幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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皐月の風のなかで髪に手を入れてわらった人よ! 04月30日 (水)
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タイトルの写真は武蔵大学と武蔵高等学校中学校の間を流れる
濯川(すすぎがわ)。かつては千川上水が流れ込んでいて
ぼくが中学生のころはザリガニを釣っていた。
今は循環式になり、水清く不魚住。

三澤制作所のラボ・カレンダーをめくる。
※くだらない前置きが例によって長いので、
カレンダーの感想だけ読みたい人は三段落くらいスクロールしてください。

卯月から皐月へ。
月日は百代の過客と
芭蕉は『奥の細道』の序に書いたが
人生の終わりを見据えて旅にでた俳人の思いが
ようやく少しだけわ かるようになってきた。

こ の有名な書き出しには出展があり、
もとは唐の大詩人李白の「春夜宴桃李園序」という漢詩だ。
李白は春の宵に兄弟と飲み会をして
この詩を吟じたが、
その内容はさすが自分のことを酒仙とよぶだけある。

大意は「この世は宿屋で歳月は来ては出てゆく旅人じゃん。
人生ははかない夢でたのしい時間はあっちゅうま。
だからむかしの人はローソクをつけてオールで遊んだ。
こんなビューティホーな夜に
詩のパワーがある兄弟がつるんで飲み会。
なんていう空気のなかでいい詩がかけなくてどうするの。
兄キのおれは才能いまいちだけど、
ことばはとまらないぜ。
さあ、ハンパない詩ができなけりゃ、罰ゲームはイッキ飲みだ」。

ひどい訳でおこられそうだが意味はこんなものだ。
酒飲みにつごうのいい理窟をならべているだけのようだが、
見事な作品にしてしまうところが 天才である。

芭蕉はもちろん漢詩も勉強していて、
同じ詩人として李白を尊敬していたから、
そのオマージュとして『奥の細道』の冒頭につかったのだろう。
どうでもいいことかもしれないが、
百代は芭蕉の作品では「はくたい」と読むと古文の先生はおっしゃり、
李白の漢詩の日本語読みは「ひゃくだい」と読むと
漢文の先生はいわれる。
「読みぐせ」というそうだが、
そんなことを忙しい先生や教授をつかまえて
きいているこまった記念室 長である。
ffvf
絵は『ヘンゼルとグレーテル』に題材をもとめたもの。
だれもが子どものときにあこがれた「お菓子の家」の場面だ。
描いたのは玉井成樹くん(小3/明石市・追原P)。
根気よく、ていねいに細かく色をつかいわけてじつにおいしそうである。
お菓子の家を建設したことはないのでなんともいえぬが、
実物をつくるのは人海戦術が通用するので
絵よりも楽ではないかとさえ思う。

さても、この絵にかぎらず、また子どもにかぎらず、
絵をどこから描きはじめるか、
さいしょの一筆をどこにおろすかは、けっこう大きなテーマ だ。
とくに「自分は絵が不得意だ」と思い込んでいる人間にとっては
悩ましいことある。
初筆の位置がきまらない、いや決断ができなくて
いつまでたっても描きはじめられないというのは、
学校でもありがちな光景である。
玉井くんがこの作品をどこから描きはじめたのか知りたいものだ。
みなさんならどこに初筆をおくだろうか。

この作品をよく見ると、玉井くんはおそらくは鉛筆で輪郭をとっている。
でもそれはごく薄い線で、
主なフォルムはその輪郭をあまり気にせず、
「はみだし」も恐れずに
力強いタッチの彩色でできているので気にならない。

というのも、最近はわからないが、
一時期小学校の描画活動でフェルトペンで
はっきりくっきり輪郭をとって
そのなかを不透明水彩あるいはマー カーで塗らせるという
「ちょっとドン引き」する指導が行なわれていたことがあるからだ。
少なくとも20年前くらいからしばらくはあった(長男の小学校の話)。
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アニメや漫画の影響もあるのだろうが、
輪郭がはっきりしている絵が「かっこいい。うまい」という
価値の呪縛である。
これだと「塗り絵」に なってしまい、
世界が分断されてしまいおもしろくない。

誤解のないようにいうが、
漫画やアニメを低評価しているのではない。
どちらも重要な表現作品であり、
多くの漫画家やアニメーターはすぐれた表現力、
カラーセンス、空間把握力、デッサン力、
そして物語力をもっている。
なかでも線をひく力とデッサン力は漫画家の真骨頂ともいえる。
故藤子・F・不二雄氏が尊敬してやまなかった
神様手塚治虫氏についてこんなことを書いている。

「先生のデッサン力と線の確かさには、ぼくなど足元にもおよばない。
とにかく正確でしかもはやい。
あるとき、いつものように締め切りがせまるなか、
太鼓のやぐらを中心に盆踊りをしている村人たちを
斜め上から描く大きなコマがのこった。
主人公が木のうえからそれをのぞいているという場面だ。
ぼくが描いたら、資料をながめながらアタリをとってから
こわごわ描いて1時間以上かかるだろう。
ところが手塚先生は資料も見ず、
アタリもとらずいきなり鉛筆で主線(おもせん)を描きだされたのだ」

