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自分で自分にYes!を出せないひと |
12月28日 (月) |
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角田光代の「森に眠る魚」を読みました。登場人物は、幼稚園児の母と子中心。私立小の母と娘も。受験にからむ嫉妬、ママ友エトセトラ。
このママたちは、何を悩んで、そして、こんなにも自分の内面を卑下して、鬱屈していくのかな~?と読んでいて、マイナスなオーラをもらっちゃうくらいで、さっさと読み終わってみました。過食とか宗教 不倫、心療内科とかもちょっと出てくる。
いえるのは、まず、自分の子育て、生き方に自信がない。自信なんてなくていいんだけど、他と比較して、いいマンションやインテリア、いい私立小学校に合格すること、もしくはしつけのいい子といわれることで、自信を得ようとしている。そこがまずいんだと思った。自分の中の価値観がないから、ブランドやら、自分の子が人から見て何ができるようになっているかで判断しようとする。
大切で、特別で、他に何の比べようもない素敵なことって、もし子どもがいる人なら、その子供にしかない「個性」なんじゃないだろうか?
空を見て、おいしいものをたべて、テレビでもいいけど、何か感じるその子供の個性。子供って、優しかったりおもしろかったり、ピュアだったり、大人が気づかないようなこともちゃんと気づいていたり。何より、大人になったら感じなくなるようなことを、ちゃんと感じてる。そこを見て、話して、その子がよりいきいきするように大人として伴走すること。
それは、結構難しい。大人になってしまった親の価値観で、字がかける、読める、ネイティブっぽい発音でものの名前が言える、他の子と比べて何がほめられることか、そんなことを子供に求めていたら、本当のその子の個性は見えないと思う。
自分の子だけみるのは、それはそれで実害がある。独りよがりに「わが子って素敵」ってなってもマズイ。 その子一人のことでなく、他者とどう関われる子であるかというのも、ちゃんと見てあげると、結構感動する。家の中にいる自分の子と兄弟くらいしかみないとわからないことが、他者とどういう関係を気づいているか見ると、すごく良くわかる。実は、小さい子にすごく優しいとか、友達に譲ってあげることができる成長した人間なんだよというプライドや優しさを持っていたり。幼稚園生はまだかなり自己中心的だけれど、小学生になると、かなり人のことも考えられる個性のある子は、そういう面が発揮されてきます。
ちなみに私は、絵本や物語について子供たちと語るときに、子供が教えてくれる視点や気づきがほんとに好き。
というより、黙っていたら語ってはくれないから、その子供たちのことばにこちらから近づいて投げかけて、いろいろ聞き出せると、それが自分の自信にもなる。
「森に眠る魚」では、結婚や出産で仕事をやめ、今、ママ生活を送る人たちが、その自分の生き方や夫が自分をわかってくれないというような悩みもいろいろ。子供を自分の生き方の勲章にするしないような。いい服を着せるとか、いい私立に通わせるとか。
親になっても、人生あきらめず、自分が楽しい!って思えることを少しずつでもしていけばいいんだろうなと思います。このあいだ、タウン誌に、午後じゅう台所に立って好みの違う家族のためにレシピを考えて、それをブログにのせるのが好きという女性のことがのっていました。自分の好きなことをわかって、じっくりとりくめば、ブログに反響もあるし、やりがいが出るわけです。
自分で自分にYES!を出して上げられる日常。それが大切なんだと、ちょっとマイナスオーラ出しすぎの登場人物の小説を読んで、逆に思いました。こんなことをまとまって感じさせてくれて、角田光代さんはすごい。
年末は、何かを気づかせてくれる小説でも読む時間がほしいものです。
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