おすすめ音楽CDその5 ラボ・ライブラリーの夜 |
01月22日 (木) |
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SK8かいだんこぞう
ラボ・ライブラリーの夜
SK8は間宮先生が音楽担当。どのおはなしも骨太で、テーマも深くラボのロングセラーであることはご存じのとおり。『ポアンホワンけのくもたち』もきれいだけれど、今回はあえて『かいだんこぞう』。
そのサブタイトルになんで「ラボ・ライブラリー夜」かというと,
かつてフランス映画で「アメリカの夜」という映画がありまして,これはアメリカの暗黒街のはなしではなく,じつは映画好きのための,映画づくりの話。そのなかで夜のシーンの撮影をするときの技術からとったことば。
夜の場面の撮影でもライがあればとれるけれど,がんがんに照らせば昼間のよう絵になってしまう。恋人とわかれた女性が深夜の公園でひとり涙ぐむなんてシーンはこうこうと明るくては絵にならない。かといってまっくらではうつらない。
そこでキャメラ(こういったほうが映画っぽい)に濃い青色のフイルターをかけて撮影するというわけ。そのフイルターがアメリカ製が多かったということで,そうした人工的夜のことをアメリカの夜といったそうな。
じゃあ,ラボ・ライブラリーの夜はラボ・ライブラリーづくりのはなしかというと,そうでもない。ほんとうの夜のこと。
ここからは,できればプリントアウトして『かいだんこぞう』の音楽をききながら読んでほしいっス。
こんどこの物語をパーティで取り組むとき,またはラボっ子が家できいたきたよといったとき,ぜひこえきいてみてください。
「かいだんこぞうは,夜はなにしてるの」
さあ,子どもはなんとこたえますかね。
「夜の暗さをすって大きくなってる」「夜のなかにとけてる」「かぶと虫みたいにじっとしてる」など、たぶんいろいろでるでしょう。
そうした感覚,イメージをおだかいに十分に主張しあうと,どれもが正解であることにこどもたちはきづくはず。これはとてもたいせつなこと。なせなら、こどもたちは世の問題にはかならずこたえがあること,そしてそのこたえはいつもひとつとは限らないことを知るからです。そして,そうしたこたえは算術的な数学の公理のようにいつもきまっているという偏見をのりこえ,ちがいをこえてお互いをみとめあう経験となるはず。
では、それぞれ「大きくなる」「とけてる」とかいっていることがちがうのに,こどもたちは「みんな正解」と納得するのでしょう。
そのあたりがじつは『かいだんこぞう』が物語としてすんばらしい点です。すぐれた物語はしっかりした表現をうみだします。でも、それはまったくおなじという意味ではありません。音楽でいうと基音と倍音のような関係とでもいいましょうか、音色のちがいやオクターブのちがいはあっても,たぶんこどもたちの「夜のかいだんこぞう」のイメージは,どれもじつに調和しあうはすです。しっかりした表現を生み出す物語とは,そういうことだとぼくは思うっス。そういう物語をつくっていきたいっス。もうすこしむずかしくいうと、表現は言語で規定されるけと,その規定された表現の背景には
複数の論理があり,それがさっき書いた調和をもっているということです。
ほかにも、この物語のよさはいっぱいあります。おとなの背中を食べるかげぼうしが兄弟。とか,おじいちゃんとおとうさんが歩いていくときの夕陽とかじつにいいっス。
ひるがえって,夜というのは,こどもにとって太古からおそれとふしぎに満ちているわけで,それはそうした自分の感覚と他人の感覚の調和を実感するのによいテーマっつうことです。だいたい,物語の核は夜といってもいいかも。昔話はふつう夜に語られましたからね。だから昼間のかいだんこぞうは,なにかの都合で昼間にひょこっととびだした「夜」のかけらかも。
そうしてみるとラボ・ライブラリーのなかに夜をさがして音楽わきすていくのもおもしろいのだ。羅列するのでてきとうにきいてみよう。
・『ブレーメンの音楽隊』――どろぼうたちの宴会。陽気な夜だ。動物たちのつかれきった夜。
・『白雪姫』――結婚式の夜。この物語はまたの機会に。三色のことを書く のだ。
・『ヘンゼルとグレーテル』――森の夜。・チェアマン島の夜
などなどいっぱい。SK8の4つの話には全部夜がある。
・夜全開! 『耳なし芳一』『猫の王』
もうつかれたので,これでおわりだけど,さらにこだわるとすれば
・『てじなしとこねこ』――このはなしも,夜そのものじゃ。当時16歳のクロード岡本のきぶちきれた絵はきてるよなあ。完全にどっかいっちゃってる。つめたいプールで泳ぎすぎてチアノーゼだ。
・『ピーター・パン』――やっぱりこれかなあ。だいじな事件はほとんど夜におこってるぜ。それが,全編,目をとじたまぶたの裏でおこってる話だ。
ところで、たけちゃんのおやじはなさけないよなあ。ラボ・ライブラリーにでてくるおやじの話をかこうかな。でも、はっきしいって音楽もいいけど,絵のことをかきたいんだけど,数少ないコアな読者の方いかかでせう。
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Re:おすすめ音楽CDその5 ラボ・ライブラリーの夜(01月22日)
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スミティさん (2004年01月22日 23時38分)
なーるほど。
以前子どもたちとこのお話に取り組みました。子どもたちは大人が思う
以上にこのお話を身近に捉えて楽しんでいました。
このお話の季節って春から夏の終わりですよね。春の夜、梅雨の夜、夏
の夜、晩夏の夜・・・
においが、気配が・・・
きもだめしが・・・
絵のお話も聞きたいですよー
私が好きなライブラリィの絵
不死身 あの絵の力、うまさはすごい!!
西遊記も。アリス。
などなど。ふじみと西遊記は原画がいつか見たいなー
ここのところ「てぶくろ」の季節。この絵本は何度やっても、うまくで
きてるなー、子どもがひきつけられるなーと毎回感動。
思いつくままに書いてしまいました。
お暇なときにまたお願いします。
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