話をもどす。玉井くんは、これは想像の域をでないのだが
「お菓子の家の屋根の左はし」あたりから
描きはじめのではないだろうか。
かすかな根拠としては、絵のふんいき(そんなものは根拠にならん!)
というか、バランスからいって
ヘンゼルたちを描くスペースを考えて
画面に入るお菓子の家の大きさを決定しようとすると、
玉井くんの目線はまず画用紙の左上にいくだろうということ。
それともうひとつはかすかな下書きのタッチからだ。
だが、これは原画をみないとわかにないかな。
さらにこれは、玉井くんが右ききであるという想定での話だが…。

とそんな邪推はともかく、
玉井くんのパランス感覚と空間把握力は
たいしたものであることはまちずいない。
だが、それよりも感服するのは冒頭でもふれたように、
粘り強くていねいに、でも力強さをなくさないで
多彩な色をつかいわけていることだ。
細かく塗るのはできても、
同時に力強さをたもつのはかんたんなことではない。
きもちのエネルギーが高い位置にないとできない。
心のポテンシャルというやつだ。
物体は落とす場所が高いほど強いエネルギーで落下していく。
玉井くんは、かなり高いきもちから一気にぬったのではないだろうか。
きいてみたい。
心配なのは描きあげた後、
くたくたになって熱をだしたのではないかということ。

さらに色数が多いのだが全体にマゼンダっぽい、
つまり赤みというかピンク系のにかたむいている。
これは印刷のせいもあるだろうがいい味をだしている。
お菓子の甘さ、誘惑の甘さがつたわってくる。
もしかするとその誘惑の色に選考委員はやられたのではないかとさえ思う。
空も大地も甘さそうで、いまにも香ってきそうである。

ご存じのようにこのライブラリーはグリム兄弟による
「こども家庭のための童話」、いわゆる「グリム童話」のなかの
作品に題材をもとめたものだ。
この物語の背景には、「子すて」「まびき」という
暗い記憶があるという研究は多い。
この物語にかぎらずグリム童話には
親族が親族をあやめる話は少なくない。
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グリム童話は、ガチンコの学者である長兄ヤーコブと
詩人肌の次兄ヴィルヘルムのときには激しい討論によって陶冶され、
熟成されたのはよく知られたことだ。
兄は祖国ドイツに伝わる資料だから極力「伝承のまま」で記述すべきだとするのに対し、弟は「こどもと家庭のための物語であるから、
極端に古いいいまわしや残酷すぎる描写はある程度あらためるべきだ」
と主張した。
かくしてそうした切磋琢磨のおかげで、
グリム童話が歴史的価値とともに文学としてもかぐわしい作品になった。

ちなみに『白雪姫』は第1版ではお妃は白雪姫の実母だが
グリムはたしか第7版でお妃を継母にしている。
実母だと残酷すぎるということなのか。
でも、いまなら、継母ならあんなことをしていいのかといわれそうだし、
継母は残酷なものというのはいかにもステレオタイプである。
このへんは時代の感覚かな。
ラボの白雪姫はいうまでもなく実母。
でもよく聴くと「お妃はふしぎな力のもちぬし」とあり、
美しい子どもがほしいと願うきもちから
超自然的な力で白雪姫がうまれたようになっていて、
妊娠と出産というなまなましさをなくして
透明なものにしている。
だからこそ、こわいくらいに美しい話になっているし、
別の意味で残酷でもある。
ラストシーンなんて、おおこわ!
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さて、ここからは生活実感である。
あんまりラボに関係ない話はでてこないかもしれぬので
興味ない人はスルーね。
26日と27日の土日は学園の記念祭(いわゆる文化祭)で休日出勤 したから
29日の祝日はダラダラしたかったが
それだとダメ親父の道まっしぐらなので
アートラリーの日と決めて朝からでかけた。
まずは青山の根津美術館へ。
尾形光琳と円山応挙の屏風を見にいく。
国宝と重文である。
10時のオープンちょうどに着いたのですいている。
根津美術館は武蔵の創設者である根津嘉一郎が創設しているから
同じ根津育英会としてはあいさつが遅すぎたくらい。
静まり返った朝に出会った光琳と応挙にただ圧倒される。
とくに光琳の構図、バランス、フォルム、色彩は
完全にぶっ飛んでいる。
この時代にひとり飛び抜けたアーティスト、クリエイターだ。
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根津美術館を後に、美術館通りを散歩しながら六本木へむかう。
昨年、乃木坂の新日本美術館から多くの美術館を巡って六本木までいける
道が通ったのでとても楽しい。
次の目的地はテレビ朝日一階のイヴェントスペースである。
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ここでは永山裕子さんの水彩画展が開催されている。
11時オープンだがかなりの人出。
永山さんの飾らない人柄の魅力もあって
彼女の展覧会はいつも満員。揮毫に行列ができてた。
永山さんの水彩は水彩らしい透明感とともに
油彩のような力強さとあやしいたたずまいがある。
多くは「いわゆる具象」の作品なのだが
ぼくはそれはどうでもいいことだと思っている。
永山さんの「いわゆる抽象」の半立体の作品は
『ひとつしかない地球』『はだかのダルシン』で
そのすばらしさを感じとることができるが
彼女にとっては「描きたいもの」を
「描きたい画法」で描いているだけなのだ。
永山さんの水彩は「具象の水彩はわかりやすい大衆芸術」!なんてたわごとをぶっとばす力がある。

