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追悼・センダック/嘘だ!と叫びたい現実にまけるなと、ほんとうだと信じたい物語が教えてくれた。 05月07日 (月)
Sendak
昨日の続きを書こうとおもっていたが、朝、残念なしらせをきいた。
以下にNY TIMESの記事を紹介する。
http://www.nytimes.com/2012/05/09/books/maurice-sendak-childrens-author-dies-at-83.html?_r=1&pagewanted=all
掲載されている写真はコネッティカットの自宅で愛犬とくつろぐ姿。
2006年の撮影とある。
見出しは
Maurice Sendak, Author of Splendid Nightmares, Dies at 83
と衝撃的だ。
記事の冒頭は「20世紀で最も重要な子どもの本のArtistとして
広く認識されているモーリス・センダック」ではじまり、
それに長い関係節が続いている。
絵本作家とはいわず子どもの本のArtistと表現しているところに
NY TIMESのセンダックへの評価がうかがいしれる。
死因は脳卒中の合併症とあるが、いつごろ病を得たのかといった詳細は不明。
基本的にプライベイトを見せない孤高の人だった。
ただ、残念である。
センダックの業績については
ぼくなどがいまさら語ることもないが
この機会に重要な本を紹介しておきたい。

原題 CALDECOTT & CO.
センダックの絵本論
モーリス・センダック
脇 明子,島 多代 訳
■定価 3,150円
■1990年 岩波書店
絵本の祖コールデコットからディズニーや
同時代の若いイラストレーターまで
自身の創作活動に直接間接に影響を与えた人々について
折にふれ率直に語った名評論。
センダックの貴重な語りと、彼の作品への思い、
子どもたちへの思いがよくわかる。
コールデコットへのオマージュともいえる。
原題の「コールデコットと仲間たち」が泣かせる。
一時品切れ状態だったが、今はアマゾンでふつうに買える。
もっていて損はない、というかぜったい読みたい1冊。

それと
Piper of the Dawn
子どもの本の8人―夜明けの笛吹きたち
ジョナサン コット 鈴木 晶 訳
晶文社

これは中古で買うか図書館だけど名著。
著者のコットはロック雑誌「ローリング・ストーン』誌の名編集者。
その一方、無類の子どもの本好きとして知られるが、
8人の世界的な児童文学作家・研究者と語り合い、
その対話にみずからの評言を加えて、
子どもの本のもつ本能的な知恵と驚嘆の世界をきりひらいてみせる。
このなかで「もっともめんどくさい作家」センダックへのインタヴューは圧巻。

うわべや権威や、あまい菓子やそのばしのぎの理屈や、
なれなれしさといった、子どもが見抜くおとなの手練に常に抵抗しつつ
子どもの心の深いところに寄り添っていたアーティスト。
であるがゆえに、自身は深い孤独を内包していた表現者。
さよなら、センダック。
あなたの作品は永遠に愛され続けるよ!

ぴーたー
写真は連休最終日の6日、茅ヶ崎市民文化会館にて行なわれた
神奈川支部テーマ活動発表会から。
下田弥生P 『ピーター・パン』「海賊船上の決闘」
なお、6編の発表テーマとパーティ行進は後ほど掲載するが
日記では多数アップするのは無理なので以下の
URLでFacebookにあげたアルバムで全部閲覧できます。
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.306650256078000.68809.100001990857831&type=1&aft=306663532743339&l=d6e66b690f

かれんだ
緑のグラデーションが日々息ぐるしいほどに明度をあげている。

昨日の嵐とは真逆のおだやかな午後、
やわらかな風にほほをなでられて
青梅街道から三澤制作所のある路地にむけて左折する。
手に食材をもったまま、ふと上を見れば
公務員官舎の大きな木が空をかくしている。
その木漏れ日のなか、ゆっくりと前にすすむ自分。

三澤制作所のラボ・カレンダーの5月をめくった。
『はなのすきなうし』。
ご存じの通りオリジナルはモノクロの線画。
だから、まったくマネではない。
ただこの物語への思いだけで自由に描いている。
作者は明石市の杉浦萌弥(明石市・追原P すぎうら。もえみ 小1)さん、
すごいぞ! 
主人公のFerdinandを、
牛を描くときならだれでもやりそうな白のままではなく、
うすいピンクで塗ったセンスはとんでもない。
また、それぞれのオブジェクトは輪郭線を描いてから水彩で彩色されているが
自然な同系色のクレパス使用しているので、
それがあまり気にならないのもいい。
最近では黒のフェルトペンで輪郭をとってから
塗り絵するような指導が小学校で行なわれたりするが、
そうすると世界が分断されてしまってつまらない。
いまはコミックの影響も強いから、
まずフォルムをしっかりとりたくなるのかもしれぬ。
牛の輪郭だけは黒だが、
肌の黒い部分にも使用しているので違和感がないなあ。
さらに、花やその周囲も地面も木の幹も葉も、
空も太陽も、よく見るとじつにていねいに、しつこく描き込まれている。
ここまで突っ込めるのは物語への思いが尋常でないことの証しだ。  
この物語はリーフが親友の画家のローソンが仕事でへこんでいるときに、
40分くらいで書き上げてプレゼントしたといわれる。
1936年の作品だが、当時はスペイン内乱のさなか。
したがってこの絵本はさまざまに政治的な解釈をされたという背景がある。
しかし、作者のリーフは
「フェルジナンドが花の匂いをかいで闘わないのは、
よい趣味を持ち、またすぐれた個性に恵まれていたからだ」(岩波の解説より)
と述べている。
また、絵を描いたローソンもすばらしいことをいっている。
「ぼくは、いわゆる子どもむけのイラストレイターではない。
子どもを対象として企画された作品では、
文でも絵でもお子様用にTalk downする傾向がある。
でも、それには激しく反発したい。
むしろ子どを相手に仕事のほうがむずかしい。
おとなたちのもやもやした要求にこたえるより、
子どもたちの明快な理想の高みにこたえたい。
つまり子どもたちのところに降りるのではく、
子どもの視線の高さまで、ぼくたちは、Rise up、
つまり昇っていかねばならぬ。
子どもたちには、ぼくの技術と思いをすべて与え、自由に選択させたい」
この二人のことばに、『はなのすきなうし』が
世界中の子どもたちに76年もの間、
みずみずしいままで支持されている理由がある。

