|
 |
 |
 |
 |
[一覧] << 前の日記 |
次の日記 >>
|
歌のCDのつくり方 その7 |
05月18日 (火) |
|
絵本の画家きまったころ、ばたばたと録音のスケジュールもきまりだした。メインのスタジオは麻布台にあるサウンドシテイ。ロシア大使館のむかい(となりはアメリカンクラブ!)にあるナベプロのスタジオだ。老舗の名スタジオである。かつてラボ・ライブラリーの語りをよくここで録音したが、小さなひとり用のスタジオがなくなったので、最近はこぶさたであった。ただ、このスタジオは技術者もよく、機械もいつも最新のものが用意されている。今回も、われわれが希望した「プロトゥールス」というMAC用のハードティスク録音のソフトをもっているというのが大きな理由だった。
かつてラボ・ライブラリーの録音は10インチのオープンリールテープを38というスピード(これはかなり速い速度で、テープの消費量は多くなるが、精密な録音が可能)でまわしていた。したがって英語・日本語のセリフのテープだけでゆうに30本くらいになった(NGもすべてキープしてもちかえる)。この素材からOK選びをするのだが、これだけでたいへんな作業となる。スタジオで一応のOKテイクの目安はつけてはいるが、いざ編集用のスピーカーでじつくり聴くと、微妙なアクセントのずれやニュアンスのちがい、ききもらしていたノイズなどに気づき、結局すべてのテイクからさがすはめにもなる。極端なはなしでは、たとえば「はじめ,太陽はかがやいていました」というセリフの場合「はじめ」はテイク2、太陽以下はテイク5だけど、太陽というひとつのことばはテイク1なとというこまかい技まで登場する。これらの作業は当時はすべて手切りといってテープをはさみできって、またスプライシングとよばれる修理テープでつなぎあわせていた。職人芸。
したがって英日版などは、英語のあとに1行ずつ日本語わいれていくのだからたいへん。できたテープは、フランケンシュタインもまっさお。
しかも本来は英語も日本語もそれぞれの間で語っているのをばらばらにして組み立てなしているわれだから、ほんとにたいへん。ここまで300時間くらいはふつう。
さらにそれぞれのセリフとセリフの間の調整に100時間。また音のレベル調整に50時間。そんなふうにして、やっと尺、すなわち長さがきまる。これがきまらないと音楽はかけない。音楽の長さもきまらないからね。
主旋律がすぐでて、何秒くらいですこししずかになって、そこからナレイションといったこまかいプランはこの段階にならないとできない。
まあいい。ともあれいまはハードディスクに録音し、コンピューター上ですべて編集するのでかなり楽だ。といっても、勝負は人間の耳と感性。あくまで手づくりがラボ・ライブラリー。
今回の歌においては、コンピューター上で歌と数種類の楽器をすべて独立したチャンネルに録音した。しかも、通常ではあまりしないさらに手のかかる方法もつかった。それはなにか、そしてそのたいへんなことをやってのけたエンジニアの富さん(トミさんという男性=本名)の話とは。また次号!
|
|
|
<< 前の日記 |
次の日記 >>
|
|
|
|