永山さんにはじめて『ひとつしかない地球』の絵を
担当していただいてから11年になる。
そこから永山さんは「あまりかわっていない」。
描きたいものを描く! というご自分から逃げていないからだ。
2ショットをお願いしたらこころよく応じてくださった。
もうしわけないのでドイツ菓子をさしあげて退散した。
たまには六本木もわるくない。
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テレ朝から目黒通り、さらに自由が丘をぬけて田園調布へ。
駅のすぐそばのドッグカフェに
茶畑和也さんの作品と茶畑さんに会いにいく。
これがアートラリーのしあげだ。

休日とあって店内は犬といっしょに食事をする人でいっばい。
ここは大型犬もこれるそうだ。
オープンのテラスで茶畑氏を発見。
なんと、今朝の午前2時過ぎに「ハート」をアップしてから
車でこられたそうだ。
明日は千秋楽なので作品を車につんで名古屋に帰られるとのこと。

茶畑さんのご親戚もたくさん見えになっていたが
あつかましくも仲間にまぜる。
おいしいサラダやサンドイッチをいただきながらとりとめのない話を。
学園の毎日もわるくはないが、それなりに疲労もする。
こんな休日があってもばちはあたるまい。
そうこうするうちに、
午前は『シバ』という映画を見にいかれていた茶畑夫人も到着。
映画の監督と絵本作家の
伊勢英子さん(『大草原の小さな家』の絵を担当)の
トークがよかったとのこと。
伊勢さんがお元気だったとききうれしい。
夫人とともにいらした女性と名刺交換をすると
「こんにゃく座」の方。
そこでまた林光先生の想い出話になる。
人はつながっている。
しかも物語でつながっていくのはありがたいことだ。
雨が近い14時過ぎカフェを辞した。
ひさしぶのに渋谷で食材を買ってかえろう。
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このアートラリーから遡ること2週間。
吉祥寺のモンテ・マーレというイタリアンの店で
懐かしい顔ぶれと会食した。
向かって左から井手和佳子、旧姓天野さん=元東京支部天野Pで現在は
私立小学校教員。
エッちゃんこと八代悦子さん。元東京支部OGで現在はボストン在住で
ナンタケットバスケットの製造、販売、製作指導に従事。
佐藤邦彦氏。元事務局員。現在は庭師兼画家。
中條拓伯くん。元関西支部槌賀Pで現在は東京農工大学准教授、工学博士。
そもそもは、3年まえ、
庭師と博士がとぼくが元関西支部つながりということで
三人が集まりやすい吉祥寺でささやかな食事会を行なったのがきっかけ。
その後メンバーが出たり入ったりしたが、ボストン在住の
エッちゃんの来日にあわせて開かれるようになった。
みんな50を過ぎたていろいろなことがあったが
まだまだ旅の途中。
ラボの話になると時をこえてしまうのよね。
mcd
Re:皐月の風のなかで髪に手を入れてわらった人よ!(04月30日)
かせだまさん (2014年05月06日 17時53分)

どれも興味ある話題ばかりです~。

ありがとうございます~!

永山先生も あいかわらずお美しい!
カレンダーのコメント、ありがとうございます!
メリーポピンズさん (2014年05月10日 01時08分)

カレンダーに選ばれた!と決まった昨年秋から!三澤さんのコメントを
読みたくて5月になるのをもう本当に心待ちにしておりました!
ありがとうございます。カレンダーに載っておいしい!三澤さんのコメ
ント読んでまたおいしい! そう、2度も感動です!

(成樹のお母さんも感動され、「成樹の絵をじっくり観察してくださっ
たこと、描いてる姿をまるで見ておられたかのようで、熱こそ出さな
かったもののものすごく集中して描くので脱力してました」とのことで
した)

お約束しておりました、本人に聞いてみました。
すごいですね~。昨年のことなのに覚えていました!

まず彼は、右利きです。 描きだしは、
「屋根の左上から屋根の縁取りを描いて、チョコの壁、チョコ模様、
屋根の模様、屋根上の塔、煙突、家の土台」へと描き進めたそうです。

「甘くておいしいお菓子があふれ出てくるイメージ」
だそうで、家についてるスコップで掘った穴からマーブルチョコが噴出
してるそうです!

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「白雪姫」は、地区研に入って初めて支部テューター研修で発表したT
Aで、私は「鏡」の役でした。懐かしい・・・。
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