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★それでも、川はさらさら、さらさらと… 09月18日 ()
「川とノリオ」いぬいとみこ

小夜/詩のようにきれい。「早春。あったかいかあちゃんのはんてんの中で、ノリオは川のにおいをかいだ。……ほっぺたの上のなみだのあとに、川風がすうすうと冷たかった」
がの/「川っぷちのわかいヤナギには、銀いろの芽がもう大きかった」。抒情的な散文詩というか、歌のようというか。そう、そのまま童謡にして歌いたくなるような、やさしい、ひびきのいい文章ですね。
小夜/ノリオちゃんは赤ちゃん。おかあさんの背中におんぶしてもらっているんですね。おかあさんは川で洗いものをしています。いなかののどやかな風景です。

salvialeucantha

がの/でも、すぐつぎの場面に移りますよ。「ススキの穂が川っぷちの旗をふった。ふさふさゆれる三角旗を」。
小夜/ススキの穂といいますから、秋の深まったころ。
がの/これがどういうことか、小夜ちゃん、わかりますか。
小夜/川は秋になるとたくさん、たくさんのススキの穂でふちどられる、と。
がの/いいえ。ススキの銀色の波に見送られながら、おとうさんが出征していくんですよ。映画やテレビで見たことがあるでしょう、駅頭などでたくさんの人の「バンザーイ」「バンザーイ!」の声に見送られ、ちぎれるほど振られる旗のなか、兵隊さんが戦地へ赴いていくシーンを。
小夜/ノリオちゃんのおとうさんは「バンザーイ」の声ではなく、銀いろのススキの波のそよぎに送られて戦争に行ったのですね。うわ~っ、さびしい。
がの/おかあさんと、おかあさんにだっこされたノリオに見送られて。「ぬれたかあちゃんの黒目にうつって、赤トンボがすいすい飛んでいった」…。う~ん、さびしいねぇ。
小夜/そのあと、ノリオちゃんは2歳になります。つぎつぎにオイタをしますが、そのたびにおかあさんの手で小さなおしりをペンペンされます。
がの/川とすっかり仲良しになって、ノリオは一日じゅう川とあそびます。金色の光につつまれた、健康な、幼い神さまですね。無垢なこころですくすく育っていきます。
小夜/でも、川で無心にあそぶその幼い神さまの頭のうえ、青い空にB29が飛びかうようになります。そして、遠くでキラッと光るものをノリオちゃんは見ました。
がの/8月6日。その日、汽車で広島へ出かけたおかあさんは、暗くなっても帰ってきませんでした。
小夜/運がわるいんですねぇ、選りに選ってその日に行くなんて。じいちゃんが広島へ探しに行きますが、熱風に溶かされてしまったのか、なにひとつ跡を残さずに…。
がの/秋になります。川のふちのしげみで、昼間からコオロギがリリリリリ…、と鳴いています。「ススキがまた、銀いろの旗をふり、とうちゃんが戦地から帰ってきた」。ススキに見送られ、またススキに迎えられて、おとうさんは帰ってきました。
小夜/ウウーッ。小さな箱に入って。
がの/川は、その日も、さらさら、さらさら、いつもの歌をうたっていました。
小夜/15~16ページしかない短いおはなしですが、たくさんのことが語られているんですね。ノリオちゃんのいたいけなすがたと、描かれてはいませんが、そのまわりでおきているたいへんなこととの対比があまりにもあざやかなので、すごく印象に残ります。哀しいですけれど、その一方、まっ白なススキの穂につつまれて風をあびているようにさわやかな気分です。
がの/この本には、ほかにも8篇の作品が入っています。小夜ちゃんは、ほかにはどのおはなしがよかったですか。
小夜/そうですね、最後の「回転木馬と枯れ木の山と…」。これは東京大空襲がバックになっていますが、ほら、長谷川集平さんの、ピカソが描く絵のような挿し絵が、おはなしの幻想性とぴったりしていて、いいなあ、と思いました。
がの/なんだか、この作家は淡々と書いておられますが、どれもすごいおはなしです。「トビウオのぼうやは病気です」は、ビキニ環礁でおこなわれたアメリカの水爆実験(1954年3月1日)のことが背景になっています。元気なトビウオのぼうやは、白い粉の降ってくる海のうえをスイーッ、スイーッと飛んであそんでいますよ。もう、夢中です。でも、そのあと、マグロやフカ、そのほかいろいろなお魚が、毎日毎日、潮に乗って海面を流れていきます。そしてトビウオのぼうやは、サンゴの林のかげで病気で寝たままになります。
小夜/放射能を浴びたのですね。
がの/この実験がおこなわれたとき、死の灰を浴びたのはトビウオのぼうややお魚たちだけではありません。日本のマグロ漁船の船員さん23人も、お仕事をしながらその灰を受けてしまいました。久保山さんという人は半年後に亡くなっているんです。
小夜/戦争はもう終わったのに、そんな形でまだつづいているのですね。
がの/「キノコの町」も、愉快そうに書かれていますが、ほんとうはおそろしいことを暗示しているのですよ。水の底にすむ大ナマズや土の下深くにいるモグラたちはご機嫌ですが、地上には人間も鳥もケモノたちもいなくなって、それまで人間が暮らしていた世界はネズミ色のキノコだけがびっしり生えた町に変わってしまっているのですから。核戦争の恐怖です。
小夜/「休火山」というおはなしも、小夜は好きですよ。ほら、宮澤賢治の「ペンネンネンネンネネムの伝記」や「グスコーブドリの伝記」のような味わいがありますでしょ。火山のことが出てきたりしますし。短いおはなしながら、どれもとてもイメージの大きい、メッセージのはっきりしたおはなしですね。やさしい、詩のようなひびきあることばもすてきです。

