★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」 |
07月25日 (月) |
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小夜/去年亡くなったいなかのばばちゃま、このお盆にはほんとうに帰っていらっしゃったでしょうか。いつも小夜のこと、かわいがってくださったのに、「さようなら」も「ありがとう」もいっていませんでした。
がの/小夜ちゃんのお誕生日が7月14日。お盆でもありますよね。今年はお誕生日のお祝いをばばちゃまからいただけませんでしたけれど、なんだか深いつながりがありそう。小夜ちゃんは幼稚園の行事の都合もあって、いなかに行けませんでしたが、代わりにおとうさんがばばちゃまの大好きだったお花をいっぱい飾ってさしあげました。「小夜ちゃん、ありがとう」と、盆棚のお灯明のむこうでばばちゃまはニコニコなさって、喜んでお帰りになりました。
小夜/どこへお帰りになったのですか。
がの/そ、それは、……精霊たちの世界です。来年また来てくださると思います。
小夜/小夜がおとうさんにお願いしてお供えしたのはほおずきでした。お盆さまには赤い実のついたものをお供えするのが習わしなのだと、おかあさんがおっしゃっていました。
がの/ちょうちんのように、その赤い実が足元を照らしてくれ、お帰りの道を間違えないで行けるようにね。
小夜/おとうさん、ばばちゃまのおいでになった精霊の世界って、どこにあるのですか。そこで毎日なにをなさっていらっしゃるのですか。それに、子どものまま亡くなったら、白い貝になるというじゃありませんか。
がの/しみじみとこころに残るおはなしでしたね、松谷みよ子さんの「貝になった子ども」という作品。
小夜/短いおはなしなのに、いつまでもこころのなかに残り、すずのように鳴っています。
がの/哀しいけれど、とっても、とってもあたたかいおはなし。
小夜/ある夏、五つになる弥一という男の子が亡くなりました。
がの/弥一ちゃんが死んだなんて、おゆうさんはぜったいに信じません。信じたくなかったのです。
小夜/おゆうさんは、哀しさのあまり気がへんになってしまったのですね。
がの/近所のひとにいきあっても挨拶をしない、…ボーッとしていてまるでデクノボウのようになって…。
小夜/気質のとても明るい、ハキハキとものをいい、テキパキとものごとをするひとだったというのにね、弥一ちゃんが死ぬ以前までは。
がの/あれっ、弥一ちゃんは死んだとは書いてありませんよ。
小夜/そうでした。カゴに入れたトマトやナスを持ったまま、ふーっといなくなってしまったのでしたね。
がの/ある女の子が、川にそう街道を歩いていく弥一ちゃんを見たのを最後に、行方不明になってしまいました。
小夜/おゆうさんが釜の下でぺらぺら燃える火を見つめているとき、ふしぎな幻を見ました。
がの/青い光のなかを、あたまにカゴをかづいた3~4人の子どもが、白い街道をずんずん駆けていきます。
小夜/おゆうさんは、自分でもわからないまま、誘われるようにしてそのあとを追います。追っても追っても追いつけません。
がの/海を見下ろす高い崖のうえまできました。北の海は吸い込まれるような濃い青さをたたえていました。
小夜/そこに石のお地蔵さまがあったのですね。お地蔵さまのれんげ台のうえにはスズメの親子がいました。
がの/その3羽のスズメがふしぎなはなしをしていました。生まれて間もない、まだ何もしらない赤ちゃんや、こころがまっさらで汚れていない子は、死んだあとまた生まれてくるまでのあいだ、白い貝になって海の底にいる、というのね。
小夜/海の底の白い貝。そういえば、生命の始原は海の生物からとよくいわれますよね。小夜は弥一ちゃんと同じ5歳。こころもよごれていません。小夜も白い貝になるのでしょうか。
がの/よしてくださいよ、小夜ちゃんが死んで貝になったら、おかあさんはほんとうに気が狂ってしまいますよ。おとうさんだって。
小夜/おゆうさんは海を見ました。ゆらゆらしている海草の根もとにいくつかの白い貝がしずかに眠っているのを目にしました。
がの/おゆうさんは思わず「弥一!」と叫びました。すると、白い貝の一つがチカリと光ったといいます。
小夜/きっとそれが弥一ちゃんだったのですね。それにしても、生まれたばかりの赤ちゃん、けがれのない子どもって、神さまにも近い超能力を備えているのでしょうか。ほら、『ピーター・パンとウェンディ』を読みなおしたじゃないですか。ラボのおはなしには出てこない、たくさん、たくさんのおもしろいことがありましたね。
がの/あ、そのおはなしは、いつかまた別のときにしましょう。フックはただの乱暴なゴロツキではなく、もと貴族の出身で、高い教養を身につけていたとか…。
小夜/妖精が何から生まれるのか、小夜ははじめて知りました。この世に最初に生まれてきた赤ちゃんがはじめて笑ったとき、その笑いが千、二千のかけらに割れて、それがぴょんぴょん飛んでいく。それが妖精のはじまりですって。
がの/も~、小夜ちゃんのおしゃべりはキリがないんですから。そのおはなしはまたいつか、ね。
※理論社名作の愛蔵版『貝になった子ども』松谷みよ子=作、金井塚道栄=絵 1951年発表 第一回日本児童文学者協会新人賞受賞作 全国学校図書館協議会選定
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Re:★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」(07月25日)
