幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
■■■ 運営事務局より ■■■
ひろば@LABOは,ラボ教育センターが展開する
「ラボ・パーティ」に関わる皆さんのコミュニティ・ネットワークです。
「ラボ・パーティ」については 公式サイト  をご覧ください。
ラボ公式HPTOP新着一覧そのほかランダム新規登録戻る 0359768
  
Home
Diary
Profile
BBS
Bookmarks
Schedule
メール
・メッセージを送る
・友達に教える
ページ一覧
Welcome!
[一覧] << 前の日記 | 次の日記 >>
彼氏とキーパー 気が抜けたアクセント? 03月06日 ()
おおみしま
 写真は今治市大三島にある大山祇(おおやまづみ)神社の拝殿。
大三島は、先日紹介した平山郁夫美術館のある生口島(尾道市)より
ひとつ四国よりにある島だ。
 オオヤマツミ(大山積神、大山津見神、大山祇神)を祭神とし、伊予の国一宮、
日本総鎮守、さらには全国の三島神社、山祇神社の総本社という
とっても格式の高い神社だ。伝によれば、現在の大阪府高槻市から
推古天皇の2年というから594年にこの場所にうつされた。
※鎮守は土地神と混同されることが多いが、元来は人間がつくった建物などを
その先住神である地主神からディフェンスするためのものだ。
 その他、由来にはさまざまあるが、相当に古い時代につくられた
社であることはまちがいないようだ。
 美術館からの戻り道で立ち寄ったのだが、
平日の昼下がりに人気はほとんどなく、
おだやかな陽射しのなかに記紀の時代からあまりかわらないなにかが
ひっそりと息をひそめているように思えた。
 この神社は古いだけあって、興味深いことが多いのだが、
山の神(オオヤマツミは大いなる山の神の意)、海の神、
さらには戦いの神として、朝廷はもちろん、
源氏や平家など歴代の武将に尊敬された。
日本の国宝、重文に指定された甲冑の4割が、
この神社に奉納されていることでも、その力がわかる。

 イベントも四季折々に行なわれるが、
なかでもおもしろいのは一人相撲。
毎年春の御田植祭(旧暦5月5日)と秋の抜穂祭(旧暦9月9日)に、
大山祇神社に設けられた土俵での相撲神事である。
これは「稲の精霊」と「一力山」による三本勝負。
かならず稲の精霊が2勝1敗で勝つ。
これをだれも八百長とはよばぬ。

 稲の精霊は、たいへん弱いので、常に激励せねばならぬ。
「おはやし」で囃したて、エンカレッジせねばならない。
とくに秋の収穫後、種籾に宿った幼い精霊は、目をだしても
すぐに萎えてしまう。だから「苗」なのだという。
 ちなみに苗代というが、この代はノリシロなどのシロ、
すなわち予定地の意でもある。
ヤシロのシロも同様で、神の家(ヤ)の予定地。
次第に拝殿や社殿などの建造物をさすようになったが、
もともともはその山そのものがヤシロであったようだ。

 さても、本日のお題はアクセントである。
英語のみならず、あらゆる言語でアクセントは重要だ。
もちろん、日本語でも正しいアクセントはある。
しかし、日本語の場合は多少アクセントがおかしくても、
会話の前後の関係から意味が通じてしまう。
それに違和感を感じる場合もあるが、
あっさりスルーしてしまうことも多いはず。

 ライブラリーの録音のときは、
さまざまな音に注意をはらわねばならないが、
ぼくは、とりわけアクセントに集中して聴いていた。
もちろん、責任者になってからは、
スタジオ全体を見渡していないとならないが、
ぼく自身もなるべく録音そのものに没入できるように、
トラブルのもとになりそうな「おとな事情」の整理や
スケジュール、台本の配布やチェックなどの作業を
すべて終わらせて本番にのぞめるよう、
スタッフに分担しもらうことに心をくだいた。
 役者も技術者も演出も、ようするにスタジオという特殊空間を
共有する人びとが、いかにきもちよく、
かつ高いモティヴェイションで仕事できる環境を整えるかも
プロデューサーの仕事である。
さらに、だめなものはだめといいきる勇気と決断力かなあ。
「まあ、いいや」といってしまったら、ラボっ子に申しわけがたたぬ。
ただ、録音者を変更する、書き手をかえるといった
「人をきる」ことは、明確な理由を提示する力がもとめられる。
しんどい。でも、だれかがやらねばならない、

 さて、アクセントに話はもどる。
もちろん、録音中はセリフの読み違え、ニュアンス(訳対応)、ノイズなどの
さまざまな要素を聴かねばならぬ。
 マイクを吹く(これだけは、機械処理できぬ)とか、ペーパーノイズ
(台本をめくるときの音)などは、エンジニアの耳が確かだ。

※台本がらみで補足すると、台本は中質紙で袋とじ(小口、すなわち本の
外のへりが袋になっている。なお、本のとじているほうはノドという)
が音がしなくてよい。それからあたりまえだが、日本語台本は縦書き。
本来日本語は縦書きの言語だからだ。

 表現全体は演出家の耳がある。よほど英語とずれないかぎり
演出家にまかせたほうがよい。
 だから、ぼくはアクセントにこだわって聴くようにしていた、
アクセントちがいを聴きのがすと、後でたいへんなことになるからだ。
正しいアクセントのテイクをさがして差し替えることは可能だが、
とっても時間がかかってしまうので、あんまりやりたくない。
小技の編集なしで、一発で録れたものがいいにきまっていね。

