2021年6月の紹介
The Voyages Of Doctor Dolittle
ドゥリトル先生 海をゆく

2021年6月の紹介
The Voyages Of Doctor Dolittle
ドゥリトル先生 海をゆく
Polynesia
Don' t forget we've got to take lots of lemons and limes.
ポリネシア
レモンやライムは,なるべくどっさり持っていかなくちゃ。
Oh, and Tommy will need extra socks.
あ,それから,トミイはもっとくつ下がいるね。
Oh, and you mustn't forget…
それから,あれも忘れないで。
Doctor Dolittle, our captain, kept us very busy for those last few days in Puddleby!
パドルビイをたつまえの数日間というもの,わたしたちは,われらが船長ドゥリトル先生のさしずのもとに,それこそてんてこまいのいそがしさでした。
Our ship, The Curlew, had to be loaded with provisions before we could set out from England.
わたしたちの乗る「ダイシャクシギ号」がイギリスを出帆するまえに,食料だのなんだのわんさと積みこまねばならなかったからです。
We were a strange crew.
風変わりな乗組員もあればあったものです。
There was Polynesia the Parrot,
オウムのポリネシア,
Chee-Chee the Monkey,
サルのチーチー,
Jip the Dog,
イヌのジップ,
and me, Tommy Stubbins, though I was a lot younger then of course.
それに,まだほんの子どもだったわたし,トミイ・スタビンズというわけです。
博物学者のドゥリトル先生一行が航海に出たのは,行方不明になった偉大な学者であり,先生の友人でもあるロング・アローをクモザル島で探すためでした。航海の途中,立ちよった町で闘牛をやめさせたり、嵐にあったりしながらも、クモザル島にたどり着くと、動物や昆虫の手も借りてロング・アローを助け出します。その後,ドゥリトル先生は島の村人のいざこざを,オウムの援軍もあってぶじに収めました。すると先生は,村人から王様に選ばれてしまうのでした。
ドゥリトル先生はどんなハプニングが起こっても,あわてずに,どっしりとかまえています。まるで名前通りに「Do-little(なんにもしない)」かのようです。けれどもいったんなにかがあると,まわりの仲間や動物たちが先生を助けたり,応援したりしてくれるのでした。航海も先生の力だけで成しとげたのではなく,むしろ先生は仲間を信頼し,協力してさまざまな困難に打ち勝ちます。人間や動物にやさしく,差別をしないドゥリトル先生。どんな生き物も平等で,この世のなかには必要な存在。先生の言動の一つひとつには,そんな考えが感じられます。
この物語は,イギリス出身のヒュー・ロフティングによって書かれた「ドゥリトル先生」シリーズのひとつです。ロフティングは,第1次世界大戦の戦地から,自分の子どもたちに物語を書いた手紙を送っていました。戦場で見た動物たちのようすから,人間も動物も同じように扱われるべきだと思ったのが,この物語が生まれるきっかけになったのです。シリーズとして12巻が発刊されたこのシリーズは,1923年にアメリカの優れた児童文学作品に送られるニューベリー賞を受賞しています。

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