幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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『かぶ』力をあわせて生きることって、けっこう忘れやすいことなのだ。 そして報告と御礼 03月30日 ()
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3月24日に61歳になった。その記念というわけでもないが
私的勉強会の仲間と箱根に一泊研修にいった。
箱根神社で参拝。最近はパワースポットばやりで、
春休みの好天ということもあり平日でもかなりの人。
たしかに霊気のようなものを感じるのは気のせいか。
ちなみに木の精はキジムナー。
めゆゆ
そこから大涌谷にまわり富士を眺める。
午後なのに雲ひとつない。雲量ゼロ。
大涌谷もたくさんの人。
誕生日に箱根神社と雲ひとつない富士とは縁起がよすぎといわれた。
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春はまだ浅い。仙石原ではすすき原の「野焼き」が行なわれたので
ごらんの「焼け野原」だ。新しい力強い命がここからそだっていく。
そんな生命力をいまの日本はもっているのか。
少なくとも伸びていこうという
若い命を激励する情熱をおとなたちがもっているのか。
飛び去る野焼きの後をながめながら思う。
地元の方が「この時期の箱根は花もないし緑もないんです。
でもよくきてくださる」としみじみおっしゃった。
たしかに浅い春はさみしい。
でも、それもまた前にすすむ動機になる。
問題はそういう前にいこうというきもちを
若い世代がもてるかだとくりかえし思う。

タイトルに報告と御礼とあるが、それは文末にあるので
興味のない方はカレンダーの絵の話だけよんだらそこでおしまいにしてね。
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三澤制作所のラボ・カレンダーをめくる。
まだ4月というにはフライングもはなはだしいが、
31日も1日も忙しいので力技でめくってしまうのだ。 
1年の第1Qが終ってしまった! はやい。
そのうち月や星が動いているのが目視できるようになるかも。
弥生から卯月。卯月は「卯の花が咲く月」ということからつけられた
というのが定説のようではあるが、
「卯月に咲くから卯の花」という説もあってややこしい。
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絵はご存じロシア民話の『かぶ』に題材をもとめたもの。
ラボ・カレンダーの絵の応募作品にとりあげられる率は
『だるまちゃんとかみなりちゃん』と双璧の人気物語だ。 
描いてくれたのは松岡羽暖さん(5歳・飯塚市/津野P)。
うーん、お名前はなんと読むのだろうか、女性ではないかと推測されるが
「はぬく」いや「はるか」か? 
どなたかご存じの方よろしくお願いするのだ。

巨大かぶと格闘するじっちゃとばっちゃとまごむすめと犬。
右から左にひきぬこうとする動きがすばらしい。
この物語を描くときはどうしても
それぞれの登場人物を画面におさめようとするきもちが先立って、
静止して凍結した感じになりがちだ。
だが羽暖さんの作品は躍動感いっぱいで、さらには力感もたっぷりだ。
全員が全体重をかけてひっぱっている。

とくに、じっちゃの足のデフォルメは、
まさに大地に根をはったロシアの農民! そのものだ。
このデフォルメは、ある程度意識していんないとこうならないだろう。
5歳以下の子ども絵には多分に
「ぐうぜんに生まれた表現としての色やかたち」があらわれることがあるが、
この場合はちがう。
あきらかに描き手もいっしょに力んでいる。
そこがこの絵のいちばんの魅力だ。とにかく力いっぱい。わたしも参加するからぬくんだよ!という姿勢がきもちいい。なかなか描き手はそこまでつっこめない。
羽暖さんが、この物語とどういう出会い方、
睦み方をしたのかに例によってとっても興味がある。
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でも、この絵の魅力はそうした動きや力感だけではない。
なに、人物のバランスもいい? うん、それもあるが、
ぼくはこの色、ぬけた感じの色がおしゃれだと思う。
そして、空も雲も大地もカブもカブの葉っぱも、
単純に彩色しせず、かなり色をかえて重ねている。
だから構図としては遠景の農家など描いていないのに、
遠近法もつかっていないのに奥行きと広大なロシアの大地を想像させる。
それはやはり一見しては単純だが、
じつは複雑な同系色の組み合わせと、
描き手のこの物語へのつっこみ方の深さによるものだと思う。

