2018年7月の紹介
THE SIGN ON ROSIE'S DOOR
ロージーちゃんのひみつ

2018年7月の紹介
THE SIGN ON ROSIE'S DOOR
ロージーちゃんのひみつ
There was a sign on Rosie's door.
ロージーの うちの げんかんの とに ふだが かかっています。
It read, “If you want to know a secret, knock three times.”
《ひみつを おしえてほしい ひとは,この とを 三ど たたくこと》
Kathy knocked three times and Rosie opened the door.
トン トン トン! キャシーが 三ど たたくと,ロージーが とを あけました。
“Hello, Kathy.”
「いらっしゃい キャシー」
“Hello, Rosie. What's the secret?”
「こんにちは,ロージー。ひみつって なあに?」
“I'm not Rosie any more,” said Rosie. “That's the secret.”
「あたしね,もう ロージーじゃないの。ひみつって,そのことよ」
“Then who are you?” asked Kathy.
「じゃあ あなた だあれ?」
“I'm Alinda, the lovely lady singer.”
「アリンダって いう,すてきな かしゅよ」
歌手になりきったロージーは,仲間を家の裏庭に招いてショーを開きます。途中,消防士になりきったレニーがやってきてショーは中断してしまい,ロージーはなかなか歌が歌えません。仲間は火事ごっこのほうがおもしろそうだとレニーについて行ってしまいます。家で「なんにもすることがない」とつぶやくロージーに,「なにかやってごらんなさいよ」と答えてくれるお母さん。そんなお母さんに見守られながら,ロージーは次々に新しい遊びを繰り広げていきます。そして7月4日には,まほうつかい(じつはロージーがなりきったまほうつかい)の「みんなを花火にしてあげる」ということば通りに,仲間とともにアメリカ独立記念日の花火になりきってはじけるのでした。
作者のモーリス・センダックが実際に住んでいたニューヨークの下町のブルックリンで,近所に住んでいた女の子,ロージーを主人公に描いた絵本です。登場する子どもたちはじつに生き生きと描かれていますが,なかでもロージーはとびっきりで,仲間のリーダーとして日々の遊びを率いています。歌手になったり,行方不明になってみたり,みんなで魔法使いを待ってみたり,魔法使いになってみたりと,次から次へと遊びを展開させていくロージー。仲間の子どもたちはそれに振り回されながらも,ロージーの世界へと引き込まれていきます。
絵はまるで絵巻物のように連続的に描かれており,実際のブルックリンの町並みを描いたイラストの隅に登場するネコやトリにも,ストーリーを感じることができるでしょう。絵本の巨匠と呼ばれたセンダックは,想像から多くの物語をつくっていますが,この作品は唯一,彼が現実の子どもの日常を描いた作品です。そしてロージーといった女の子への大きな愛情を感じることができます。ニューヨークが本場のジャズが流れるこのライブラリーを,お楽しみください。

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