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Play with meさん (2005年07月25日 16時41分)
小夜ちゃん
お久しぶりです。
テューターは夏はとても忙しくて、時間におわれてるんですよ。
やっと一学期のおさらい会も終わりました。
2月にみんな一生懸命パーティの30周年にがんばったので、今回はゆった
りと区切りの時を持ちました。
もうすぐ、大山キャンプ1班に参加するんですよ。
「貝になった子ども」は悲しいお話のようですね。でもまた読んでみま
すね。PWM叔母さんの弟も昔赤ちゃんで亡くなったので、きっと白い
貝になっていたのでしょうね。
いま、「私のアンネ=フランク」をよみはじめています。
走り回るいすに乗って喜んでいたゆう子ちゃんはもう13歳なんですよ。
お父さんはなくなったんだということもわかりました。
お母さん(蕗子)はルポライターなんですってね。
あの大好きな木陰で涼しい風を受けて、少し読み始めて帰ってきまし
た。
読んだら小夜ちゃんにもお話しますね。
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Re:Re:★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」(07月25日)
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がのさん (2005年07月25日 22時34分)
Play with meさん≪1≫
せんせい、その後、おからだのお加減はいかがですか。大山にキャン
プにお出かけになるご様子、楽しいことがいっぱい待っていることでし
ょう。うらやましいです。でも、ご無理をなさらないでくださいね。大
山といえば、志賀直哉の『暗夜行路』にゆかり深いところ。いつか小夜
も行ってみたいです。
小夜は、あさって27日から29日まで、尾瀬沼を中心に山の空気をいっ
ぱい吸ってきます。おとうさんと、いなかのおとうさんのお友だちがい
っしょです。去年尾瀬ケ原を歩いたときは、どうしてなのか、ニッコウ
キスゲがあまり見られなかったのだそうですが、今年はみごとな群生が
見られると、そのお友だちの方が云ってきておられるので、とても楽し
みです。(台風7号が来ている模様。どうなるか、ちょっと心配です)
「貝になった子ども」は、9篇の短篇童話でつくられたご本のうちの1
篇です。とても短いんですよ。5~6分で読めますので、せんせいがい
つものお気に入りのベンチでひと休みしながら読むのにぴったりです
よ。短いですが、透きとおった音で胸に鳴り響くものがあります。松谷
さんがはじめて書いた作品というに近いもので、坪田譲治せんせいにほ
めていただき、松谷さんが童話作家としてスタートするきっかけとなっ
た一篇のようです。いろいろなひとが批判したりケチをつけたりするか
もしれないが、そういうことは気にせず、こんな調子でどんどんお書き
なさい、というようなことばではげまされたとか。こんなおほめのひと
ことがその後にひとをつくるのですね。PWMせんせいといえば、おほ
めじょうず、お叱りじょうずで有名です。きっとりっぱな、すてきなひ
とたちが周囲にたくさん育っておいでのことでしょう。〔つづく〕
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Re:Re:★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」(07月25日)
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がのさん (2005年07月25日 22時37分)
Play with meさん≪2≫
“直樹とゆう子の物語”シリーズで、『私のアンネ=フランク』だけ、ま
だ読めておりません。いつも行く図書館で、行くたびに探すのですが、
ないんですね。でも、このあいだ、新聞の広告で文庫本になったと出て
いましたので、小夜のおこづかいで新刊本を買おうかな、と思っていま
す。ルポライターのおかあさんとアウシュビッツを訪ねるおはなしと
か。PWMせんせいのおはなしをたのしみにしています。
別なおはなしですが、この21日、おとうさんが主宰しているふれあい読
書会で『屋根裏部屋の秘密』について語りあったそうです。読んだあ
と、夜は眠れなかったというひとがいるなど、作品のもつインパクトの
強さはもちろんですが、中高年の方々がそれぞれにもつ戦争体験に話が
およぶと、もう際限がありません。いつもなら2時間半で終わるのです
が、この日は4時間以上にもなり、会場管理のおじさんに叱られて追い
出されるまでおはなしがつづいたとか。残念なのは、この日から夏休み
で、中学生たちの参加がなかったこと。中学生たちにしっかり読んでい
ただきたいおはなしなのに、ね。
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Re:Re:Re:★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」(07月25日)