話はそれるが、線遠近法、
すなわちパースペクティヴはルネサンス以降の技術で、
それ以前の宗教画などはみんなペタっとした平面の構図である。
遠近法は空間表現をひろげたが、
さらに時代が進むとキュービズム、近代的な抽象画へと
人間はより広く深い空間表現を美術、そして建築、彫刻などで開発してきた。

しかしそうしたひろがりは、芸術だけでなく数学や科学、
経済ともリンクしてきたといえる。
とくにラバチェフスキー、リーマンなどの
非ユークリッド幾何学をはじめとする高等数学の誕生と進展は、
人間の空間表現のひろがりとシンクロナイズしてきたといえる。
ギリシアの英知がもっていた法則は
三角形の内角の和はかならず180度であったが、
ラバチェフスキーのようにそれを否定する幾何学の登場は
宇宙をときあかす大きな一歩になった。

また、宇宙や自然界の現象や動きは、正円や正方形
あるいは整数のよう美しい構造から成り立っていてほしいという希望も
次第に「そんな単純ではない」ということもわかっていった。
ガリレオやコペルニクスがとなえた地動説と太陽系の惑星の構造は
たしかに革命的だったが、
彼らは惑星の軌道は正円であると考えていた。
いや美しい正円であってほしいという呪縛からは脱出できなかった。
それをうちやぶったのがケプラーである。
だから「コペルニクス的転回」ということばがあるが、
それがふさわしいのはむしろケプラーだろう。

その意味ではニュートンの力学も
ユークリッド幾何学の範疇からはでることができなかった。
しかし、それではどうしても宇宙のことを説明しきることができない。
それをアインシュタインは宇宙の力学に高等数学を用いたらと発想したのだ。

アインシュタインが特殊相対性理論を書き上げたのが1906年、
ピカソがキュービズムのはじまりといわれる『アビニヨンの娘たち』を
ごく一部の友人に見せたのが1907年。
そしてシェーンベルグが後の「月に憑かれたピエロ」に通じる
無調性の音楽を書きはじめたのもこのころである。
20世紀初頭、アーティスト、科学者、ミュージシャンは新しい空間、
領域をきりひらくという同時代精神をもち、人間の魂の解放と表現、
そしてその根源ともいえる宇宙のなりたちを追求しようとしていた。
そして競いながら知と自由の高見に飛翔しようとたたかっていたのだ。

アーティストも科学者も、一面では
早すぎるランナーとしての孤立とむきあわねばならない。
それにゆえに政治や社会情況によっては反社会として指弾されことがある。
本来、芸術も科学も人類の幸せに寄与するものであるが、
新しいものを求めるものは常にそうした二律背反をせおう覚悟がいる。
時代をになうい時代を貫くアートとアカデミズムを担うものとしての
責任を自覚することが、
アーティスト、クリエイター、そして学者の基本的な倫理なのだと思う。

話をもどす。
ロシア民話『かぶ』はウラジーミル・プロップの分類にれば
「累積昔話」にあたる。
文末で脚韻を踏みながら、「ジャックのたてた家」のように
くりかえしながら人物や動物がふえていくものだ。
『わらじをひろったきつね』もこの累積昔話である。
韻によることばのリズムのおもしろさ、
そしてくりかえしがもつ「ことばの魔力」は
この物語を今日まで語り続けさせた要因であろう。
「ジャックのたてた家」はかつて「三回息をとめていうとしゃっくりどめのおまじない」だったとオーピー夫妻は”Oxford Dictionary ogh Nursely Rhymes”でいっているが、この『かぶ』にもなにかそんな「呪文」としての意味があったと思われる。

