幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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とどかない丘が見える。でも駈けてゆくには遠すぎて、歩いていくには若くない。なんていわせんもんね。 06月01日 ()
例によってわけのわからないタイトルで恐縮である。
5月20日、主治医自らの操作で
胃の内視鏡、大腸ファイバーカメラの検査をした。
これで術後5年目の検査は全て終了である。
M医師は「おめでとう。5年間よくがんばりましたね。
あとは1年にいちど見せに来てください」と笑顔でいった。
この人のおだやかでほっとした笑顔ははじめて見た。
これまで3か月ごとに検査をしすべてクリアしてきたが
彼きいちども安心した笑顔はみせなかった。
5年目の笑顔はプロの満足があらわれていた。

武蔵学園記念室室長に就任してから2か月だった。
おもえば「公教育ではすきなことができない」と
ラボにはいったのに
今、こうして私立とはいえ学校機関にいることのふしぎを思う。
学校法人という組織は協業作業の場でもあるから
いろいろ勝手がちがう。
へんな形式民主主義や逆の不条理が存在したりもする。
とはいえ毎日が学びの場であり、それはそれでおもしろい。
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三澤制作所のラボ・カレンダーをめくる。
といったが、じつは昨夜、30日の夜にはびりびりとやってしまっていた。
もう、フライングめくりがあたりまえになってきた。
以前は当月のカレンダーの絵を剥がすのがはやくなるので、
その絵の作者に後ろめたさがあった。
しかし、考えてみれば結局飾られている日数はあまりかわらないので気にしなくなった。

絵はロジャー・デュボアザンの絵本『がちょうのペチューニア』に
題材をもとめたものだ。
描いたのは、今桜子さん(小1/横浜市・武P)。
夕べ暗いなかでめくったときは、「オッ、ペチューニアか」と
かるく思った程度だったが、
今朝、午前中の自然光のなかで改めて観た瞬間、
「オッオッオッー!」となった。 
なんという力のある絵だろう。
そしてひきこまれてしまいそうな絵なのだろう。
こういうのはなかなか説明できない。
いい役者がもつ華とか、
名人と呼ばれる噺家がもつ「フラ」のようなものかもしれない。
「フラ」は芸人は重要な資質で、
ぼくも好きだった故・桂枝雀などは、
出囃子にのって高座にあがってく途中で
もう客は全員わらっていた。
存在そのものの強さとかやわらかさとか美しさなのだが、
それは天賦のものだといってしまうと若い人はやる気なくすので、
それまでの人生の道筋、努力とか汗とか涙とか愛だとか恋だとか、
そういったものの積み重ねが華やフラを醸成するんだと思うのだ。
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ごたくはともあれ、ぼくは今朝20分くらい、
コーヒーがさめるのもかまわずぼーっとこの絵を観ていた。
そしてうーむとうなり、つめたくなつたコーヒーを
ぐびりと飲み干してからまた20分ながめていた。
「いつまでもみていられるわあ」という感じだ。

そんなに長く観ていたいちばんの理由は、
おそらく「そのときの気分にあったから」だと思う。
それってとてもだいじなことだ。
絵でも音楽でも、
そのときの自分の心の正直なレスポンスはそのままうけとめたほうがいい。

なにか今回はまわりくどくわかりにくいことを書いているかもしれない。
もともとこのコラムのようなものは、
「絵の解説」ではけしてなく、ぼくはこういうところが好きという、
ぼく個人の感想、いわば好き嫌いを羅列しているのだからそれでいいのだ。

とにかくだいたんだ。桜子さんは、まさに八重の桜、
新島八重もびっくりの気合いがはいったハンサム・ウーマンではないだろうか。
なまじな男子はなめてっとひどい目にあうぞ。
これだけいさぎよい線と色と画面構成は小1女子のものとは思えない。
桜子さんの身体の大きさはまったくわからないが、
タッチや画面の切り方から類推すると、
身長は小1女子の平均かそれよりやや小さいのではないかと思う。
だとするとカレンダーの規定の画用紙は彼女の肩幅より広いだろうから、
これだけコントロールするのはけっこうな力技のはずだ。
なんというか芦田愛菜ちゃんが
750ccのバイクにまたがって乗りこなしているようなものだ。
それはけしてオーバーな表現ではないと思う。

ペチューニアたちのフォルムもおもしろい。
一見ゆがんでいるようだけれど、ちゃんと特徴をとらえているし、
キャラクターまでうかびあがってくる。
「かわいい見栄っばり」「ずれてもころんでもめげない」ペチューニアへの
愛情があふれている。
それを感じとらないと桜子ちゃんにばかにされてしまうな。

色もまたたのしい。何回か書いたけど、
茶色が多いと画面が暗くなってうまくいかないことがけっこうあるのだが、
その茶色、というよりイエローオーカーに近いうすめの茶色を、
しかもべったり同じでなくてグラデっぽく塗り分けているのがおそるべき技である。
イエローオーカーはどんな色とも相性がいい。
そしてこの場合は空のきもちよく抜けたシアン系と
きれいな補色のような関係になっているのも魅力だ。

