2017年10月の紹介
WHERE THE WILD THINGS ARE
かいじゅうたちのいるところ

2017年10月の紹介
WHERE THE WILD THINGS ARE
かいじゅうたちのいるところ
The night Max wore his wolf suit and made mischief of one kind and another
ある ばん,マックスは おおかみの ぬいぐるみを きると,いたずらを はじめて おおあばれ…
his mother called him “WILD THING!”
おかあさんは おこった。「この かいじゅう!」
and Max said “I'LL EAT YOU UP!”
マックスも まけずに,「おまえを たべちゃうぞ!」
so he was sent to his bed without eating anything.
とうとう,マックスは ゆうごはんぬきで,しんしつに ほうりこまれた。
楽しく遊んでいたのに,自分の部屋に閉じ込められたマックス。けれども部屋はどんどん変わっていき,そして舟に乗って出かけて行き,たどり着いたところはかいじゅうたちの住む島。そこでマックスはかいじゅうたちの王様になるのでした。
抑えつけられた気持ちを自由に開放させていく子どもの様子が,さまざまな手法を用いて画面いっぱいに表現されています。マックスがかいじゅうたちと踊る場面は見開き3ページを使って描かれ,月の形もマックスの心を表すかのように満ち欠けが変化していきます。
「絵本の巨匠」と呼ばれる作者のモーリス・センダックは,この作品で1964年にコルデコット賞を受賞しています。「(この作品は)だれもかれもに喜んでもらうための本ではありません。子どもたちだけが喜んでくれればいいのです」と受賞スピーチのなかで語っています。子どもの心の中をストレートに見つめ,作品にした作家といえるでしょう。
思いっきり遊んで楽しかったけれど,ふとさびしくなって帰りたくなるマックス。帰ってみると温かい夕ご飯が置かれており,そこでマックスの冒険はぶじに終わるのでした。
この物語も「行きて帰りし物語」です。冒険は子どもにとって自分で乗り越えたといういわばひとつの成果といえるでしょう。その成果を得た後には,かならず元に戻って来るといった結末が必要です。そして戻ってくる場所は,自分を無条件に受け入れてくれる家庭であるということが心の充足を与え,さらには子どもの幸せに繋がるのです。

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