だから、ラボ・ライブラリーの日本語もロシア語のような韻はできないが、
この物語がもつことばのリズムをとてもたいせにしている。
日本語を担当された斎藤君子先生は、
その点を十分に勘案し、たいへんご苦労なさって
すばらしいリズムの日本語を描いてくださった。
「じっちゃ、ばっちゃ」などの表現はこのリズムをだすためである。
おじいさん、おばあさんでは、どうしても間合いがかわってくる。
英語もサラ・アン・ニシエさんが
これまた苦しみ抜いてリズムのよい文にしてくださった。
この物語を「はじめての素語り」にとりあげるラボっ子は多いが、
それはあきらかに上記のようなくふうがされていて心にはいりやすいからだ。
短いだけじゃないんだぜ。

前にも書いたが、この物語は、
なんといっても彫刻家佐藤忠良先生(お嬢さんは女優の佐藤オリエさん)の
『おおきなかぶ』が人口に膾炙(かいしゃ)している。
だれもが知ってるとっても人気のある絵本である。
では、なぜラボはこの絵本を録音許可をとって使用しなかったのか。

ひとつには累積ばなしのもつ
リズムほをほうふつとさせる新しいことばでつくりたかったこと。
また『おおきなかぶ』は最初からこたえがてているが、
原題はただ『かぶ』であること。
まあこれはなにかいちゃもんのようでもあるけどけっこうだいじだ。

しかし、それよりも大きなのは絵である。
もちろん、絵本は歴史民族の学習資料ではない。
だが、このライブラリーは「ロシアの物語と文化」が
大きなテーマのパッケージである。
そうしたエスニックなテーマをあつかうときのライブラリーは、
その物語を生んだ地域と人びとへのリスペクトとして、
とくに具象的に表現するときは衣服や建物、事物について
極力、時代考証をしっかりとするべきであるというスタンスをとっている。

『かぶ』の絵は小野かおる先生が担当された。
「おおきなかぶ」があまりに有名なために、
どなたに依頼するかがなやましかったが、小野先生が快諾してくださった。
いまはどうか知らないが、そのころは「ことば宇宙」は
いろいろな専門家に毎月(月刊だった!)送っていたのだが、
ラボのスタッフが小野先生のご自宅に相談にいったとき
小野先生のほうから「今度ラボはロシアをやるんでしょ」とおっしゃられたという。
ぼくはそのころ「ことばの宇宙」がメインの仕事で、
この物語の途中からだんだんとライブラリー制作にひきずれこまれていくのだが、
ロシアをやることがきまってからは、
「ことばの宇宙」ではやばやと「ロシア特集」ばっかりやっていったのだ。
小野かおる先生の父上は著名なロシア文学翻訳家の故中山省三郎先生である。
だから先生もロシアについての知識、資料は豊富におもちだった。
『かぶ』のはなしは、ちゃんと「ロシアの話」として絵本にしなくては
と先生はおっしゃっり、この絵本ができたというわけだ。

登場するカブは本来は赤かぶに近いものである。
今回のカレンダーのカブはかなり白いのがすこし気になるが、それはよしとしよう。
ぬりわすれたのかもしれないし、白がきもちよかったのかもしれない。
きめつけはできない。

そして、小野先生はじっちゃやばっちゃや孫娘の衣装も精密だ。
ロシアの伝統のデザインで描かいている。
じっちゃのはいている「わらじ」もラーポチとよばれるわらぐつであり、
これには大きくモスクワ型とペロルシア型があるが、
この絵本ではモスクワ型である。羽暖さんもちゃんとこのラーポチを描いているぞ。

さらに、ばっちゃはココシーニクとよばれるスカーフで髪をかくしているが、
これは既婚者であることをしめしている。
さらにスカーフをとるとばっちゃは
髪を後ろでふたつにわけてしばっている。
それにたいして孫娘は未婚なので髪かくさず1本でしばっている。
彼女が嫁にいくときは髪をふたつにわけてかぶりものをする。