さらになにより、平坦なようでいてこの絵にはかなりの奥行きがある。
だからひきこまれてしまうのだ! 
絵でも写真でも「奥行き」はかなり重要なPointだ。いやあまいったなあ。
てなわけで、この絵は、じつにパワフルでテクニカルでハートフルなのだよ。
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原作者のデュボアザンはジュネーブで生まれた。
パリでアメリカの織物会社の依頼をうけ、
テキスタイルデザイナーとしてニューヨークで仕事をすることになった。
パリで出会ったルイズ・ファティオと結婚してアメリカへ渡ったが、
その会社は大恐慌のあおりをうけて倒産、
彼はイラストレーターの仕事に移り、
息子のために絵本を作ったことをきっかけに、
子どもの本の仕事を始めた。

「White Snow Bright Snow」でコルデコット賞受賞。他、受賞多数。
夫人のルイーズ・ファティオも
夫の仕事を手伝ったり二人の息子にお話を聞かせたりしているうちに
童話を書きはじめた。
二人の共作「The Happy Lion」(ごきげんならいおん)はとってもファンが多い。

ペチューニアはまわりをほまきこんで自分もへこむけど、
前だけみるからちゃんとすすんでいく。
洗練された線と色がすばらしいだけでなく、
息子のために絵本を書きだしたというエピソードからもわかるように、
子どもの「心の生理」によりそっているのが
デュボアザンのほんとうの魅力かもしれない。

八重の桜といえばあのドラマにでてきた山川健次郎という
白虎隊の生きのこりの会津藩士は、
後に東京帝国大学や九州大学の総長をつとめ、
旧制武蔵高校の二代校長わされた伝説的な人物だ。
記念室にもちゃんと展示があるぞ。
rege
5月には音響エンジニアで牟岐礼先生の嵜品のときは録音を担当する
富正和さん来校! 学食でランチをともにした。
大学のバンドサークルからイベントのPAの相談を受けたそうだ。
きっと予算は激少だろうけど、
がんばる若者に弱い富さんはなんとかしてあげるのかな。

富さんとの出会いはもう12年間以上前。
『ノアの箱舟』の制作で音楽を担当された牟岐礼先生から、
指名してお願いしたい録音エンジニアがいますと紹介されたのがきっかけ。
それから『ひとつしかない地球』も牟岐先生と富さんのコンビ。
そのとき、だれか英語のポップス系のコーラス指導で
いい人いないかなというときに、
富さんが紹介してくれたのが木島タローちゃんだ。
彼とは芸大のリハ室ではじめて会ったが、
5分くらい指導の様子を見たら、
ラボっ子にもぜひお願いしたいと思った。
とりあえずラボの話をばあっとして、また連絡しますととびだした。
ひどいけど、その足で目黒にむかわねばならなかった。
宮沢和史さんの歌がこの日できたと連絡があったからだ。
2004年の浅い春の話である。

さいごに術後5年目ラボをはなれて5年目の思いをすこし。
あるバーティの周年のメッセージに書いたことの一部である。

Labo PartyのLaboは、Laboratory、
「実験室」がもとになっています。
みなさんも理科の実験室を想像してください。
ふつうの授業のように黒板をむいて先生の話を聴くのではなく
大きな机をかこんで話し合いや実験をしますね。
そう、ラボは「ことばの実験室」です。
どんどん新しいことをためしてほしいですし、
失敗を気にすることはありません。
ほんものの科学実験なら失敗するとばくはつがおきたりしてたいへんですが、
物語がばくはつしてもこわくないですよね。
もし失敗しても学んだことがつぎのやくにたちますから、
テーマ活動の実験に失敗なんてもともとないのです。
どんどん実験してまだ知らない物語やことばを見つけてください。

ぼくはいま私立の学校で仕事をしていますが、
ラボから離れるほどにラボ活動のたいせつさを実感しています。
21世紀にはいってから13年もたつのに、
世界ではおおくのいさかいや不公平がやむことがありません。
この日本でも解決しなければいけないことがたくさんあります。
そして、みなさんが日本や世界のためにはたらく日は、
じつはそんなに遠いことではありません。
どんなことにも興味をもち、どんな人とも心をかよわせることができ、
物語や歌が大好き。
そんなすてきなラボっ子たちがつくる世界が
きっとくることをぼくは本気で想像しています。

みなさんがそうした力を身につけるためには未来を信じる力、
希望がなければなりません。
すべてのラボ・ライブラリーに共通するテーマがあるとしたら、
それは「希望」にほかなりません。
ぼくや専門家の先生たちは、この希望をみなさんにとどけたい! 
と強く願いながらラボ・ライブラリーをつくってきました。


学校にいると、学校のたいせつもわかるけど、
ラボのたいせつさがますますわかる。
テューターのみなさん。とにかく前へ!
Re:とどかない丘が見える。
かせだまさん (2014年06月03日 18時59分)

そうですか…5年。 お疲れさまでした。

これからも元気にいきましょう~。

周年行事の文章、ほんとにしみじみ伝わってきます。

多くの方に 読んでいただきたいです!

ありがとうございます。 
Re:とどかない丘が見える。(06月01日)
かつどんさん (2014年06月19日 04時35分)

いつもラボライブラリーについて深く広く喚起くださりありがとうござ
います。
またテューターやラボっ子へのエールは励まされます。
お見かけした時にお礼を言いたいと思うのですが、
小心者ゆえ中々お声がかけられず、この場をお借りして感謝申し上げま
す。
五年クリア、おめでとうございます。
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