それともうひとつ。フェルジナンドの母親がててくるのだが、
あるがままの彼を受け入れる姿にも感動がある。
「子どもは、そして命は、あるがまま、存在するだけで美しい」
という真実も胸をうつ。
この物語でラボ・ライブラリーを制作したときはとても楽しかった。
日本語の語りは女優の二木てるみさん。
シンプルで短い文のなかで繊細な感情のゆらぎを香らせる技はすごい! 
こういう一見、単純素朴な文を語るのは、ほんとうにむずかしい。
1行のなかに感情の変化がある。
ぜひじっくり聴いてみてほしい。

森繁久彌氏は「セリフは歌え、歌は語れ」といったが
なるほどなあと思うはずだ。

じつはこの絵とコメントみたいなものをFacebookにアップしたら
作者のパーティの追原テューターから描き込みがあった。
それによると、この絵はなんと8回描き直しているとのことだ。
さらに、この絵を描いているとき作者の家族に
とてもつらい状況があった。
萌弥さんのお母様からお許しがでたので書くが
この絵が完成した4か月後の12月末、
萌弥さんのお父様は、闘病の末にお亡くなりになったのだ。
お父様は萌弥さんの作品がラボ・カレンダーの絵に入選したのを
とてもよろこばれたそうである。
しかし、完成品を病室にどとけることがかなわなかったのが
心のこりだと追原テューターはおっしゃる。
そのお話をFacebookで知ったぼくは
萌弥さんの
尋常ではないこの絵への没入の大きな理由を感じとった。
絵は心の訓練みたいなものだとは、
『十五少年漂流記』や『まほうの馬シフカ・ブールカ』の
かみや・しん先生がラボっ子にむけていわれたことば。

この絵は、はげしさとせつなさと、そして祈りに満ちている
萌弥さんの心の鏡なのかもしれない。
その思いはきっと空をこえてお父様のところに届いている。

神奈川支部発表会より
下田弥生P 『ピーター・パン』「海賊船上の決闘」
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peyer3
川上優香P 『たぬき』「騎馬警官隊にくわわる」
たぬき1
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藤原康子P 『グリーシュ』
ぐりーしゆの1
グリーd2
三井麻美P 『西遊記』「金角銀角との戦い」
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岩楯幸P 『スサノオ』
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高久聡子P 『はだかのダルシン』「ドゥールの子」
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テーマ活動はやっぱりおもしろい。
あらたむな誕生と、再生と、発見と、感動と、ゆらぎと、おそれと、あこがれ…
これらの
今、なかなか出会うことが少ない心の深いところにとどくメッセージをまた、
茅ヶ崎でうけとった。
Re:嘘だ!とさけびたくなる現実にまけるなと、ほんとうだと信じたくなる物語が教えてくれた。(05月07日)
るるさん (2012年05月08日 20時13分)

「セリフは歌え、歌は語れ」

わ~この言葉すごくいいですね!!!

マイパーティのラボっ子たちにも伝わるかな・・・?
Re:追悼・センダック/嘘だ!と叫びたい現実にまけるなと、ほんとうだと信じたい物語が教えてくれた
わらBさん (2012年05月10日 14時27分)

訃報を聞き、今週のPはライブラリの中のセンダック作品の中からテー
マ活動をしています。改めてライブラリの中にこんなにたくさんセンダ
ックの素敵な絵本が入っていることに感謝します。
娘は今「ロージーちゃん」が大好きで1か月以上聴き続けています。最
初その面白さがいま一つわからず、実はあまり流さず避けて通っていた
のですが、聴けば聴くほど面白くなってきました。さすがセンダックさ
んだなあとちょうど思っていたところでした。
Re:Re:追悼・センダック/嘘だ!と叫びたい現実にまけるなと、ほんとうだと信じたい物語が教えてくれた
SENCHOさん (2012年05月10日 15時03分)

わらBさん
すてきな写真ありがとうございます。
撮影者の愛情が伝わってくるカットばかり。
写真は一瞬を切り取るものですが、撮影者の心映えによって
冷たくも暖かくもなりますね。

ぼくの日記にコメントいただき感謝です。
『ロージーちゃん』の制作に取り掛かるとき
吉田新一先生にその旨を相談したら、先生は
「三澤さん、すばらしい。ロージーちゃんはラボっ子そのものじゃないですか。
自由で表現力に溢れてて。それに
お母さんもテューターのようにロージーちゃんを受け入れてますよ」
そのことはをきいて、ぼくは覚悟をきめました。
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