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『遍歴の作家 セルバンテス』 「ことばの宇宙」 2016 SPRING |
04月24日 (日) |
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テューターにも苦手なライブラリーがあるとすれば、私にとっては「ドン・キホーテ」がそれでした。
それが5月1日の山口地区テーマ活動発表会にこのお話を発表することになりあらためて聞いているうちに、私はこの物語がどんどん好きになっていきました。
物語の展開、語り、音楽、すべてに躍動感と重厚な厚みがあります。
高3のYちゃんが「このライブラリーは、イギリス英語ですよね。中高生広場でやった『ちいさな仕立屋さん』がイギリス英語だったから、私イギリス英語が聞きやすくて好きなんです。」
私 「そうね。でもどうして『ドン・キホーテ』がイギリス英語なんだろう?」
よく考えてみると、「ドン・キホーテ」が書かれたのは1600年頃。その時アメリカはまだ存在してなかった。だからアメリカ英語のはずはない・・・という事実に行きあたりました。それほど古いお話なんだ。
400年前。日本でいうなら戦国時代。
英語も古語がいっぱい出てきます。
“Look” ではなく “Behold 「見よ」 “Good bye”ではなく “Fare-thee-well”「さらばじゃ」) など。
日本語訳も古いことばです。「せっしゃ」 「貴殿」 「そなた」 「なにを笑止な」
こういう古い日本語にちゃんとした文学として出会うことができるのも、ラボ・ライブラリーの良いところです。
「ドン・キホーテ」につい調べているうちに、セルバンテスはシェークスピアと同じ年に没したと分かりました。
今年はシェークスピア没後400年で、6月にはラボ・ライブラリー 「ハムレット」が発刊されます。
子どもの頃父が 「人は大別すると、ドン・キホーテ型とハムレット型に分けられる。」と言ったのを思い出します。私は、「ドン・キホーテって、くよくよ気にせず、のんきに暮らしていく人なのかな。ハムレットよりドン・キホーテの方が楽そうでいいな。」 などと単純に思っていました。
大人になりいろんな経験を経るうちに、「くよくよ気にせず、のんきに暮らせる人などいない」という事が分かったのは、いうまでもありません。
「ことばの宇宙」2016 SPRING号 12Pより 『遍歴の作家 セルバンテス』
「ドン・キホーテ」の作家 ミゲル・セルバンテスは1547年貧しい外科医の息子として生れ、スペインのあちこちを転々としながら成長しました。のちに「遍歴は人を賢くする」と彼が述べたように、行く先々で塾のような所で知識を得、風習にふれることで豊かな感受性を身につけたといいます。兵士として戦いに参加したり、海賊におそわれ捕虜になったり、その後も3度も牢屋にいれられたり、波乱万丈の人生でした。
セルバンテスは自分が経験した人生の苦しさ、悲しさを、彼らしいユーモアと共に、失敗ばかりしている騎士ドン・キホーテで表現したのです。ドン・キホーテがサンチョに言う 「一方の扉が閉まればもう一方の扉が開く」の通り、セルバンテスの人生は何度も扉が閉ざされ、そのたびに新しい扉を開けて突き進んだのです。
このお話に取り組んで、子ども達はその子の年齢に応じて、ドン・キホーテの生きざまから何かを感じ取っていることでしょう。もし将来、苦境に陥った時、挫折感でうちのめされた時、ドン・キホーテのこのことばを思い出してくれたらと願っています。
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