次男を連れ、福岡に帰省してきた。私の実家は、20年も前、バスも廃止になったくらいすごい田舎にある。
春の風景もかわらず、菜の花のじゅうたんが どこまでも続き、たおやかな筑後川の流れが あった。 次男は、つくし摘みに興じた。
腰の曲がった母が 待っていた。 法要の席で 親戚に丁重な挨拶をする年の離れた弟がいた。遠くに住み、あてにはならない姉の代わりに 母を気遣う妹が いた。 「今年の市販の米は、まずいだろ」大事なお米をかかえきれないくらい分けてくれた農家の親戚がいた。あれこれおみやげを用意してくれたお嫁さんがいた。
おいしい空気をいっぱい食べ すくすく育った甥っ子や姪っ子が いた。父の墓前は、子どもたちが 摘んできたつくしでいっぱいだった。
申し訳ないけど、六本木ヒルズの回転ドアも関係なくて あったかい空間が あった。
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