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ジュディさんの日本語コーチ 07月02日 (金)
日本語研修も折り返し点を過ぎ、ビギナーたちもやっとひらがなに取り組み始めた。ひらがな、といっても、日本語のコンセプトのない人には、本当にわかりにくいと思う。ひらがな、かたかなのなりたち、音を表すのだという説明は、ていねいな補足が必要だ。さらに、濁音については、なぜ、「が」は「か」に点々なのか、さっぱりわからない。「か」をにごらせると「が」になるなんて、「かーーーーーー」「んがーーーーーー」とやって見せてようやくすこしわかりかけたよう? でも「は」と「ば」「ぱ」なんて、全く別の音ではないか!これは私の三男(2歳で渡米、5歳の時帰国)もさっぱりで、一年生の終わりになっても、苦労していた。
さらに、日本人の子供なら、すでに知っている日本語の単語と平仮名をつきあわせて字を覚えるのだが、日本語のボキャブラリーがないところへきて音声サインだけ覚えるのも結構大変。これも三男の例だが、在米中、どんなにか平仮名を覚えさせようとして「アメのあ」とやっても、「アメのい」と言ったり、全く意味をなさなかった。これはうちの子がばかだというわけではないと思う。
それでも、あたかも古典の助動詞の変化を覚えるがごとく、愚直にやるべきときもある。アルファベットの子音と母音を組み合わせてフォニックのようにまず平仮名を系列的に覚える。と同時に、覚えたての日本語の言葉とつきあわせていく。私がおすすめするのは、駅名だ。これなら、毎日見聞きするし、関心があり、なじみもあり、しかも電車の進行にしたがってフラッシュカードのようにかわる。だんだん読めるようになってきたときの喜び。ほら、日本の子供も、駅名や、車のナンバープレートを読んだりするでしょう?
ジュディさんの来日にあわせて作った電車通学用のファイルがいよいよ本当に役に立つときがきた。最寄りの駅名から乗換駅、目的地の駅、電車の行き先の駅、路線名などを路線図、時刻表と組み合わせ、ローマ字漢字ひらがなの三通りで作ってある。はじめの頃はそれを持っているだけで周りの人から見てジュディさんがどこへ行こうとしているかが明確にわかるので助けてもらうことができ、やがて自分でも読めるようになり、さらに電車の窓から外を見て駅名を読めるようになる。去年メアリアリスさんのために作ったものをさらにステップアップさせて作った。
さて、家でひらがな積み木や、かるた、水習字などで悪戦苦闘しながら学習するジュディさんのコーチは、今年三年生になった三男である。これがまた、生活上のあらゆることに行き届いたホストぶり。私とジュディさんの会話を聞きかじっていて、内緒話も出来ないくらいに関わろうとしてくる。言葉は殆どわかるらしい、ただ、微妙なニュアンスまではわかっていないので、たとえば、言葉の上では肯定でも、内実そうでない、という雰囲気までは読みとれない。そこで「---っていってたじゃないか!」という食い違いが生じることも。
ジュディさんが平仮名を覚えるように、日本の子供たちも英語をよむのにフォニックは使える。ただ、文字を読む必然性を持たせ続けるのがむずかしい。喜びのないところには何も育たず、ある程度の時期集中して、質も量も兼ね添えて取り組まねばならないから。しかも楽しく。ラボでは、言葉と物語と交流の三本柱をうまく組み合わせて活動していくのだが、小学校の高学年の思春期始まりのころには、交流なんて、物語なんてという時期が来る場合があり、そんなとき個人的に「ことば」でつなぎとめておく作戦もある。もちろんそれは目的でなく、遠大なゴールへの小さな作戦にすぎないが。
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