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Play with meさん (2005年07月26日 06時23分)
がのさん
>Play with meさん≪1≫
せんせい、その後、おからだのお加減はいかがですか。大山にキャン
プにお出かけになるご様子、楽しいことがいっぱい待っていることでし
ょう。うらやましいです。でも、ご無理をなさらないでくださいね。大
山といえば、志賀直哉の『暗夜行路』にゆかり深いところ。いつか小夜
も行ってみたいです。
★ ありがとうございます。無理をしないことをモットーに生活してい
ます。志賀直哉二まつわるなにかっがあるのでしょうか?知りませんで
した。教えていただいてありがとうございます。
小夜は、あさって27日から29日まで、尾瀬沼を中心に山の空気をいっ
ぱい吸ってきます。おとうさんと、いなかのおとうさんのお友だちがい
っしょです。去年尾瀬ケ原を歩いたときは、どうしてなのか、ニッコウ
キスゲがあまり見られなかったのだそうですが、今年はみごとな群生が
見られると、そのお友だちの方が云ってきておられるので、とても楽し
みです。(台風7号が来ている模様。どうなるか、ちょっと心配です)
★尾瀬沼!なんといい響きでしょう!!一度生きたいところです。
小夜ちゃんの目で見た景色を教えてくださいね。
「貝になった子ども」は、9篇の短篇童話でつくられたご本のうちの1
篇です。とても短いんですよ。5~6分で読めますので、せんせいがい
つものお気に入りのベンチでひと休みしながら読むのにぴったりです
よ。短いですが、透きとおった音で胸に鳴り響くものがあります。松谷
さんがはじめて書いた作品というに近いもので、坪田譲治せんせいにほ
めていただき、松谷さんが童話作家としてスタートするきっかけとなっ
た一篇のようです。いろいろなひとが批判したりケチをつけたりするか
もしれないが、そういうことは気にせず、こんな調子でどんどんお書き
なさい、というようなことばではげまされたとか。こんなおほめのひと
ことがその後にひとをつくるのですね。
★是非静かなベンチで風に吹かれてよみましょう!!楽しみができまし
た。
PWMせんせいといえば、おほめじょうず、お叱りじょうずで有名で
す。
★そんな~~~。
恥ずかしいです。口下手なんですよ。
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Re:Re:Re:★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」(07月25日)
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Play with meさん (2005年07月26日 06時29分)
がのさん
>Play with meさん≪2≫
“直樹とゆう子の物語”シリーズで、『私のアンネ=フランク』だけ、ま
だ読めておりません。いつも行く図書館で、行くたびに探すのですが、
ないんですね。でも、このあいだ、新聞の広告で文庫本になったと出て
いましたので、小夜のおこづかいで新刊本を買おうかな、と思っていま
す。ルポライターのおかあさんとアウシュビッツを訪ねるおはなしと
か。PWMせんせいのおはなしをたのしみにしています。
別なおはなしですが、この21日、おとうさんが主宰しているふれあい読
書会で『屋根裏部屋の秘密』について語りあったそうです。読んだあ
と、夜は眠れなかったというひとがいるなど、作品のもつインパクトの
強さはもちろんですが、中高年の方々がそれぞれにもつ戦争体験に話が
およぶと、もう際限がありません。いつもなら2時間半で終わるのです
が、この日は4時間以上にもなり、会場管理のおじさんに叱られて追い
出されるまでおはなしがつづいたとか。残念なのは、この日から夏休み
で、中学生たちの参加がなかったこと。中学生たちにしっかり読んでい
ただきたいおはなしなのに、ね。
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加古川には「私のアンネ=フランク」はたくさん、あるのですが。「屋根
裏・・・」はありません。
この季節にきっちりと向き合いたい書物ですよね。
そして、若者には目をそむけないでほしいとおもいます。ね。
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Re:Re:Re:Re:★哀しい母性の見たものは…松谷みよ子「貝になった子ども」(07月25日)
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がのさん (2005年07月26日 15時08分)
Play with meさん
志賀直哉にまつわるなにかがあるのでしょうか? 知りませんでした。
教えていただいてありがとうございます。
★…いい機会ですので、大山と志賀直哉『暗夜行路』について、すこし
ご紹介いたしましょうか。…といっても、わたしの場合、書きだすとど
うしても長くなり、ここではすぐ字数オーバーになりますので、オモテ
の日記のほうに入れておきます。
大山キャンプへはいつのご出発ですか。間にあうといいのですが。どう
ぞ充実したキャンプを元気にお過ごしください。わたしも明日からでか
けてしまいます。
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