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《 追悼：C.W.ニコルさん 》
私はニコルさんと個人的なつながりがあったという訳ではありませんが、テューターに
なったのと同時期に『たぬき』が発刊されました。
半年ぐらいして『ワフ家』、そして翌年『ゴロヒゲ』という具合にどんどん発刊されたので、必死に聴いて、感じて、読みくだいてラボっ子に知ったかぶりをして説明していました。
ニコルさんの英語に最初からひたっていたのです。
考えてみれば、ニコルさんは当時３０歳くらいだったんですね。
それまでにニコルさんは、北極探検に参加し、カナダの政府技官としても北極へ赴くなど、３度の北極旅行のあと初来日したと聞きます。
そしてエチオピア国立公園の建築にたずさわった後、３０歳で再来日となり、この時ラボと出逢い上記のようなライブラリー制作に関わります。
私は『たぬき』が大好きで、１回目にこのテーマ活動に取り組んだ時の事を１９７３年８月号の「ことばの宇宙」巻頭ページに取り上げられました。「伸樹君 女王様になる」という誌面タイトルでした。
２回目は東日本大震災の年、テーマ活動大会に英語のみの『たぬき』をエントリーしてました。もちろん、中止でしたが。
ちなみにパーティの大学生たち、初代の４名は『ゴロヒゲ』で送り出しました。
ニコル作品とは縁が深いのです。ニコルさんの探検の経験や、平明で詩情豊かな文体。
しかも自然と動物への深い愛情と、それを破壊する者への怒りという強いメッセージがユーモアとともに伝わってくるのです。
後に環境問題にも強い関心をよせています。黒姫に住み、日本の荒れた森を憂い、私財を投じて「アファンの森（風の通る谷）」と命名し、自然保護活動にも、そして作家活動にも力を入れていました。
イギリスのウェールズは産業革命の時代に自然を破壊し、「わが谷は緑なりき」という映画でもわかる通り、緑の谷間がボタ山に覆われ、古き良き伝統も廃れ…、という処で育ったニコルさんは、最初に黒姫のブナの原生林を見た時、感動したそうです。
しかし時の流れの中で、そのブナの森を大切に思わなくなった日本人に失望し、「アファンの森」財団を作られたのです。
実は今年、パーティ５０周年ラボランド合宿を８月下旬に予定していて、ニコルさんに講師をお願いしていました。
５０周年の後半のテーマ活動は『国生み』と、決めていました。
こころよく講演を引き受けていただいた矢先の訃報でした。
４月５日の「天声人語」には、『 病弱だったが祖母から「強くなりたいなら、木にお願いしてごらん」と言われ森に通った 』とあります。ラボライブラリーのみならず、「勇魚」とか「魂のレッスン」とか、ニコルさんには日本に注ぐ深く熱いまなざしを感じます。
そして、ラボとのご縁があったからこそ、こんなにすごい方を身近に感じたのだと思います。
年齢から言うと、私はニコルさんの２歳年下。同世代です。
ラボテューター５０周年の中で、今年はニコルさんの死、コロナショックと今までに感じたことのない不条理と寂しさを感じています。
２０２０年４月１０日 鍋島陽子
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ことばの宇宙 安藤君
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