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ムルガーのはるかな旅 06月15日 (火)
 ラボのことで頭をいっぱいにしすぎると、逆に、子ども達のこころのありようから、遠ざかってしまうこともあるので、ここのところラボ関係の行事もありましたが、きょうは、本のことを。

 「ムルガーのはるかな旅」ウォルター・デ・ラ・メア作 脇明子訳を
読みました。トールキンの「ホビットの冒険」が世に出るまでは、これにまさるファンタジーはなかったといわれる作品です。

 猿のノッドが主人公で、不思議な響きのデ・ラ・メアの造語が、
たくさん出てきて、ほお、ほおと読みすすむうち、
自分の中にある何かに触れて、眠たかったこころの奥の目がぱっちりと
開くような物語。

 A was an apple-pieのナーサリーも出てきます。
そして、そこがとても印象的。
 デ・ラ・メアは、大人になると多くの人が
失ってしまう、「こどものものの感じ方」を忘れていない人。
 (確か、センダックについての本を読んだときにも、そういう解説が。)

 A was が出てくるのは、主人公ノッドが窮地に陥ったとき。
誰にも言えず、苦しんでいて、浅いまどろみ、魔法のようなまどろみに
おちたとき、このNRが夢にでてきて、解決方法を教えてくれるのです。
 
 何かの目的にむかってすごく一生懸命になっているとき、そして
 それがそんなにスムーズには進まなくて苦しいとき、
 苦しい中でも、一歩でも進まなければならないとき、
そんな思いをしているときに、見た夢や、ふと頭のなかをよぎったこと、
出会った本や人の言葉が、苦しい状況から抜け出るヒントを与えてくれる、
私自身、そんな経験をしている…。
 でも、それは幼稚な思い込みと思われそうで、人にもいわずにいたのですが、「これ!こんな経験私もしてる!」とデ・ラ・メアにむかって、話かけてしまいました。

 余裕のある自分であるときには、決して出てきてくれない解決方法
新しい発想、あらたな自分、そんなものが、がんばりつつすごく
追い詰められると出てきてくれる、
 今までの自分のままでなく、そうはいっても、決して我をわすれて、
自分を見失ってという状態でもなく、ぎりぎり自分を保ちつつ、
でも、とことん壁際までおいつめられて、どこかへ進まなければ
ならないとき、今まで生かされずに壁の外においてあった自分のなかの
エネルギーに、ふと手が届く。

 国際交流をひとりだちへの旅といい、子供達が成長するというのは、そうやって今の自分の壁際まで歩いていって、新たなるエネルギーを手につかむことができる環境にいく旅だからなのでしょう。
 以前、国際交流にいってもいかなくても10年たてば同じといった人が
いました。経験の記憶は薄れていくかもしれません。
 でも、その新たなるエネルギーは、壁際まで歩いていってこそ得られるもの。
 若いときに、「自分だけが持っている、自分だけのオリジナルな
生き方の使命、エネルギー」に、ぐっと手を伸ばせたら、その時
つかんだものは、一生もので、10年たっても、同じどころか、ますます
それを使って、自分をひろげることができるものだと思います。
 
 1910年に書かれた、この物語は、私にそのことをはっきりと教えてくれました。

 ラボから離れようと思って、書いても、なぜか最後は、ラボにつながってしまう・・・・。
 
Re:ムルガーのはるかな旅(06月15日)
ハニーさん (2004年06月16日 17時35分)

お久しぶりです。この本は存じませんでした。でもつばめ号さんがそうおっし
ゃるなら読んでみようかという気になりました。
まどろんでいる時間になにかひらめくということはわたしもありますよ。
意識と無意識のちょうどまんなかいるときって、無意識の世界の情報が顕在化
しやすいのかもしれませんね。

面白かったです。ありがとう。
無意識の世界の情報の顕在化
ツバメ号さん (2004年06月20日 23時08分)

ハニーさんへ

 またまた、的を得た表現をありがとうございます。「無意識の世界の顕在
化」といえば、大人に伝わりやすいですね。
 明日は、一日広場、新刊ライブラリーに触れることができるので楽しみで
す。(ハニーさんも、関わっていらっしゃいますよね。)
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