※いぬいとみこ「川とノリオ」理論社名作の愛蔵版 絵=長谷川集平
higanbana03
Re:★それでも、川はさらさら、さらさらと…(09月18日)
Play with meさん (2005年09月19日 22時52分)

レウカンサスや彼岸花になりましたね。
我が家でも親友の忘れ形見のレウカンサスが同じ位に咲き始めていま
す。さすがにお彼岸が近づけば彼岸花、時を間違わず咲きますね。

ところで、いぬいとみこさんの作品が近くの図書館にどうしたわけか見
当たらず、「ひとすじの道」ある少女の日々・・・丸岡秀子さんの第1部
を読みました。
生まれてしばらくしてから母を無くし逼塞した庄屋の祖父母に育てられ
る少女恵子のおはなしなんです。
この作者の自伝のようです。
父は作り酒屋で裕福なのに引き取ってくれない寂しさ、苦しさの中に祖
母のあたたかさに育てられていきます。そして、貧乏の中にも強さを身
につけていく少女時代でした。

生い立ちで、親しみが持てたのは、1903年生まれ・・・私の父や義母と
おない年なんです。
父達の時代の生き方はこんなだったんだな~~~と地方の別はあっても
共感をえます。
女性問題、教育問題、平和問題等に尽力された方です。
3部まであります。彼女が次は女学校にはいるところから始まります。
楽しみにしています。
Re:Re:★それでも、川はさらさら、さらさらと…(09月18日)
がのさん (2005年09月20日 00時00分)

Play with meさん

>レウカンサスや彼岸花になりましたね。我が家でも親友の忘れ形見の
レウカンサスが同じ位に咲き始めています。さすがにお彼岸が近づけば
彼岸花、時を間違わず咲きますね。

⇒どこかさびしい花。サルスベリの花の咲く真夏からここまでは、レン
ズを向けたくなる花があまりないように思いますね。高山に登れば別な
のでしょうが。

>ところで、いぬいとみこさんの作品が近くの図書館にどうしたわけか見
当たらず、「ひとすじの道」ある少女の日々・・・丸岡秀子さんの第1部
を読みました。生まれてしばらくしてから母を亡くし逼塞した庄屋の祖
父母に育てられる少女恵子のおはなしなんです。この作者の自伝のよう
です。

