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なぜ、直接ことばを教えてないのに、こんなに伸びるのだろう。 10月31日 (火)
なぜ、ことばを直接教えてないのに、こんなに伸びるんだろう?
ここのところ、数人の子について、嬉しいことにそんな感想をしばしば持ちます。

 10月半ばに10周年記念合宿をやりました。
これで、合同練習のかわりにしようとか、一気にセリフを覚えさせようとか
そんなことは何も考えず、とにかくみんなでTanukiワールドを感受性豊かに楽しめればいいなという思いと、グループを超えて仲良くなれるといいという思いでやった合宿です。

 成長する子が続出。
子どもって成長するには、前段階があり、ひとつ以上の要素がからみあっているとつくづく思います。
 まず、Y君。くろひめは、ちょっと抵抗があっていかなかったのを、夏休み後半の地区合宿に誘い参加、そして、今回のパーティ合宿。地区のときは、次に何をするのか、何時に帰るのかなど、すごく気にしていて、まだ安心して自分を出せるまでにはなっていないんだなと思っていましたが、帰ってきてから、たぬきのお話は、合宿で大学生から小学生までで、わかりやすく時間をかけて楽しんだので、親しめた様子。
 10月にはパーティ合宿に参加して、ここではすっかり自分を解放して、すごく楽しそうでした。
そして、パーティ。
なんと、どんどん、自分の思いを伝えられるようになっていました。
「ハンターは、こっち向きで打ったらお客さんに鉄砲の弾が届くような感じがして、ドキドキしていいんじゃない?」とか、お話の細部にいたるまで自分でイメージができていて、伝えることが出来ます。そして、3話と4話のフラッシュの音のキラキラ感が違うと、よくよく聞いていて伝えてくれます。
 そのうえ、「僕、ミスターパーカーもやる。みんなに伝えといてね。」といって立候補し、CDの後に続いて、セリフもとても上手にいえるのです。夜ねるときに聞いているとのことで、頭の中にCDの音が響いているのがよくわかりました。
 つっかえても、「今、耳の中には音が聞こえてるんだよね。」というと、嬉しそうに、うなづいていました。
 放っておいても、CDを聞くだけでお話好きになり、ライブラリーの英語をぺらぺらと真似し始める?!いえいえ、そんな個人学習のようなことでは、なかなか「こころ」が動かないので、そうならない。
 大きい子や仲間で、その話を楽しんでいる子から、お話を楽しむエッセンスを伝授されて、自分のなかのお話を楽しむスイッチも入っていく。
 すると、わくわくして聞いたものを、表現するのが楽しくなり、セリフのシャドーイングだって練習しなくても自然とできるようになる。
 彼の場合、今回、そんな流れが出来ていました。
これって、決して、聞き取りレッスンなどを早々とやって、ことばを教えたわけではありませんし、リピートアフターミーでもないのです。

 他にも、「ナレーション、覚えてきた。」と、今までおうちで覚えるという作業はあまりしなかったHちゃん。ちょっと前は、「ダルシンやりたい!」という、もちろん嬉しい声が聞こえていて、きょうは、「たぬきやりたい!」にかわっていました。
 子供達の中で、「たぬきやりたい。」という気持ちの根底にあるのは何のなのか。
 子どもにとっての楽しさと充実感。それが、たぬきを動くという過程のなかに、つまっているのが良くわかります。

 5年のKくん。2年連続くろひめ参加せず。だったのに、今年は、くろひめで勢いがつき、地区合宿、パーティ合宿と、次々参加。
そして、二番手リーダーとしての位置を獲得。小さい子にも慕われて、いい感じ。
 すると、合宿後のたぬきのテーマ活動での表現力が、うわぁ~。Kくんが、こんなにジェスチャーしていると嬉しく驚きました。セリフを言う声にもちからが入っていました。

 いずれの子にも、私は直接、ことばの指導など何もしていないのに、
表現力とことばがいきいきと出始めているというのは、
子どもがことばを覚える過程というのが、紙やテキスト、CDやビデオ、または、教師との一対一対応のなかででてくるものではないということを、物語っています。

 どれだけの人が、「子どもが生き生きとことばを話し始める瞬間」に立ち会えているのかなと思うと、この仕事をしていて良かったなとおもいます。

 年齢や立場を越えて人とつながること、一緒に何かをして楽しめること、それが実現できている場は、なんともいえない幸福感と充実感に満ち溢れる。
 人間のなかに、その幸福と充実感を求める気持ちがあるから、英語も学びたいと思うのかもしれません。

 
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