 しかし、それが正しいアクセントがどうかわかりにくいものもある。
たとえば「風車」などは、前アクセントと平なのとどつらも正解。
こういう場合は、どちらかに統一してもらうよう役者さんに指示する。
 また、アクセントで意見がわかれるときもある。
そんなときのために、ちゃんと「日本アクセント辞典」というものがあるので
それで確認する。
これは、録音スタジオにはかならずおいてある。
NHKが出しているものだ。
 
 ところでところで、近年はこのアクセントが、とくに若い人のそれが
平になっている傾向がある。
「若い人」のといういい方はだいきらいなのだが、
この場合やむなくつかう。

 たとえば、「彼氏」。これは本来、前アクセントだが、
多くの人が平に発音する。
 他に例示するとサッカーのキーバー、さらにはクラブ。
なかには前アクセントの「クラブ」は部活、あるいはおじさんのいくところで
平な「クラブ」は若者の社交場というへりくつもあるようだが、
圧倒的に平なアクセントが増えている。
キーバーなどの解説者も民放のアナも平気で平に発音しているから驚く。

 なんでかなと考えてみると、
おそらく、いやきっと、
アクセント、特に前アクセントは意識していわないと
発音できないからだぞ。
 彼氏もキーパーも、前にアクセントをつけて発音するのは
けっこう意志が必要なのだ。
逆にいえば、平に発音するのは楽なのである。
だから、ことばに力がない。
 ことばは変化していく生き物だから、用法の変化は自然なことだ。
 英語でも、たとえばbedtimeなどは、ローラの時代はbed-timeと
ダッシュ付きだったかーが、今は一語である。
※定着すると一語になるそうだ。
また、誤用がそのまま定着した例も少なくない。
「新しい」は「新たしい」(新たに、新たなの変形)が正しかったが
いいにくいので音が入れかわったものだ。
 また、近年では「全然」が肯定的に使用されており、
これもいずれ定着しそうだ。
 
 ただ、アクセントの平な画一化はちとヤバイ(これもいい意味で使われ
はじめているな)。
 ことばが力をなくし、やせていってしまうからだ。
ことばが力をなくせば、心も力をなくす。だよね、

 テーマ活動を見ていて、よくライブラリーを聴いているかどうかは
すぐにわかる。
 それは英語のみならず、日本語でも同じだ。
ごまかせないぜ。

 さて、最後に問題です。
熊(クマ)、年賀(ネンガ)、
このふたつのアクセントはそれぞれどこにあるでしょうか。

 
Re:彼氏とキーパー 気が抜けたアクセント?(03月06日)
みかん(でこぽん)さん (2011年03月08日 20時51分)

熊は、”く”にアクセントですか? ”ま”にアクセントだと、”目の下のく
ま”みたいな・・・。新明解国語辞典には、どちらもあり、みたいに書い
てあります。「熊本」だと、”ま”から上がりますが・・・。熊本の黒い
熊のキャラクター”くまもん”は、”く”にアクセントです。

年賀は、わからなくて、最初から新明解に頼りました。”ね”にアクセン
トですか?「お年賀」と言う時は、確かに”ね”にありますが、「年賀
状」だと、”ん”から上がりますよね?わかりません。正確なところを教
えてください。

”ことばが力をなくし、やせていってしまうからだ。
ことばが力をなくせば、心も力をなくす。だよね、”

ことばは生きているので、仕方ない面もあるのかな~と、言葉の変化に
耳を傾けていますが、言葉が平坦化することで、言葉に力がなくなり、”
ことばが力をなくすと、心も力をなくす”って、何だか、とてもさびしい
ことですね。生きる力も弱くなっていくようで・・・。
Re:Re:彼氏とキーパー 気が抜けたアクセント?(03月06日)
SENCHOさん (2011年03月08日 22時24分)

熊は、基本的にはどちらもありです。クマ狩りはもちろん前アクセント。
ぼくは、熊単独は前アクセントがすきです。おっしゃるように平だと
目の下にできるものの印象があります。『大草原』では、父さん役の岡村氏が
平なアクセントほうがいいやすいということで、平クマに統一しました。役者さ
んの生理的感覚も尊重しなければね。また、年賀は平らです。『ドリームタイ
ム』の一話にでてきます。
Re:彼氏とキーパー 気が抜けたアクセント?(03月06日)
タミーさん (2011年03月11日 02時21分)

はじめまして。

SENCHOさんのHP、時々楽しみにおじゃましておりますが、
先日やっと自分のHPを立ち上げました。

アクセントが平になってきているのは、ここ数年強く感じます。
相手に合わせるように、私もまれに平のアクセントでしゃべっている時
があります。違和感を感じながらですが…。

確かに、平と同時に、画一的なんですね、ことばの扱い方が。
それで、なんとなく気懸りな感じがするのだと気付きました。

ふと、地方によってアクセントの位置がちがう言葉は、何か影響をうけ
ているのかな、思いました。

これからライブラリーを聴く際、もっとアクセントに敏感になりそうで
す。
<< 前の日記 | 次の日記 >>
Copyright(C)2002 Labo Teaching Information Center.All rights reserved.