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ロシア昔話1 『かぶ』から『エメリヤン』 11月27日 ()
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写真は10月はじめ、青山のスペースユイで開かれた茶畑和也氏(『寿限無』の絵を担当)の個展で。ここは小さいが和田誠氏や宇野亜喜良氏などのすごい作家の展覧会を短い会期でばんばん開催する気合いの入ったギャラリー。おまけ的話だが、青山墓地はすぐ近く。もともと青山は墳墓の意で、青山とよばれる場所は全国にあるが、今も墓地、ないしは過去は墓地だったというところが多い。We Are Songbirds 2の「青山土手から」も墓場の土手ということである。あの草むす丘には先祖、もしかすると近い仏が眠っている。涙がぽろぽろでるのは当然。さらにおまけを書くと『人間(じんかん)至る所に青山(せいざん)あり』ということばがある。これは幕末の月性(げっしょう)という僧のものだが、人の世のなかには、どこにも墳墓、すなわち骨をうずめるべき場所はある。どこでもがんばれるということ。このことばは巷間、人間を「にんげん」、青山を「うつくしい山=活躍できる場所」と誤読、誤解されるが、結果としておなじような意味に解釈されている例だ。

 さて、ようやくロシアの昔話。ラボ・ライブラリーでは『まほうの馬シフカ・ブ
ールカ』だ。もう23年前になるが、ぼぐがはじめて制作に関わった最初のライブラリーだ。そのころは「ことばの宇宙」がメインの仕事だったので全面参加ではなか
ったが、はじめてスタジオに入ったときは大緊張したことを覚えている。
 このライブラリー5編の物語にもそれぞれ書くべきことがいっぱいある。さあ、どれから手をつけようか。
 その前に、ロシア(このライブラリーが発刊されたときは、まだソビエト連邦だ
った!)というとどんな連想をするだろうか。地理的には日本の北から北西に大きくのしかかる国であること、また政治体制の違いや歴史的関係から、漠然と「大きい」「さむい」「こわい」といったネガティブイメージがうかびがちだ。事実、江戸のころは「恐ろしい」にかけて「オロシヤ国」などとよばれた(ジョン万次郎とともに元祖国際交流男である大黒屋光太夫の漂流体験をもとにした井上靖氏の小説は『おろしや国酔夢譚』)。
 確かに北方領土問題(どうなっとるのか! 国後島は、ほんとに目の前に見えるぜ!)などを思うと、そうしたロシアへのマイナス感はいなめないが、じつはよく考えると日本人はロシアの芸術や文化がけっこうすきだ。昔話のおもしろさは後で書くとして、バレエ、サーカス、民謡、料理(ボルシチ! ピロシキ!=ピロシキは複数形で単数だとピローグだとロシア料理店に取材にいったとき知った)、そしてなんといってもドストエフスキー、ゴーゴリ、プーシキン、トルストイ(『エメリヤン』の作者だね)などの綺羅、星の如く居ならぶ文豪たち(このことについては『エメリヤン』編でふれます)。
 横道にそれが、「キラ星の如く」というのは誤用。綺は絹、羅は薄い絹織物のことで綺羅は美しい衣服の総称。「綺羅、星の如く居ならぶ」は、そのようにすばらしい人材が星のようにたくさん存在する様のこと。どうも年とるといちいちうるさい。それはともかく、かようにロシアの芸術・文化は魅力的なのだ。
 ぼくも、中学から高校にかけてロシアの音楽が身体にしみこんだ経験がある。午前の授業が終わると、育ち盛りの腹ぺこ男子学生(私学の男子校だった)の頭のなかは昼飯のみ。持参した弁当でも、外に食べにいってもいいのだが(なんという自由)、ぼくは生徒集会所とによばれる食堂(とにかく安い=カレー50円、ラーメン35円=町の相場は60円~80円、最高級のカツライスが60円)を利用したていた。 その待ちに待った昼休みには放送班とよばる連中がDJをして音楽をかけた。選曲はクラシックからジャズ、ポップスとまったく彼らの趣味。そして、ぼくが集会所にたどりつくころ、ちょうど放送がはじまりテーマ曲がかかる。
 すると、じつにいいタイミングで小麦粉とカレー粉を炒めた、あの黄色い日本式古典的カレーのにおいが鼻孔を刺激するのだ。その曲がチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」。グラモフォンレーベルの名盤、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン交響楽団(ウィーンフィルではない)演奏。ピアノはリヒテル(この人はウクライナ生まれ)だ。今はどういう曲がテーマかは知らぬが、ぼくが在学中の6年間はずっと同じ曲だった。途中で演奏はバーンスタインとクライバーンに変わったが、ぼくはカラヤンの緻密な指揮とロシアの大地を連想させる力強いタッチのリヒテルのピアノが好きだ。ともあれ、そのおかげでいまだにこの曲を聴くと悲しいことにカレーの匂いを感じてしまう。オペラント条件づけ。パブロフの犬。
 くだらぬ私事であるが、それほどロシアの芸術はすごいのだよ。

