしても、嫁いで来た当初は非常に興味が
ありましたのに、日々の生活の中で当たり前のように
「うねめ通り」「うねめ祭り」「ミスうねめ」など
口にするようになり、いつの間にかかの地に思いを
馳せることを忘れておりました。改めて、こういった
地を訪ねてみたいと思いました。

>あ~あ、行きたいところがいっぱい。おカネかあ~。
それを思うと、せつないの~。

若いころは、時間があれば、ないお金をかき集め節約してでも
「行きたい」と思うところに足を運びました。それだけの
時間と体力があったから。今は、特に現時点では、子供が
いる、ということだけでも、さまざまな制約があります。
ユースホステルには泊まれない、直角座席の夜行各駅停車列車は
移動手段として不可能、食事を抜いてでも、見たいところを
見てまわることなど出来ない、などなど。
子供が巣立ったら、どんな風にできるかはわからないけれど、
今度はのんびりと、色々なところを鑑賞してまわりたい、
それが夢です。

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