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今月のマザーグースMother Goose of the Month

2017年8月の紹介

Baa, baa, black sheep

Baa, baa, black sheep,
 Have you any wool?
Yes, sir, yes, sir,
 Three bags full;
One for the master,
 And one for the dame,
And one for the little boy
 Who lives down the lane.

めえ,めえ,ひつじさん,
 かりとった毛はありますか?
はい,ございます,
 たっぷり 三ふくろ。
ひとふくろ だんなさまに,
 ひとふくろ おくさまに,
もうひとふくろは 小路(こうじ)
 こぞうさんのぶん。


 数あるマザーグースのなかでも,よく親しまれている有名なライムのひとつです。リズムがよく,幼い子どももすぐに覚えることができるからでしょう。
 サンフランシスコには“THREE BAGS FULL”という名前のセーター専門店があります。有名なライムなので名前だけで「セーターを売っている」とわかるというわけですね。

 black sheepは100頭の中に1頭くらいしかいません。その毛は他の色に染めにくいので質としては低いものです。black sheepとしているのはblackとbaaの頭韻の効果があるためでしょう。
 羊毛を3袋に分けているのは,羊毛貿易の税金に対する風刺を表しているともいわれています。ライムのなかのOne for the masterのmasterは国王,And one for the dameのdameは貴族, And one for the little boyのboyは庶民を指し,「富の多くは庶民には届かない」と揶揄しているというのです。
 現在ではそんなことも考えずに,楽しく唱え続けられ,英語圏の生活のなかに息づいているマザーグースです。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。

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