番外☆「冷たい日本の英語教育」ニュース番組より |
10月26日 (木) |
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夜のニュース番組のワンコーナーで
「冷たい日本の英語教育」というのをやっていました。
兵庫県立大の元教授で末延岑生さんという方を取り上げていました。
英語教育というくくりをなくしてもすごくいいお話だったので
ちょっとご紹介しておきたいと思います。
末延さんは昨年、大学を定年退職されて
今は自宅でこどもに英語を教えていらっしゃいます。
末延さんが教えるときに心がけているのは
●とにかくほめること
●まちがいを直さないこと
なんだそうです。それは彼自身の体験から生まれたことでした。
小学校5年生のときにはすでに英語教師になるという夢を持っていた
のですが、中学校のテストで全ての回答にピリオド(.)をつけ忘れ
そのテストは0点になってしまいました。
「しゃべるのにピリオドはいらん。」という抗議に先生は
「ピリオドが大事。末延くんはトイレの後お尻拭かへんの?」と
みんなの前で言われました。
末延少年はやる気を失ってしまったんだそうです。
末延先生の授業の中でこどもが英語をしゃべったら
先生は "Thank you for speaking English!"とおっしゃいます。
こどもたちは「どうしてありがとうと言うん?」
と不思議な顔をします。
「それはうれしいからだよ。みんなに英語をしゃべってもらうのが
先生の仕事だからね。」
そうすることで、こどもはまたしゃべろうと頑張るし
今回頑張れなかった子も次は頑張ってみようかという気になる。
先生は県立大を訪れ、学生達に気さくに声をかけてまわります。
1回生の学生に「自分の英語は下手と思う?」「どうして?」と
問うと「通じないから」と答えます。
先生は「大阪のおばちゃん」のエピソードを語りました。
アメリカで大阪のおばちゃんが「コーヒーちょうだい」と
注文したが通じない。
店員が "Coffee?" と聞くと
おばちゃん「ちがう、コーヒーいうてんの!」
するとちゃーんとコーヒーが出てきた、というお話^^
先生は「エラーオロジー(Errorologyだったかな?)」という
「まちがい学」を研究されています。
たとえば、道端ののぼりに『忘れないで、シトトベルト』
とか、チラシに『ポテチチップス』と間違って表記されていること
があります。
誰が見ても「シートベルト」「ポテト」と書きたかったんだなと
推測できます。受け手が伝えたいことを受け取って
理解してくれようとするのです。
誰にでも間違うことはあるのだから。
英語でも同じこと。
"He goed to"と言ってもいい。
誰かが "He went to" だよと直してくれる。
直してもらえるところがあるということは間違いではないのだ。
「今の日本の英語教育は冷たい。」
と先生は言います。
文法は例えて言うなら骨格、ガイ骨なんです。
発音はアクセサリーのようなもの。
今の日本の英語教育は、ガイ骨がアクセサリーつけて
ガランガランいうて歩いているような冷たい英語なんです。
先生は「あーそうか文法」でいいんだと言われます。
あとで「あーそうか、そういうことやったんか。」とわかれば
それで十分なんだと。
先生の大学の授業は何でも英語で発表させていたそうです。
間違ってもいい。どんなささいなことでもいい。
先生の授業を受けた学生達は
「単語1つでも通じることがある、ということを知れた。」
「主語や動詞などがきちんとした順序で並んでいなくても
伝わるという事がわかってよかった。」
と笑顔で、そして自信たっぷりに話していたのがとても印象的でした。
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今の日本で行われている英語教育は
「外見上、正確な英語」を求めすぎているようです。
伝える楽しさ、伝わる喜び。
ことばとしていちばん大切なところは欠けてしまっています。
英語教育だけに限ったことではありません。
日本の社会全体がそんな感じになってしまっていませんか。
「勝ち組・負け組」なんていうことを平気で言える世の中、
寂しすぎませんか。
間違ったっていい、にんげんですからね。
ひとりひとりが間違いも受け入れられるような
ゆとりのある世の中になるといいですよね。
わたしも自分自身を見つめなおすのはもちろん、
ラボ活動を通してそういうことを発信していけたらいいなと思います。
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Re:番外☆「冷たい日本の英語教育」ニュース番組より(10月26日)
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十の風さん (2006年11月01日 01時22分)
すごくいいレポートですね。
骸骨がアクセサリーつけて、とか例えがわかりやすくて面白いですね。
アクセサリーは綺麗でなくてはいけないし、骸骨はその順番やつながり
具合が間違っていたら大変ですよね。丸見えなんだもの。
文法も大事。だけどコミュニケーションは、血の流れや肉の温かみで話
しているんじゃないかな?
