紅葉する五色沼に土浦一高の悲しみをみた――カレンダー色校正 |
11月02日 (水) |
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えらく長い火曜サスペンスのようなタイトルになってしまったが
きがつけば1か月ぶりの書き込みなので、そのてれかくしでもあるのだ。
ラボでも世間でも自分の日記のかわりにプログに書き込んでいる人には
毎日の記入はどうということはないのだろうが、この広場の場合はけっこう確実に反応があるのでめったのことはかけないのだ。したがって、いろいろ煮詰まっているときなどはとても書きこみばできないなあ。
さても、このところは『寿限無』の制作資料集の編集と次期新刊ニコル作品の準備がみごとに重なって、元気良く煮詰まっている。豆粥あつい!
新刊についてはまだまだ書けることは少ないのだが(もうちょっと待ってくれ)、今回も映像記録をとってPVをつくるので「おーっ!」とか「わーっ」というような映像になるのでおたのしみに。
この季節はカレンダーやダイアリーなどの季節物の仕込みもあって
よけいたいへんなのだが、みなさんおまちかねのカレンダーの色再校正がでた。 一度、色校正をしたのだが、うまくでていない色があったので、結局全ページ出してもらった。ちなみにカレンダーのデザインはこの間、ラボ・ライブラリーの絵本の装丁もお願いしている坂川栄治さんだ。坂川さんは広尾の有栖川公園そばに事務所をかまえるグラフィックデザイナーだが、ぼくは日本では三本の指にはいる装丁名人だと思っている。山本容子さんの「アリス」がラボではさいしょの仕事。かつてSWITCH というやたらキレていてクールでスノッブで、かっこよくて難解でおしゃれで、時代をぶちぬいてた雑誌があったが(たいていは人物を特集する。図書館にはバックナンバーがあるので一度ごらんあれ)、そのアートディレクションを担当していたのが坂川氏である。坂川氏も激烈にいそがしい人だが、ラボ・ライブラリーの仕事はいつもおもしろがってやってくれる。『ノアのはこぶね』でもはじめは頭をかかえられたが、すばらしい装丁になった。今度の『寿限無』も見た
瞬間にうれしそうにされた。
有名な画家の絵だろうと、ラボっ子の絵だろうと作品は作品だ。坂川氏はあたりまえのこだが、子どもの絵に対してもぜんぜんわけへだてなく、真剣勝負でむきあってくれるだから印刷会社への注文もきびしい。最近はコンビューター威力でかなり精密な色も再現できるのだが、所詮印刷は4色のインクたけをつかい錯覚を利用しているので、原画の迫力にかなうはずがない。4色のインクというのはシアンまたはCとよばれる青(やや水色=シアンすなわち青酸の青 おそろし もちろんインクに毒はないけど なお、ラボ・マークの青はシアン100%)、マセンダまたはMとよばれる(赤 というよりピンクがかかった赤)そしてイエローまたはYとよばれる黄色、さらにKまたはBLとよばれる黒である。これらをまとめてよまCMYK(YMCAではない!)理論上はこの4色の配合でどんな色も印刷表現できる。一度、ルーペか虫めがねでカラーの印刷物をみてみるとよい。こまかい網状になった色の点で構成されているのがわかる。これを網点というのだが、印刷物の色は上記の4色のインクの網点の100分率できまる。たとえば広告につかうような(広告にはどこかに赤をつかうのがお約即)真っ赤をだそうとするとそれは、マゼンダ100バーだとピンクっぽいので、マゼンダ100にイエロー100をかけあわせる。こういうのを金赤(きんあか)というのだが、チラシの大売り出し!なんていう赤やカレンダーの祝日の赤などはたいていこの金赤である。しかし印刷でむずかしいのは中間色である。とくに蛍光がかったショッキングピンクやコバルトとエメラルドの中間、ターコイスブルーよりもっとつっこんだ青だけど、あまりにごらずにスコーンとぬけた色とか、まあ色というのはめんどくさい。そしてトータルにみれば緑系、その次には青系が印刷ではむずかしい。原画とまったくおなじというのは無理なので、どこでバランスをとるかということだ。以前にもかいたが、色校正はふつう1回、ラボ・ライブラリーでは以上にたくさん。ラボ・カレンダーでも2回はする。やっばりラボは異常かもしれません。
でも、カレンダーはどこの印刷所でも腕の見せ所なので、けっこうむきになってつきあってくれるのが楽しい。「えーつ,こんな中間色これ以上無理っすよ」「うるせー おめえの会社ならできると思って発注してるんだ。がたがたいわずにやれー」「でもー」(実際はこんなに暴力的ではない)てなわけである。
さてさて印刷されたカレンダーの絵をラボっ子の原画と見比べる。午前中の自然光のなかで見るのがよいのだよ。今の印刷は、マチエールというか素材感はとてもよく再現できる。消しゴムでけしたあとまででる。だから、子どもの絵のラフだけどパワーがあるタッチがそのまままにてできてきもちいい。ご承知のようにカレンダーの絵のサイズは原画よりやや小さい。じつはそのほうがアラがみえなくなり、絵もしまってぐっとよくなる。じつはプロの絵本作家もそうで、だいたい原画は絵本のサイズの1.5倍か1.5倍の大きさで書くことが多いのだ。
絵本もそうだが、カレンダーも色校正のときがいちばんたのしい。できあがってしまうともうその先の作業がないからだ。お嫁にだしたくない父親の気分か。いずれにせよ。来年のカレンダーもどこへだしてもはずかしくないぞ。各界の先生方からは「いつできるの」とか「ぼくには3つちょうだい」なんていう催促とか脅迫がきている。
かみや・しん先生がいった。「絵は心のエクササイズ。がーっとぶったおれるまで書くべし」
ところで今回の長いタイトルはなにかといえば、それき1988年、『プロメテウス』をつくったとき、当時の制作局の事務局員たちでいった秋の旅行のタイトルだ。うーん、なつかし。今年は紅葉みれるかな。
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Re:紅葉する五色沼に土浦一高の悲しみをみた――カレンダー色校正(11月02日)
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HITACHIさん (2005年11月02日 22時28分)
茨城在住のものとして、見逃せぬと思い訪ねましたが、土浦一高は何なのかわ
かりませんでした。少し知りたいです。
でもカレンダーもこのようにして作られるのだ、と知ったことは収穫でしたし
辞められたテューターが欲しがっているのも頷けました。
ウエンディの会でも案内して欲しいと仰っていました。あのカレンダーが一番
好きだと言って。勿論LABOに関係があった事も要因ですが、他の沢山のカレ
ンダーと比べても兎に角すばらしい!と。絵心のある方でしたから、まあいろ
いろと褒めていました。私が譲ることにしてあるほどです。
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Re:紅葉する五色沼に土浦一高の悲しみをみた――カレンダー色校正(11月02日)
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dorothyさん (2005年11月05日 06時57分)
なんだ、なんだ?事故か事件か?と飛んできましたが、
そうではないので、安堵しました。
なるほど・・・。カレンダーのことはわかった。
けれども、HITACHIさんと同じで、
土浦一高の悲しみの意味がわからない。知りたいです。
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