だから厳密にいうと『ゆきむすめ』のゆきむすめが
スカーフで髪をかくしているのはロシアの人から見れば違和感がある。
もちろん、さきほどももいうように、絵本は歴史資料ではないし
「ゆきむすめ」の話の本質、語とものない老夫婦と季節の奇跡とでもいうべき
「ゆきむすめ」とのまさにあわい日々が影響をうけるわけではない。
ただ「ロシア」というくくりで活動の素材を故どもたちにあたえようとするときは
「かぶ」にせよ、「わらじ」にせよ。かなり綿密な考証が行なわれたということだ。

日本にとってロシアはその地理的、歴史的関係から、北のこわい国というイメージが強く、「オロシヤ国などとよばれたりもした。
だが、ロシア民話のみならず民謡、サーカス、バレエ、料理など
ロシアの文化は日本人にしたしまれている。

いまクリミアの問題でロシアもたいへんだが、北では白い風かうたい、南の草原では灰色のオオカミが疾駆する広大な大地にはいまも精霊がいきづいてると思う。
「いつかちゃんとしたロシアの話として…」とおっしゃった小野かおる先生の思いはちゃんとうけつがれ、こうしてカレンダーになって帰ってくる。

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2009年の14時間の大手術から丸5年、
まさに多くの方にパワーをいただきながら今日まで生きてきた。
手術では死を覚悟し、その後も社会復帰をできるとは思っていなかった。
そして父や母、義父の他界があり、休職の後、34年間情熱を傾けた仕事を退職した。

それでも前へ進まなくてはならないが、
退院後は文を書くのもふうふういうほどだった。
そんなとき手にしたのNikonのD5000という一眼レフだった。
重量1キロ。それでも重く感じたが、
退院後1か月のとき、青森の三内丸山遺跡と五能線の写真を撮りにいった。
それから、ごぶさたしていた大学のフットボールティームの試合を
誰にも頼まれないのに撮りはじめた。撮影は仕事というよりリハビリだった。

そして2010年の暮れ、三澤制作所なる一人ブラック事務所をたちあげ、
頼まれた仕事を中心にボツボツと動きだした。
思えば湯布院、松江、道後、金沢、沖縄、宮古島、男鹿半島、京都など
自分でも呆れるくらい飛び回った。
挙句は、空中撮影までするようになった。
病気の前なら断わっていただろう。
一度死を覚悟すると怖いものがあまりなくなるのかもしれない。
そしてこの春、縁あって新しい仕事が加わる。

名称はティームバティスタの白鳥も真っ青の長さで、
「学校法人根津育英会 武蔵大学・武蔵高等学校中学校・学園記念室室長」。
3年間の仕事であるが私学の歴史の奥底から何か新しいものを掘り起こせれば幸甚だ。

最後にあらためて以下の方がたに心よりの感謝を!
主治医執刀医 丸山祥司医師 安藤昌之医師
三澤制作所安藤マネージャーおよびスタッフ
ラボ教育センターと皆様 ラボ.テューターの皆様
ラボOBOGの皆様
ライブラリー制作でお世話になったプロフェッショナルの皆様

これからもよろしくお願いします。
Re:『かぶ』力をあわせて生きることって、けっこう忘れやすいことなのだ。 そして報告と御礼(03月30日)
HITACHIさん (2014年04月03日 21時16分)

遅ればせ乍ら、お誕生日まことにおめでとうございます。
その上新しいお仕事もスタート!

素晴らしい年の始まりですね。
これからもSENTYOさんのセンスを,存分に発揮して下さい。
Re:『かぶ』力をあわせて生きることって、けっこう忘れやすいことなのだ。 そして報告と御礼(03月30日)
かせだまさん (2014年04月10日 09時23分)

ロシアの話は、以前少しうかがっていましたが

小野先生のすばらしさもとても感じました。

ありがとうございました。

体きをつけてくださいね~。
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