大体、ネイティブと言われている人たちの文法も怪しいし発音だってい
ろんな国出身でまちまち。
oftenだって、オフテンという人たちもたくさんいるんです。
・・・やっぱり今何かと世間を騒がせている受験の弊害ですかね?
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Re:番外☆「冷たい日本の英語教育」ニュース番組より(10月26日)
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みかん(でこぽん)さん (2006年11月01日 08時15分)
「”冷たい”日本の英語教育」というタイトルが、インパクトありま
す。何度か、読み返してしまいました。
学校で教えたことがある人は、きっと、同じことを思っているでしょう
ね。中学の最初の試験では、「ここも気をつけて!」と言う意味を込め
て、ピリオドやコンマ、大文字、小文字・・・厳しく点を付けます。で
も、0点はひどいな~。抗議できた、当時中学生の、この先生がすごい
なと、思います。その信念が、大学での教育、今されている自宅での教
育に生かされているのでしょうね。
大学を選ばれて正解だったと思います。中学、高校では、進学試験のた
めに、うるさく言わなければならないことも多いですから・・・。
”伝える楽しさ、伝わる喜び。
ことばとしていちばん大切なところ”は、ラボで着実に育っています
ね。学校の英語が苦手なラボっ子も、ALTの先生と一番話すといいま
すし、外国の方とも、自然に構えることなく交流することが出来ます。
レポートありがとうございました。
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Re:Re:番外☆「冷たい日本の英語教育」ニュース番組より(10月26日)
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おみやさん (2006年11月01日 20時12分)
十の風さん
はじめまして、コメントありがとうございました。
だいたいわたしたちも日本語のネイティブですが
正しい日本語を使っているかと言うと・・・???
むかし、日本語を勉強しているアメリカ人の学生に
「『わたしは先生です』と『わたしが先生です』
の違いは?」と聞かれて答えられず、恥ずかしい思いを
したことがあります。
日本語ネイティブのわたしたちでも
思いをきちんと伝えられないことや
伝え方を間違ってしまうことがいっぱいありますもんね。
相手の気持ちを思いやって語りかけるとか、
相手も自分も、心地よく楽しい会話を心がけるとか、
自分が言われたくないようなことは人に言わないとか・・・
勉強勉強、テストテスト、受験受験・・・
そんなことに振り回されている子供たちが可哀想でなりません。
そういう環境からいじめなんかもでてくるのではないでしょうか。
もっとのびのびとこどもらしさを伸ばせるような
教育の場がたくさんあるといいですね。
(ラボのような^^)
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Re:Re:番外☆「冷たい日本の英語教育」ニュース番組より(10月26日)
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おみやさん (2006年11月01日 20時23分)
みかんさん
こんにちは、みかんさん。
わたしもすごくいいお話だったので忘れたくなくって
見終わってからすぐメモを取りました。
一人でも多くの方に見ていただけたらなぁと思って
ココにも載せました。
なので、こうやって反応を頂くととってもうれしいです^^
>”伝える楽しさ、伝わる喜び。
>ことばとしていちばん大切なところ”は、
>ラボで着実に育っていますね。
>学校の英語が苦手なラボっ子も、
>ALTの先生と一番話すといいますし、
>外国の方とも、自然に構えることなく
>交流することが出来ます。
ラボっ子のそういうところが素晴らしいです。
わたしもラボで育ちたかったなぁ。
英語のテストは良かったけれど、外国の人と出会ってしまったら
なるべく目が合わないようにしていましたから^^;
自分の英語が下手なのを知られたくなかったんですね。
いまでこそ、そんなことは2の次だってわかるんですが。
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