⇒女権運動のほうでも力を発揮したひとですよね。わたしはよく存知ま
せんが、明治女の気骨ある生き方がしのばれます。
お薦めいただいているいぬいとみこさんの「くらやみの谷の小人たち」
はまだ手にはいらずにいます。「光の消えた日」も、家内に奪われてし
まったままです。山口県の瀬戸内海に面する町が作品の舞台になってい
て、家内はそこを第二の故郷にしてすごした時期があるものですから、
いろいろな思いをもって読んでいるようで、なかなか手離しません。仕
方なく、わたしと小夜は、同じ作家の「川とノリオ」や「北極のムーシ
カ、ミーシカ」を読んでいるような次第です。「川とノリオ」は、いぬ
いさんの初期の作品で、9篇の短い話で構成されています。いぬいさん
の原点がここにあるように思いますので、機会をみてぜひお読みいただ
きたく思います。とりわけ「川とノリオ」は、ことばがていねいでやさ
しく、詩のように美しく、子どもたちへの語り聞かせに格好の作品と思
います。

「くらやみの谷の…」でご紹介いただいた“赤い爪の子ガニ”をイメー
ジするとき、なるほどこういうところにも宮澤賢治の世界に親しんだ痕
跡をとどめている作家だな、と思います。賢治の「やまなし」のカニた
ちやクラムボンが想起されます。そういえば、ヤマナシ探索は、その後
どうなったのかな…?
Re:★それでも、川はさらさら、さらさらと…(09月18日)
サンサンさん (2005年10月02日 08時56分)

トップの写真が変わりましたね。

五色沼かな?

違うでしょうねぇ。

紅葉が綺麗な時期がやってきますね。
Re:Re:★それでも、川はさらさら、さらさらと…(09月18日)
がのさん (2005年10月02日 09時41分)

サンサンさん
>トップの写真が変わりましたね。五色沼かな? 紅葉が綺麗な時期が
やってきますね。
----------------------------
季節により、あまりレンズを向けたくなるような花がなかったりするこ
ともあって、このところ、写真のほうはすっかり横着をしております。
いまは秋の山が「おいで、おいで」しているのですが、なかなか…。
これは裏磐梯の五色沼ではありませんで、草津温泉の奥の奥、万座白根
の奥、志賀高原の一角、長野・群馬の県境の赤石山(2109m)の大沼池だそ
うです。「そうです」というのは、わたしの撮った写真ではなく、友人
の“足ヨレ氏”から提供されたもの。わたし自身はこの山のとなりの大
高山までニッコウキスゲの大群落を見に登ったことはありますが、赤石
山までは行っておりません。
それにしても、山の風景、水の風景は、こんなに小さくしてしまうとな
んの面白みもないですね。この沼の水、ほんとうに妖精に吸い込まれる
ような色なんですよ。サンサンさんには、あとでもう少し大きい画像の
ものを送ります。ほかにご希望の方がおいででしたら、裏メールのほう
でアドレスをお知らせください。
Re:Re:Re:★それでも、川はさらさら、さらさらと…(09月18日)
サンサンさん (2005年10月02日 12時59分)

がのさん
それにしても、山の風景、水の風景は、こんなに小さくしてしまうとな
んの面白みもないですね。この沼の水、ほんとうに妖精に吸い込まれる
ような色なんですよ。
→水の色、どうしてそういう不思議な色になるのでしょうねぇ。
 小さくなった写真から、大きな自然を想像する楽しみもありますね。
 大自然にはかないませんが、でも、わ~っと想像が広がる。
 がのさんの写真達はほんとに素敵です。
 私は、主に写真を見に来ているのかも知れません。
 写真を見せていただいてから、日記を読んで帰る。
 ごめんなさい。

サンサンさんには、あとでもう少し大きい画像のものを送ります。ほか
にご希望の方がおいででしたら、裏メールのほうでアドレスをお知らせ
ください。
→ありがとうございます。
 楽しみにしています。
 あの~、無料で良いのですか?
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