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37年目の桜隧道 Where Have All the Wild Things Are Gone? 03月31日 ()
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昨年の同日はまだ硬いつぼみだった母校ICUの桜も
今年は満開を過ぎて散りはじめだった。
ぼくにとってはいちばんの見頃だ。
正門から800mのマクリーン通りはまさに桜隧道だ。
舞いかかるのは花びらだけではない、さまざまな想い、
遠くなってしまった憧れとか、
あきらめてしまってひきずってきたものといった個人的なちっぽなものから、
諍いやまない人類のゆくすえとかいったでっかいことまでが、
ときにはうちのめすように、ときにはいやすように降ってくる。
とうとう3月で還暦になってしまった! 

今日は同窓会の「桜祭り」でDAY(Distinguished Alumni of the Year)
という社会的に功績のあった同窓生の表彰と懇親会があった。
DAYはまだ8回目だが過去の受賞者には高村薫氏、平田オリザ氏、大宅映子氏、
そしてわれらが鈴木小百合氏など個性的なメンバーがいらっしゃる。
今年は同期の粉川直樹(こかわなおき)くんが受賞されて、
とってもめでたい。
粉川くんは日本赤十字で長年にわたり
難民や災害復興支援に携わり、世界の激烈な現場でむきあってきた。
とくに1997年からは東京日赤の国際救援責任者としてトルコ地震、
スマトラ津波、パキスタン地震などの現場で活動。
粉川がいくところに災害がおこるとまでいわれたそうだ。
またコソボやアフガンなどの紛争地域にも犠牲者の支援で赴き、
さらにはスマトラの復興のために1年間滞在、
その後は国際赤十字新月連盟の災害対応部長としてマレーシアでも活動した。
そして、東日本大震災後は世界から送られた
600億円のドナー対応を担当。
はじめて支援される側にたったが、それまでの支援体験が役立ったそうだ。
粉川くんは、純朴で気のいいラガーマンであるので写真は掲載しないが、
その名前を記憶にとどめていただければうれしい。
懇親会後、いよいよ完成が近づいた人工芝を見分した。すでにラクビー、サッカー、アメフト、ラクロス、ハンドボールのラインがそれぞれちがう色でうめこまれ、今日は仕上げのゴムチップをうめこむ作業が行なわれていた。4月8日にはひきわたしが行なわれ、13日にはセレモニーとミニゲームが行なわれるが、
ぼくも写真撮影という大役をおおせつかっている。

 桜隧道の花ふぶきは帰るときにはおさまっていた。
 花が吹雪と散りゆくように、若き日の夢は消えやすい。なんて、いってんじゃねえぞ!
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そして、三澤制作所の「ラボ・カレンダー」をめくる。
はやくも4月である。うそだろ。
今月のはフライイングでみてはいなかったので、
めくったとたんに衝撃である。
題材となったのはアメリカのほこる絵本の巨人、
モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』
" WHERE THE WILD THINGS ARE"だ。
作者は堀部奈央さん(小3/徳島市・鈴江P)。
いうまでもなくとは書いたが、
このあまりに有名な原作絵本をご存じの方には余計なお世話だが
奈央さん(たぶんお名前からして女性とは思うが、力強いタッチから
ヨシヒロくんとか読むのかも。だれか教えてください)
の作品がセンダックのオリジナルの
フォルムもタッチもまったく想像させないことにおどろかれたはずだ。
要するに絵の要素としての真似・模倣が
皆無に等しく、原作の物語がもつ本質だけをしぼりだして、
まったく自分のタッチと色とフォルムで再現しているのだ。
ひさしぶりに、全身ビリビリにしびれた作品である。
ああ、今日まで見ないでおいてよかった! 
場面はおそらく主人公のマックスが「かいじゅうたちのいるところ」に
到着した後、おそいかかるかいじゅうたちに「うるさい!」と魔法をかけて、
かれらを支配下におさめたところだろう。
マックスもかいじゅうたちも、色味といいフオルムといい、
奈央さん自身の個性で絵が描かれている。
しかも、描きこみの重厚さはとんでもないレベルだ。
画材は、おそらくクレパスと不透明水彩を
なんどももちかえて使っているのだと思うが、
とにかくものすごいパワーである。
全体のバランスはもちろんすばらしいが、
なによりニクいのは背景である。
ここもかなりしつこく掻き込んでいるにもかかわらず
登場人物たちのパワーを消さないように、
じつにさりげなくボカシている。
これがとってもおしゃれで、とてつもない非凡さを感じる。
かいじゅうたの「まぃったぜ感」、マックスの「おれ様感」はじつにわかりやすい。
マックスの想像世界は、奈央さんのなかで、
さらに力強くひろがって
こうして再び外にてできたのだ。
センダックは「すぐれた絵本は入り口と出口がちがう」と述べているが、
奈央さんという入り口から入った物語は、奈央さんの絵筆という出口から
見事に成長してでてきたのだろう。
すぐれた物語は、宮沢賢治がいうところの子どもを成長させる
「みずみずしい果実」だと思う。
だが、すぐれた物語はうけとめる子どもたちによって、
物語そのものもさらに成長していくのだ。
そんな作品をのこせたということは、
センダックという「ひどく変わったてあつかいにくい、
今世紀最高の子どもの本のアーティスト」の人生すばらしいものだったといえるだろう。
センダックは昨年、おしまれつつ世を去ったが、きっとこの絵によろこんでいるはずだ。
そのとき、NYタイムスはMaurice Sendak, Author of Splendid Nightmares, Dies at 83と衝撃的な見出しをうった。
記事の冒頭は「20世紀で最も重要な子どもの本のArtistとして広く認識されているモーリス・センダック」ではじまっていて、
絵本作家とはいわず子どもの本のArtistと表現しているところに
NY TIMESのセンダックへの評価がうかがいしれる。
基本的にプライベイトを見せない孤高の人だった。
彼の業績についてはぼくなどがいまさら語ることもないが、この機会に重要な本を紹介しておきたい。

