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マックスばんざい その2 07月06日 (火)
 センダックの『かいじゅうたちのいるところ』で書き出しの
The nightというところが、すでに天才的だということを昨日書いた。
 まあ、だから神宮先生も翻訳するとき苦労されたんだろうなあ。
 この場合のThe はたしかに「例の、その夜」なんだけど、まさか「その夜」とはできない。いきなりの指示代名詞では、いかにも日本語としては不自然なのだ。このへんが翻訳のむずかしさだよなあ。でも、Wild Thingsわらかいじゅうたちと訳したのはすんばらしい。そういえば、「メジャー・リーグ」というくだらない映画があったけど、すごいボールをなげる近視の投手役でチャーリー・シーンがでていたが、彼の役上のニックネームがWild Thingだった。
 さて、センダックの天才性はあの緻密な絵にもある。もちろん、すげえうまいのだが(彼の絵も一時はずいぶんと批判されことがある)、なにより驚くのは、その構成だ。絵本をひらくとすぐわかるのだが、冒頭の絵はずいぶんと小さい、まわりの余白のほうが大きいくらいだ。しかし、物語がすすむにつれて、余白の面積と絵の面積の関係は次第に逆転していく。つまり、絵の大きさは、マックスの想像世界の大きさと広がりに比例している。
 物語の新興につれて、その想像の面積はどんどん広がり、ついには「かいじゅうおどり」でクライマックスとなり、余白はまったくなくなる。これぞ、マックスのたたかいだぜ。それから、また絵はすこしずつ小さくなり、はらべこで子ども部屋に帰ってくる。それでマックスはすっきりしてご帰還。ちゃんとリハビリもかねている。
 なんかむずかしくなってきたが、むずかしくなりついでに書く。
 センダックは、とても気むずかしい人で合うこともなかなか困難だといわれる。故郷のニューヨークに家はあるが、ほとんどはコネティカットの小さな村でくらしている。センダックの作品はきわめて音楽的だ。それは彼自身も述べていることだ。「音楽はある意味、言語習得以前の言語。つまり乳児の喃語のようなものだ。かつてはわれわれも理解していたはずのね」
 音楽的な絵をかく画家はけして少なくないが、センダックの作品はまさに長調と短調にみごとに色わけされるような気がする。
 そしてセンダックの作品には、ある種の脅迫観念がモティーフとして流れていることも興味ぶかい。
 なんか、だんだん自分でもつまんなくなってきたので話題をかえる。
 子どもは寝るまえになんで、あんなに絵本ほよんでとかおはなしをきかせてというのだろう。これに太子、河合隼雄氏は「子どもにとって睡眠とは、死、あるいは死への逆行を予感させる不安な行為なのだ。だから、いちばん安心できる存在にそのきもちをまぎらわせてほしいのだ」という。
 そんなメカニズムをセンダックはとうぜん見抜いていたんだろう。
 てなことを意識して、ライブラリーづくりわするのはけっこうしんどい。でも、そういったことを考えて録音プランをたてなければ、こうした作品にとりくむ意味がない。深いところで勝負しなけりゃね。
 さて、最後に本を1冊紹介しよう。ちょっと高い(本体3500円)けれど。
『子どもの本の8人』――夜明け笛吹きたち ジョナサン・コット
 鈴木晶訳 晶文社
 ジョナサン・コットはアメリカの有名なロック雑誌「ローリング・ストーン」の創刊以来の編集長である。彼が、センダックや『長靴下のピッピ』のリンドグレーン,『メアリー・ポピンズ』のトラヴァース,さらにはナーサリー・ライムの大家、オーピー夫妻など8人の子どもの本のに関わる人びとにインタヴューしたのがこの本だ。コットはいわゆる児童文学者でもなく、児童心理学者でもなく、ましてや絵本評論家ではない。しかしは、たいへんな読書家であり、あらゆる美術、芸術、そしていつ学に造詣が深い。そしてすぐれた編集者としてのバランスのとれたセンスをもっている。そのコットがじつに、すばらしき子どもの本のつくり手たちの本質にせまる。
 いわゆる「子どもの専門家」にありがちな、「子どものために」的においがほとんどないために、じつにきもちよく読める。鈴木氏の訳もたいへんよい。おすすめである。
 原題は PIPERS AT THE GATES OF DAWAN 日本題の副題である。こっちのほうがよいのにね。ちなみに、サブの現題は
Wisdoms of Children's Litreture
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