永山裕子原画展終了 |
11月08日 (月) |
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おひさしぶりである。
なにやら、いいわけがましいが。
ご存じのように、ラボ教育センターは
この秋、いろいろなことがあったことと
もともと秋は、いつもの倍くらいスケジュールが
タイトなので(カレンダーやら写真コンテストやら、なにせ芸術の
秋じゃけん)、まったく日記を書き込む時間がなかったのねん。
さらにこの秋は、永山裕子さんのご存じ『ひとつしかない地球』
の原画展があったりして……。いやはやたのしくもあり。
永山さんの原画展については、ハニーさんやhitさんが克明にリポート
しているので、いまさらという感もあるが、いちおう仕掛けた側としては
書き込まねばならんち。
ともあれ、期間が1週間だけなのは残念だったが仕方がない。
ギャラリーももっと新宿に近い場所という選択もなくはなかったが
永山さんをラボに紹介してくれた、この日本橋のギャラリー
砂翁でぜひともしたかった。
義理をかいちゃいかんぜよ。
11/1から11/7までの会期中、訪れたのべ人数はおよそ220名!
これはけっこうすごいこと。
ラボ・テューター、永山さんのお弟子さんたち。そしてラボっ子ファミリィもきてくれている。ありがたや。
ぼくは、まず前々日に音響(歌を流すので)のセットに、そして前日に仕込みの応援にいった。このときは、なぜかサツマイモのタルトのホールを
さしいれとしてもっていった。個展の仕込みは普通夜中にやる。なせなら、その前の展覧会を夕方五時くらいまでやっているからだ。
雨の土曜日の夕方。もう暗い。到着すると、永山さんが絵をもってあちこち走りまわっている。配置を考えているのだ。結局、だいたい絵本の順番に展示することになった。ひと段落ついたところでタルトをきった。こういうときは、甘いものがいい。
11/1は牟岐先生も参加して、きどらないすてきなレセプションになった。白ワインと柿の葉寿司という異文化交流が大ウケである。
ひさしぶりのワインのせいか。永山さんとはじめて会った昨年のクリスマス前にタイムスリップした。
新版の歌の絵を描く人の選定にまよいまくっているころ。ある人を介してこの画廊のオーナーである横島さんを訪ねた。そのとき、彼女が「ひとり推薦したい新しい人がいるの」といって、ヨーロッパで評価されたという和紙のオブジェのカタログを見せてくれた。その作品は、今回のなかでいうと
「密陽アリラン」のふんいきに近いものだった。
そのころ、ぼくが求めていたのは、とにかく「説明的な歌のイラスト」ではなく、歌にまけないパワーあふれるイメージを全力で子どもたちにむかってだせる人。そして、まだどこにもないものをつくれる可能性がある人。という贅沢な注文(ラボのオーダーはいつも贅沢だけど)にこたえられる人だった。それには、ダイナマイトのような色づかい。それでいて細やか。
自由でぶっとんでいるけど、ゆるぎない造形のたしかさがある。そんな作風がほしかったのだ。
ぼくは、そのタカログを見た瞬間、「あっここにあった」と思わずいいそうになった。それで、ともあれ横島さんにいって、作者の永山さんに連絡をとってもらった。そして永山さんに青山のツインタワーでお会いしたのは、その四、五日あとだと思う。もう、街にクリスマスキャロルが流れるころだ。その日永山さんは、水彩画のレッスンをもたれていて、それが5時の終わるのでその後でということだった。はたして5時すこしすぎに永山さんは現れた。あざやかな花柄のワンピースに長い髪、うーん、これまでのラボ・ライブラリーの作家とはちがうタイプ。
きけば、そうとうに忙しそうだ。でも、「子どもたちは、いつも最高の作品をまってます、だからヒマな方にはぎゃくにお願いしません」。
そしてラボの絵本をどんとつみあげて、「こういうものをいっしょにつくりたいんです」
絵を志す人ならだれでもあこがれる描き手ばかりである。卑怯な作戦だが、これは有効だ。「わたしでいいんですか」「まだ、どこにもないものをつくりましょう。それからこの絵本は、プレゼントです」「ええーっ! いいんですか」(たいていの場合、かえしてといってもラボ・ライブラリーの絵本をはじめて見たアーティストは、すきなおもちゃを手にした子どものようにだきしめてはなさない)。
最終的には1週間ほど考えて返事をしていただくことになった。
帰り道、同行したウノババと「どうかな。スケジュールはべつとして、ラボ・ライブラリーの絵本をやってくださるかなあ」「うーん,どこにもないものをつくりましょう、というよびかけにはぐらっときた感じがありますよ」「そうかあ、とにかくお返事まちだ。長い1週間になりそうだぜ」
「クリスマスの気分が違いますからね」
青山通りにでると、もうすっかり夜。みょうにあか抜けたふりをした男女がいきかう。「けっ,こんなところにいると気分がわるい。とっとかえろうぜ」
永山さんから「ぜひ描きたい」というメールがきたのはその翌日たった。
それからはや1年。おかげさまで、歌も絵もたくさんの人がよろこんでくれているようだ。ぼくは11/3にも原画展におじゃまし、昨日の最終日にも打ち上げ用のケーキ(アントルメ・オ・マロン=ビスキュイに栗がはいておる)
をもって訪ねた。日曜ということもあってか、3時過ぎからクローズまでのわずかな時間にかなりのお客さんがこられた。家族でこられたラボ家族もいた。しっかり、絵本をもってきているのでも、永山さんにサインしていただいた。ラッキー!
結局、作品は永山さんが非売(自分の手もとにおきたい)ときめた2点をのぞいてすべて売れてしまった。hit氏がおちこむのも無理ない。
絵本の原画は見せない作家もいる。
「ぼくの絵は絵本というかたちになって成立するから。手品のタネはみせない」というスタンスだ。印刷という手段で多くの人が、それこそ世界じゅうで作品にふれることができる。それが作品ということ。
とはいえ、原画のもつ生の迫力にふれるのは、機会があれば幸せなことなのだ。 以上
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Re:永山裕子原画展終了(11月08日)
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りっぴぃさん (2004年11月08日 17時28分)
いつもお世話になっているのですが、書き込みは初めてで失礼しま
した。
わたしは結局いけなくて残念でした。ですが行かれた方の日記を通して
ほんの少しだけ、その場の風を感じることができたような気がします。
『ひとつしかない地球』の絵本を初めて手に取ったときは、
なんとも言えず嬉しくて、懐かしいぬいぐるみを手にとったかのように
ぎゅっと抱きしめてしまいました(*^^*)
この場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。
素敵な絵本を、ありがとうございました!
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Re:永山裕子原画展終了(11月08日)
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プリティ。^^。さん (2004年11月08日 20時38分)
ご苦労様でした。『ひとつしかない地球』気に入っています。^^ゞ
展覧会見に行けなかった分、このHPを見つけて良かったです。
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Re:永山裕子原画展終了(11月08日)
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ちこらんたんさん (2004年11月09日 16時11分)
こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。
今まで読み逃げしておりましたが、今日は書き込みます。
永山さんの原画展、行きたくても行けなかったので、
東京の人はいいなーと思いつつ、ひろば@内を徘徊?して、他のHPで様
子を見させていただきました。
こちらの日記では、SENCHOさんの永山さんとの出会い、新版の絵を描く
までのいきさつなどを知ることができ、とても興味深かったです。
それにしても、永山さんの原画はすばらしいようですね。
名古屋でも展覧会やってくださるといいのにと思ってしまいます。
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