 さて、ロシアの昔話といえばアレクサンドル・アファナーシエフ(1826-71)にふれざるを得ない。ロシアのグリムといわれるこの人は、結核のため46歳という若さで世を去ったが、600編におよぶ民話・伝承を編纂した。その数はグリムをしのいで世界でいちばん多く、また、民俗研究の資料としても価値が高い。『まほうの馬シフカ・ブールカ』『かぶ』『わらじをひろったきつね』『森の魔女バーバ・ヤガー』は、彼が編纂した昔話集をもとにしている。
 それともう一人、ウラディーミル・プロップ(1895-1970)もロシア昔話では重要。この人は民話を分析・分類した人で(1928年、そんなことする人はいなかった)、後に多方面に影響をあたえた。プロップの『魔法昔話の起源』(せりか・斎藤君子訳=斎藤先生はラボ・ライブラリーでも日本語担当されている)はとんでもなく厚い難解本だが名著。
 あんまり頭でっかちになって昔話を語るのもどうかと思うが、そういう流れなので許してね。とにかくこのお二人のおかげでこのラボ・ライブラリーはある。
 
 ロシアのみならず、どの国の昔話もそれぞれ特徴があっておもしろい。それは、人びとの生活感、知恵、愛情、血、悲哀、喜び、そしてその地域の風、光、歴史などがぎっしりエッセンスとなってつまっているからだ。昔話こそ最高の学びのもとといいきれる。だから、ラボ・ライブラリーに昔話が多いのも当然。いうまでもなく物語の原点じゃけんね。
 それをふまえてロシアの昔話のおもしろさについて。その背景にはいくつかのたいせつなことがある。
 ひとつにはロシアでは文字の発達がおそかったこと。そして、きびしい自然と帝政によるきびしいくらしも無視できない。それらは、結果として人間のある力を育むことになった。
 と、ここまで書いて、時間切れ。次回はこの続きから。
 うーむ。横道にそれ過ぎた。反省。



 
Re:ロシア昔話1 『かぶ』から『エメリヤン』(11月27日)
スミティさん (2010年11月27日 23時32分)

シフカブールカシリーズは全部発表しました。エメリヤンと太鼓は15
周年でもしも魔法が使えたらという詩を作りました。その時 世界中の
武器を楽器に変えて といった子は今神奈川で大学生活動をしていま
す。バーバヤガーは2回発表しました。この23日に2回目を。
幕末の僧 月性は山口県柳井市の人。記念碑があります。あまり知られ
ていませんが。
人類史上ロシア帝政、ロシアの人々の苦しみと物語の力、このライブら
アリーは子供とやるとより一層面白いです             
                                
                                
                                
                                
                                
                                
                                
                                
                  
Re:Re:ロシア昔話1 『かぶ』から『エメリヤン』(11月27日)
SENCHOさん (2010年11月27日 23時35分)

スミティさん
月性は柳井の人なのですね。びっくり! これは来春にでもいかねば!
Re:Re:Re:ロシア昔話1 『かぶ』から『エメリヤン』(11月27日)
スミティさん (2010年11月29日 08時34分)

SENCHOさんへ

お待ちしています!
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