原題 CALDECOTT & CO.
センダックの絵本論
モーリス・センダック
脇 明子,島 多代 訳
■定価 3,150円 ■1990年 岩波書店
絵本の祖コールデコットからディズニーや
同時代の若いイラストレーターまで
自身の創作活動に直接間接に影響を与えた人々について
折にふれ率直に語った名評論。
センダックの貴重な語りと、彼の作品への思い、
子どもたちへの思いがよくわかる。
コールデコットへのオマージュともいえる。
原題の「コールデコットと仲間たち」が泣かせる。
一時品切れ状態だったが、今はアマゾンでふつうに買える。
もっていて損はない、というかぜったい読みたい1冊。

Piper of the Dawn
子どもの本の8人―夜明けの笛吹きたち
ジョナサン コット 鈴木 晶 訳 み晶文社

これは中古で買うか図書館だけど名著。
著者のコットはロック雑誌「ローリング・ストーン』誌の名編集者。
その一方、無類の子どもの本好きとして知られるが、
8人の世界的な児童文学作家・研究者と語り合い、
その対話にみずからの評言を加えて、
子どもの本のもつ本能的な知恵と驚嘆の世界をきりひらいてみせる。
このなかで「もっともめんどくさい作家」センダックへのインタヴューは圧巻。

うわべや権威や、あまい菓子やそのばしのぎの理屈や、
なれなれしさといった、子どもが見抜くおとなの手練に常に抵抗しつつ
子どもの心の深いところに寄り添っていたアーティスト。
であるがゆえに、自身は深い孤独を内包していた表現者。
センダック。あなたの作品は永遠に愛され続けているぞ。
ここにその魂をうけとめている子どもがいるよ!
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Re:37年目の桜隧道 Where Have All the Wild Things Are Gone?(03月31日)
kumagorouさん (2013年04月05日 14時53分)

SENCHOさん、
「かいじゅうたちのいるところ」を描いた奈央ちゃんのパーティのテュ
ーターです。
絵に関する感想を書いていただいてありがとうございます。
書いていただいていたのを全く知りませんでしたが、HITACHI
さんが教えてくださいました!

ありがとうございます!

書いたのは女の子です(笑)。
いつも自分のイメージをちゃんと持っているラボっ子です。
昨年もカレンダーの表紙になりました。
「ももたろう」でしたが、彼女の鬼のイメージも、このかいじゅうも似
ているようです(^^)

それから、実はお姉ちゃんも今年のカレンダーにのっています。
お姉ちゃんは「そらいろのたね」です。
そらいろのたねは、発表したお話ですが、イメージが面白い。
絵本とは全然違っていて、絵を提出する前にパーティでも「それぞれの
そらいろの家」があっていいねぇ~と、話したほどです。
絵本とは全く違う、ラボっ子自身の「そらいろの家」です♪

とっても嬉しい日記、本当に感動しました。
パーティのみんなにも紹介します。
ありがとうございました!
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