2026年5月の紹介
THE TOWER OF BABEL
バベルの塔

2026年5月の紹介
THE TOWER OF BABEL
バベルの塔
Once upon a time there was a very tall tower.
むかし,とても高い塔がそびえていました。
This tower was called the Tower of Babel.
塔は,バベルの塔とよばれていました。
Now, you may be wondering how this tower came to be built in the first place
では,この塔はいったいどうやってつくられたのでしょうか。
and what happened to it in the end.
そして,どんなことがあったのでしょうか。
Well, in the beginning, all people spoke the same language.
はじめ,人間は,みなおなじことばをはなしていました。
They lived in peace and harmony with each other on the earth.
人間は大地の上で,あらそうことなく,なかよくくらし
They understood what was in each other's heart.
おたがいの心をわかりあうことができました。
But some among them imagined themselves living high above the ground.
しかし,あるものは大地を見おろしてくらすことを夢みました。
They wanted to be taller than other people, taller than anything in nature itself.
だれよりも,どんな山や木よりも,高みにたちたいとねがったのです。
They wanted a tower that reached to the heavens
これらの人びとは,天までとどく塔をたてようと望み,
and a city that surrounded it below.
その塔をとりまく町をつくろうとしました。
"We will build a tower that towers over all the land," they said.
「大地を,すべてみわたせる塔をつくるのだ」と,かれらはいいました。
"We will become so powerful,
「わたしたちは,力あふれるだろう。
that nothing from the outside will ever destroy us."
なにものも,この塔をこわすことなど,けっしてできないぞ」
And filled with pride and the love of greed, they set to work...
かれらは,鼻たかだかに,そして欲にかられてはたらきはじめました。
...to build a tower that could be seen and feared by all.
だれからも見あげられ,おそれられる塔をつくりはじめたのです。
「バベルの塔」についての旧約聖書の記述は非常に短く、絵本化されることも少ない物語ですが、ラボ・ライブラリーでは独自の視点と歴史的背景を盛り込んだ傑作となっています。
再話を担当したのは、作家のロジャー・パルバース氏ですが、人間の「信頼関係」が崩れ、互いの言葉が通じなくなっていく過程に焦点を当てました。
どんなに強くて強力な国や組織でも、お互いの信頼関係がないと、内側から崩壊してしまう。
だからこそ、人間は誰とでも「信頼関係(Trust)」で結ばれることが大切です。
「言葉が通じない相手とどう相互理解を築くか」という、現代の国際社会にも通じる切実なテーマを読者に投げかけます。
劇中には、塔の階層ごとに言葉が通じなくなる「各階語」という不思議な言葉が登場します。
子どもたちはこの絶妙な仕掛けを通じて、「言葉とは何か」「異文化理解とは何か」を肌で感じ、議論することができます。
実はこのバベルの塔にも、ノアのはこぶねと同じく実はモデルとなった実在の建物が存在した、と言われています。
神話学の権威・月本昭男先生によれば、紀元前3000年頃からメソポタミアの都市には「ジックラトゥ」と呼ばれる階段状の塔がありました。
特にバビロンの塔は一辺92メートル、高さ90メートルもあり、現代の20数階建てのビルに相当する超大建築物でした。
月本先生の解説によると、『バベルの塔』の物語は、紀元前500年代の初め、バビロン捕囚でメソポタミアに連れてこられたユダヤ人によってつくられたといわれています。
彼らは、そびえたつ巨大な塔に圧倒されながらも、「中央集権的な権力は、人々を統一するどころか、意志疎通を阻止するものではないか」と感じ、その思いを物語に託したのかもしれません。
ラボ・ライブラリーでは、このお話を、単なるおとぎ話ではなく、文化史的な事実をしっかりと踏まえて作られているスケールの大きな物語として伝えます。
大人の知的好奇心も刺激し、「子どもと一緒に歴史の謎解きを楽しみたい」と思わせる奥深さのあるストーリーとなっているのです。

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