卒業式 谷川俊太郎 |
03月19日 (月) |
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ひろげたままじゃ持ちにくいから
きみは それをまるめてしまう
まるめたままじゃ つまらないから
きみは それをのぞいてみる
小さい丸い穴の向こう
笑っているいじめっこ
知らん顔の 女の子
光っている 春の太陽
そしてそれらのもっと向こう
きみは 見る
星雲のようにこんとんとして
しかもまぶしいもの
教科書に決してのっていず
蛍の光で照らしても
窓の雪ですかしてみても
正体をあらわさない
そのくせ きみを どこまでも いざなうもの
卒業証書の望遠鏡でのぞく きみの未来
谷川さんのこの詩、贈ります。
卒業おめでとう。
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