幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
■■■ 運営事務局より ■■■
ひろば@LABOは,ラボ教育センターが展開する
「ラボ・パーティ」に関わる皆さんのコミュニティ・ネットワークです。
「ラボ・パーティ」については 公式サイト  をご覧ください。
ラボ公式HPTOP新着一覧そのほかランダム新規登録戻る 0407699
  
Home
Diary
Profile
BBS
Bookmarks
Schedule
メール
・メッセージを送る
・友達に教える
ページ一覧
Welcome!
[一覧] << 前の日記 | 次の日記 >>
歌のCDのつく方 その11 06月07日 (月)
 このシリーズもそろそろ最終回が近いかな。というのも、
GTS-1のリリースが目前となったからだ。まあ、あと2回くらいかしらん。
 これまでは、録音現場や制作現場の話をおもに音楽家や演奏家、はたまた
画家のことを中心的に書いてきた。こけらの人びとは、いわばSunny Side
陽のあたるポジションである。しかし、「ものづくり」には目立たないけれど、たいへん多くの人びとが関わっていることはいうまでもないッス。
 その人たちのことを、感謝と尊敬をこめて記しておくのだ。
◎録音エンジニアの富(トミ)さん
 彼のことは、たしか一度ふれたと記憶しているけれど、この機会にちゃんと書いておきたい。
 トミさんは、今回の録音および音の制作でスーパーマン的に活躍したエンジニアである。彼はもとは某公共放送(日本にはひとつしかないからわかるね)の録音技術者だったが、現在は独立してフリーの録音エンジニアとして活動している。クラッシック、ジャズ、ポップスなんでもこいのすばらしい耳のもちぬしだ。もちろん、楽譜も読みこなせなくてはこの仕事はできぬ。
 トミさんは牟岐先生のご指名でエンジニアとして、比較的はやい時期から制作に参加してくれた。ミキサーとも呼ばれるエンジニアは、スタジオづきの人にたのむ場合もあるが,たいていは作曲家が自分のお気に入りのエンジニアをもっている。文学でも作家だけでは本や雑誌はできない。原稿を整理する編集者やレイアウターが必要なように,音楽にもエンジニアがいてはじめてまとまった音になる。となれば、自分の作品や注文を確実に理解できる人に録音をたのみたくなるのは当然。
 エンジニアはスタジオ入りするのはいつも一番。マイクをはじめとする機材のセッティング、コンピューターやデータの点検とセットなどやることはやまほどある。もちろん,スタジオづきのアシスタントも一人~二人はつくが、エンジニアは飛行機でいえば機長みたいものなので、すべての箇所を自分の目と耳で点検する。
 このセッティングしだいで録音のよしあしは大きく左右されるが、もちろん本番での機械操作も重要だ。そして撤収も彼の仕事。したがって、変えるのは一番さいご。その火の録音が夜10時におわったとすると、エンジニアがスタジオをでるのは、はやくて午前零時。しかもトミさんの場合は念入りにやるので、とても時間がかかる。ある晩も夜9時に本番がおわつてプレイヤーがかえり、次回のうちあわせもおわって牟岐先生も帰り、ぼくと音楽事務所の人とトミさんの3人になつた。ぼくは、しばらく事務所の人とはなしていたが、トミさんに「しばらくかかるからお先にひきあげてください」と声をかけられた。じゃあ、いつものことでわるいけれど、あいさつしてひきあげようかと声のしたスタジオをのぞくと、トミさんがまだ一人でもくもくと機材の撤収している。あれっ、機材のかたづけはアシスタントの子もいっしょにするはずなのにと思っていると、トミさんは「いやあ、これはマイ・マイクなので、かれらにはさせられないんですよ」
 おそるべし、トミさんは万が一にそなえて自分がもっているマイクも用意していたのだ。
 さて、エンジニアが腕をみせるのは、録音本番もさることながら、本番後のトラックダウン、すなわちミキシングである。これはバラバラにとられた楽器や歌のバランスをとる作業であり、これこそがエンジニアのうでのみせどころなのだ。スピーカーからきこえてくる音はちょうどまんなかあたりに音像、すなわち音の絵を描きだす。エンジニアは、その音像の色合い、バランスをきめるアーティストだといえる。ピアノは左手前から、金管はまんなか奥とか、それぞれの楽器の位置(楽器が動くこともある)、そして音のつや、残響、歯切れなども調整する。また、歌もいわゆるカラオケのエコーによくある風呂場のような残響ではなく、緻密で高度な音の処理をする。
 エンジニアは、これらの作業を自分の耳と感性と人生を総道員して行なうのだ。しかも、そこに作曲家の注文がこまかくはいる。したがって、1曲のトラックダウンで数時間におよぶことはざらである。今回のラボの曲は32曲あるが、一日ではとても無理なので四日にわけてトラックダウンが行なわれた。いずれも10時からスタートして(音がかたになるのははやくて午後1時)
おわりはほとんど朝となった。スタジオの入り口には使用者の名前と開始ならびに終了予定時間が掲示されるが、トラックダウンの場合は21時~30時(午前6時という意味)なとという悲惨な表示もある。
 ともあれ、エンジニアはたいへん。牟岐先生によると、芸大にはエンジニアのコースはなかったが最近新設されたそうである。
 GTS-1のテキストの奥付の録音技術 富正三という文字をみたら、あたたかて拍手を!
 さて、ここまでかいたら時間ぎれ、次回は録音アシスタントと写譜屋さんのはなしなのだ。
 
 
<< 前の日記 | 次の日記 >>
Copyright(C)2002 Labo Teaching Information Center.All rights reserved.